寄稿・インタビュー

「菅総理:日本はインドネシアとの関係を強化する」

令和2年10月27日

 新型コロナウイルスの感染拡大のなか、日本の菅義偉総理は、東南アジアの2つの国、インドネシアとベトナムを訪問する。これは、9月の就任以来、初の外遊になる。菅総理は、ベトナムを訪問したあと、20日にジャカルタへ到着、21日まで滞在し、ジョコ大統領と会談する予定。コンパス紙の書面インタビューに対し、菅総理は「日本とインドネシアは60年間の緊密な友好関係にある。これまでの政権も、ASEANの大国であるインドネシアを重要視してきた。この方針は、依然として変わらない。これこそが、総理就任後の最初の訪問国としてインドネシアを選んだ理由だ」と語った。菅総理とジョコ大統領は、インフラ整備、人材育成、新型コロナウイルスへの対応、インド太平洋の安定と繁栄に関する二国間の協力について話し合う。インド太平洋の安定に向け、インドネシアの立ち位置はますます重要になっていることから、ジョコ大統領とは、より具体的な協力関係について話し合うという。菅総理は「日本とインドネシアは、政治、経済、文化の分野で緊密な関係を築いている。我々は、法の支配と民主主義といった普遍的な価値観を共有している。日本とインドネシアは、地域とグローバルに対する脅威への対処において協力関係にある」と述べた。

主要な投資国
 菅総理は、日本の投資と貿易の重要国としてインドネシアを位置付ける。菅総理は「インドネシアは世界第4位の人口を有し、平均年齢も30歳と若い。インドネシアは大きな経済的ポテンシャルを秘めている。サプライチェーンの維持を通して、日本とインドネシアの経済関係強化に努めたい」と述べた。政権運営に関してもジョコ政権との類似点がある。第一次ジョコ政権は「働く内閣」であったが、菅総理は自らの内閣を「国民のために働く内閣」と位置づける。「同じく国民のために働くことを掲げる指導者として、ジョコ大統領とは戦略的な協力関係強化のために、共に汗を流していきたい」と述べた。

インフラと人材育成
 菅総理は、日本とインドネシアとの間で、インフラ整備と人材育成に力を入れていくことで同意している、この2つはジョコ大統領の優先政策課題だと述べ、その例としてMRTを挙げた。また、「MRTの延長事業も行われている」と述べた。また、パティンバン港整備事業、ジャワ島北幹線鉄道高速化事業、離島間の連結性を高めるためにインドネシアの経済活性化を目指す開発事業等の協力についても言及した。人材育成の分野では、日本は過去3年間で、日本の技術、知識、経験を学ぶインドネシア人2000人以上を受け入れてきたと語った。また、「日系企業は、長年にわたって、インドネシアにおいて雇用拡大と人材育成に貢献してきた」と述べた。
 菅総理は、新型コロナウイルス感染拡大下における経済対策として、日本はインドネシアに対し500億円の融資を行ってきたと説明した。また、「44億円分の医療用品の提供を行ってきた」とのべた。インドネシアと日本の協力関係は、二国間の文脈のみに留まるものではない。菅総理によれば、ASEANの全人口及びGDPの約40パーセントを占めるインドネシアは、インド太平洋の安定と繁栄を実現するために重要な友好国だという。


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