寄稿・インタビュー

(2019年6月26日付)

「安倍総理:我々は緊張緩和と航行の安全確保に役割を果たす」

令和元年7月24日

【1面】
 安倍晋三総理は,シャルクルアウサト紙によるインタビューに対し,日本は中東地域の緊張緩和のために重要な役割を果たすと強調し,関係各国と緊密に連携して,情報収集と航行の安全を確保するための取組を続けると述べた。

 安倍総理は,金曜日と土曜日に大阪で開催されるG20サミットを前に,質問に答えた。安倍総理は,サウジアラビアに関する質問に対し,「日本は,地域の平和と安定に重要な役割を果たすサウジアラビアとの関係を重視し,同国が進める国内改革の取組を支持。両国の戦略的パートナーシップ関係を促進したい」と述べた。

 安倍総理は,二国間協力,地域および国際問題についてムハンマド・ビン・サルマン皇太子と緊密に連携している。また,二国間及びG20における協力を強化する方法について,今次G20サミットに際し,ムハンマド皇太子との間で有意義な意見交換を実施することを期待している。安倍総理は,「G20サミット議長の座を,日本の確固たる戦略的パートナーであるサウジアラビアに引き継ぐことができるよう,サミットを成功させるために最善を尽くす」と述べた。

 安倍総理は,今次G20サミットを成功に導くための努力に言及し,「G20大阪サミットでは,自由貿易の推進やイノベーションを通じて世界経済の成長を牽引し,持続可能な経済成長の実現を目指す。さらに,SDGsを中心とした開発・地球規模課題への貢献を主導する。これらの取組を通じて,女性,若者,高齢者,障害者を含むあらゆる主体が活躍できる,自由で開かれた,包摂的かつ持続可能な社会の実現を目標に掲げ,推進していく」と指摘し,「サミットでは,特にデジタル経済への制度面の対応や高齢化社会への対応について議論し,あらゆる主体が活躍できる社会の実現のために日本が推進するSociety5.0時代の生産性革命等の取組を紹介しつつ議論を進めていく」と続けた。

【3面】  安倍晋三総理は,シャルクルアウサト紙によるインタビューに対し,サウジアラビアは地域の平和と安定のために役割を果たしていると指摘し,日本はサウジアラビアが進める国内改革の努力を支持しており,両国間の戦略的パートナーシップの強化を目指していると強調した。

 安倍総理は,二国間協力,地域および国際問題についてムハンマド・ビン・サルマン皇太子と緊密に連携している。また,二国間及びG20における協力を強化する方法について,今次G20サミットに際し,ムハンマド皇太子との間で有意義な意見交換を実施することを期待している。安倍総理は,「G20サミット議長の座を,日本の確固たる戦略的パートナーであるサウジアラビアに引き継ぐことができるよう,サミットを成功させるために最善を尽くす」と述べた。

 安倍総理は,今次G20サミットを成功に導くための努力に言及し,「G20大阪サミットでは,自由貿易の推進やイノベーションを通じて世界経済の成長を牽引し,持続可能な経済成長の実現を目指す。さらに,SDGsを中心とした開発・地球規模課題への貢献を主導する。これらの取組を通じて,女性,若者,高齢者,障害者を含むあらゆる主体が活躍できる,自由で開かれた,包摂的かつ持続可能な社会の実現を目標に掲げ,推進していく」と述べた。以下は,G20大阪サミット開催にあたり,シャルクルアウサト紙が提出した質問に対する安倍総理の回答。

【問】G20大阪サミットでは,自由貿易,気候変動,開発など様々な課題について議論されるが,今次サミットにおいて,何が最も重要なアジェンダであると考えるか。

【安倍総理大臣】G20大阪サミットでは,自由貿易の推進やイノベーションを通じて世界経済の成長を牽引し,持続可能な経済成長の実現を目指す。さらに,SDGsを中心とした開発・地球規模課題への貢献を主導する。これらの取組を通じて,女性,若者,高齢者,障害者を含むあらゆる主体が活躍できる,自由で開かれた,包摂的かつ持続可能な社会の実現を目標に掲げ,推進していく。

【問】その中でも特定の課題に焦点を当てているか。

【安倍総理大臣】特にデジタル経済への制度面の対応や高齢化社会への対応について議論し,あらゆる主体が活躍できる社会の実現のために日本が推進するSociety5.0時代の生産性革命等の取組を紹介しつつ議論を進めていく。また,質の高いインフラや国際保健といった世界経済の成長を実現するための国際公共財の供給に係る議論を牽引していく。気候変動問題や海洋プラスチックごみ問題を始めとする地球規模課題に貢献し,議長国としてリーダーシップを発揮していく。

