寄稿・インタビュー
茂木外務大臣書面インタビュー (2021年8月22日付、カタール国営通信社、ドーハ発)
「日本の外務大臣はカタールとの包括的パートナーシップを称賛」
日本の茂木敏充外務大臣は、日本はカタールとの包括的パートナーシップを享受し、様々な分野における協力を実施していると述べるとともに、両国間の外交関係樹立50周年の機会に更なる協力を進めていきたいと述べた。
月曜日のドーハ訪問を控え、大臣はカタール国営通信社(QNA)とのインタビューにおいて、日本とカタールは継続的に過去50年間にわたり、特にエネルギー分野において関係を発展させてきた。カタールからの安定的なLNGと石油の供給は、長年にわたって日本の発展を支えてきた。このような協力関係に基づく「包括的パートナーシップ」の下、二国間協力はエネルギー分野のみならず、幅広い分野に拡大していると述べた。
大臣は、2019年1月にタミーム首長が訪日した際には、両国外相を議長とする「戦略対話」の創設を発表するとともに、経済・商業、運輸、環境、法務、文化スポーツ分野等の協力覚え書きに署名がなされた、カタールは東日本大震災の際、400万トンものLNGを追加供給し、1億ドルの支援金などで日本の復興を支援していただいた真の友人であると述べた。
大臣はさらに、カタールは最も信頼のおけるLNGの供給国の一つであり、日本のエネルギー安全保障においても重要な位置を占めていると述べた。また、大臣は日本はカタールにとって最大のLNG輸入国であり、この貿易パートナーとしての強固な信頼関係は、現在もこれからも不変である旨指摘した。
大臣は日本によるカタールの「カタール国家ビジョン2030」に対する官民を挙げた後押しにつき強調した。大臣は産業多角化と人材育成を重視する同ビジョンはタミーム首長の強いリーダーシップと明確なビジョンを示すものであると述べた。大臣は日本は2050年までにカーボンニュートラルと脱炭素社会の実現を目指すことを表明していると指摘した。大臣は比較的環境負荷の低いエネルギーであるLNGを活用しつつ、水素やアンモニアを含むクリーンエネルギー分野に両国の協力を広げていくことを重視していると述べた。
この観点から、新たな分野における両国の協力の象徴として、カタールにおける初の太陽光発電事業への日本企業の参画は喜ばしく、同時に、「カタール国家ビジョン2030」の実現を目指し、人材育成や社会、環境開発における協力を進めていきたいと述べた。
今次訪問は、外交関係樹立50周年の機会に当たり非常に重要であると述べた。大臣は、2019年1月のタミーム首長訪日の際、両首脳間で立ち上げが合意された「戦略対話」を初めてムハンマド副首相兼外相と対面で共催できることを楽しみにしていると述べた。さらに、今回の訪問は法の支配に基づく国際秩序の重要性や地域の安定に向けた連携についても議論する予定であると述べた。
今回、外務大臣として外交関係樹立50周年の機会にカタールを訪問できることをうれしく思うと大臣は述べた。
大臣はこの機会に、日・カタール両国が、LNG等の安定供給や投資協定の早期締結を含む経済面に加え、政治・安全保障面での協力関係を更に深化させることができることを確信していると述べた。
大臣は2022年FIFAワールドカップ開催に向けたカタールの着実な準備の進捗や、カタールが、サッカー以外にも、テニスや柔道、卓球、水泳、ハンドボールやその他数々の世界大会の中心となっていることに賞賛の意を表した。
「来年カタールで開催される2022年FIFAワールドカップに向けて着々と準備が進んでいると承知しており、東京オリンピック・パラリンピックでの経験や知見の共有などを通し、日本としても大会の成功に向け積極的に協力していく。」と大臣は述べた。
大臣は東京オリンピックにおいて金メダルを獲得した「男子走り高跳び」のバルシム選手及び男子重量挙げのエルバフ選手を含むカタール選手の健闘を讃えた。
大臣は新型コロナウイルスの感染拡大により、世界全体が大きな混乱と経済悪化という困難に直面していると述べた。その中で、カタールにおけるワクチン接種状況が、12歳以上の接種対象者の76%にまで達していることにつき、感染収束に向けた大きな前進であると賞賛した。
この点に関し、大臣は国際的な協力について強調し、6月に日本がGAVIと共催したCOVAXサミットに、カタールからはアル・クワーリー保健大臣が出席したことに言及した。同会合では、新型コロナウイルス感染症の収束のため、COVAXファシリティを通じて、途上国の為に安全性、有効性及び品質が保証されたワクチンへの公平なアクセスを確保することの重要性を確認し、日本及びカタールからの拠出を含めて資金調達目標である83億ドルを大きく超える額を確保することができたと述べた。
最後に、大臣は、新型コロナウイルス感染拡大の克服という共通の課題に向け、両国の当局間で緊密に連携しながら協力を継続していきたいという希望を述べた。
- カタール国営通信(QNA)による茂木外務大臣書面インタビュー(令和3年8月22日付)((アラビア語)(PDF)
/(英語)(PDF)
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