寄稿・インタビュー

「日本はG20においてインドネシアを全面的に支持」

令和4年6月28日

 岸田文雄内閣総理大臣は、2022年4月29日、インドネシアを訪問する。二日間の訪問においてジョコ・ウィドド大統領との首脳会談を予定している。
 二国間関係の維持管理に加え、各分野における協力の深化も目的としている。岸田総理は、インドネシアは岸田総理が取り組んでいる「新しい資本主義」の実現に向けたベストパートナーであると語った。

 岸田総理はG20におけるインドネシアに対する日本による全面的支援について表明した。本訪問に関して、本紙は岸田総理に対する書面インタビューの機会を得た。

【質問】:
 今次訪問の目的及び意義をどのように考えていますか。今次訪問において、新たなプログラムや協力案件はありますでしょうか。

【回答】:
 日本とインドネシアは、60年以上にわたる伝統的な友好国です。日本の歴代政権はインドネシアとの関係を重視してきており、両国は、政治、経済、文化、人的交流など、幅広い分野で緊密な関係を築いてきました。私の政権でも、その方針が揺らぐことはありません。まさに今回の訪問がその証左です。近年、両国は、ウクライナ情勢、東シナ海・南シナ海、北朝鮮、ミャンマー等多くの挑戦に直面していますが、地域の平和と繁栄を確保するためには、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化していくことが重要です。
 そのような観点から、今回の訪問を契機に、インドネシアが策定を主導した「インド太平洋に関するASEANアウトルック」と日本が推進する「自由で開かれたインド太平洋」という基本的価値と原則を共有する二つのビジョンの実現に向けて、両国の具体的な協力を一層加速させていきます。例えば、インフラ、エネルギー、デジタル、保健、防災の分野、また安全保障、海上保安、サイバーを含む経済安全保障の分野で、協力を深化させていきます。
 このような協力が発展しているインドネシアは、私が取り組んでいる「新しい資本主義」の実現に向けたベストパートナーです。
 ウクライナ情勢は、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす深刻な事態です。インドネシアは今年のG20議長国、日本は来年のG7議長国であり、国際社会の責任ある主要国の間で、いかなる地域においても、武力の行使・威嚇による主権や領土一体性の侵害、また力による一方的な現状変更の試みは認められないこと、さらに、国際法に基づく紛争の平和的解決を求めていくことを確認し、かかる共通認識を世界に発信していくことは、極めて有意義であると考えます。日本としてもインドネシアと連携していく考えです。

【質問】:
 インドネシア及び日本は「日尼官民対話トラック1.5:イノベーションと持続可能な経済社会のための日・インドネシア・サプライチェーン共創パートナーシップ」について協議しています。この進展状況はいかがでしょうか。

【回答】:
 両国は緊密な経済関係を有しています。例えば、インドネシアには、多岐にわたる分野の日系企業が約1,800社進出し、日本はインドネシアにとって不可欠な貿易・投資相手国となっています。
 本年1月に発表した「アジア未来投資イニシアティブ」に基づき、サプライチェーン、連結性、デジタル・イノベーション、人材、グリーン・脱炭素といった分野で未来志向の新たな投資を推進し、地域の未来を地域の国々と共に創っていく考えです。

【質問】:
 今年3月のジョコ大統領との電話会談において、岸田総理は、ロシアによるウクライナ侵略について述べました。本年、インドネシアがG20議長国であることを踏まえ、ジョコ大統領に対し、特別なメッセージはありますでしょうか。

【回答】:
 ロシアによるウクライナ侵略は、明白な国際法違反であり、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがすものです。国際社会は、ロシアとの関係をこれまで通りにすることはもはやできないと考えていると認識しています。G20への対応では、今後の情勢をよく見極めながら、議長国であるインドネシアを始めG20メンバー国とよく議論を行い、適切に対応する必要があります。
 本年のG20では、議長国インドネシアが、「共に、より強い回復」をテーマに、デジタル、エネルギー移行、保健という優先分野を設定しており、これらはいずれも時宜を得たものと考えています。日本は、G20バリ・サミットの成功に向け、インドネシアを最大限支援していく考えです。


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