【問】なぜサミットの開催地を大阪にしたのか。

【安倍総理大臣】大阪は,商都として4世紀以上にわたり日本の商業・経済の中心として栄えてきた都市。街のシンボルである大阪城は地元の人々や世界からの観光客に愛されている。また,大阪は「天下の台所」としても知られ,独自の魅力的な食文化が育まれてきた。その街の魅力と食文化などを通じて,大阪が世界各国の方々を温かくおもてなしする場になればと願っている。

【問】G20の議長はサウジアラビアに引き継がれる。サウジアラビアに対し議長の座をどのように渡していくか。

【安倍総理大臣】私は,今年に入ってから,すでにムハンマド皇太子と2回の電話会談を行い,両国におけるG20の成功に向け緊密に連携している。日本にとって揺るぎない戦略的パートナーであるサウジアラビアに,しっかりと議長国のバトンを渡せるよう,G20大阪サミットの成功に向け全力で取り組む。

【問】現在の中東情勢に関する見方如何。

【安倍総理大臣】中東地域における平和と安定は重要な課題。近年の中東情勢は,中東和平問題やシリア情勢を始め,複雑さを増している。日本は,宗教・宗派や民族,歴史的な観点から中立で,中東域内のどの国とも良好な関係で,米国とも意見交換ができる独自の立場にあることから,この立場を活かして中東の平和と安定の実現に貢献すべく行動してきている。

【問】中東の平和と安定に対する日本の具体的な貢献策いかん。

【安倍総理大臣】例えば,二国家解決に基づく中東和平実現に資する環境作りのため「平和と繁栄の回廊」構想や「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合」等を通じてこの地域と向き合っている。本年には第2回日アラブ政治対話を行う等,同地域への政治的取組も強化している。

【問】今月の総理のイラン訪問につき伺いたい。

【安倍総理大臣】イラン情勢を巡り中東の緊張が高まっている。偶発的な紛争発生の可能性を指摘する専門家もいる。しかし,何といっても武力衝突は避ける必要がある。中東の平和と安定は日本を含む世界全体の繁栄にとって不可欠。緊張緩和に向け日本としてできる限りの役割を果たしたい。この一点で私はイランを訪問した。

【問】イラン訪問の成果いかん。

【安倍総理大臣】地域の平和と安全のためには,イランが建設的役割を果たし,核合意を遵守することが重要。この点に関し,ローハニ大統領は,米国との戦争を望んでおらず,核兵器を求めていないと述べた。 さらに,ハメネイ最高指導者も,イランに核兵器を製造・保有・使用する計画はないと述べた。もとより緊張緩和に向けた道のりには大変な困難が伴うが,日本としても中東における緊張緩和と情勢の安定化に向け,関係国と連携しつつ,引き続き役割を果たしていく。

【問】ペルシャ湾における日本のタンカーへの攻撃について伺いたい。

【安倍総理大臣】6月13日にホルムズ海峡付近で日本の海運会社が運航する船舶が攻撃を受けた事案は,我が国の平和と繁栄を脅かす重大な事案として深刻に受け止めており,船舶を危険にさらすこのような行動を断固非難する。関係国と緊密に連携して情報収集及び航行の安全確保に努める。

【問】日本は「サウジ・ビジョン2030」への支持を発表した。日・サウジ関係をどう見るか。

【安倍総理大臣】日本は,地域の平和と安定に決定的に重要な役割を果たすサウジアラビアとの関係を重視し,同国が進める国内改革の取組を支持。両国の戦略的パートナーシップ関係を促進したい。2007年に続き13年にサウジを訪問した際に同国社会の変化を感じたが,「サウジ・ビジョン2030」に成果が現れていることは,「日・サウジ・ビジョン2030」を通じて協力している日本にとっても喜ばしい。改革の柱の一つである文化・娯楽振興での協力については,17年のリヤドでの日本人オーケストラの公演には3千人以上が駆けつけ大成功を収めた。ゲームやアニメ,CG等を通じた人的交流も活性化。両国の架け橋になる人材が育っており心強い。

【問】地域の問題の解決においてサウジアラビアといかに協力していくか。

【安倍総理大臣】地域情勢,国際情勢に加え,二国間協力についてもムハンマド皇太子とも密接に連携している。6月17日には,東京で第3回「日・サウジ・ビジョン2030」閣僚会合を開催し,経済,人材開発,文化交流等幅広い分野で連携の方向性を確認。G20大阪サミットではムハンマド皇太子と両国関係強化の方途や日本とサウジアラビアが本年から来年にかけて続いて主催するG20サミットでの協力につき有意義な意見交換を行うことを楽しみにしている。


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