寄稿・インタビュー

インターファクス通信(ロシア)による安倍総理大臣書面インタビュー

(2019年1月21日付)

「私は平和条約交渉を仕上げていく決意である」

-日本国総理は,なぜ2019年が両国間の交渉において重要な局面となるのかについて述べた-

平成31年1月22日

  • 同記事が1月21日付「コメルサント紙」に掲載

 安倍晋三日本国総理大臣は,モスクワ訪問を前にダリヤ・モロゾワ・インターファクス外交問題特派員のインタビューに応じ,なぜ2019年が露日間の平和条約交渉において重要な局面となるのか,いかなる解決策が日本側にとり受け入れられ得るかといった点について述べるとともに,経済分野での協力の進展について語った。

【問】安倍総理の御発言として,日露間の平和条約交渉は重要な局面に入ってきており,さらに肯定的な成果に達することを期待している旨報じられた。この関連で2019年には日本にとってどのような成果を期待しているか,また,どのような成果を肯定的であると考えるか。

【安倍総理大臣】日露関係は最も可能性を秘めた二国間関係であり,その可能性を現実のものとすべく,私とプーチン大統領で協力して歩みを進めてきている。

 近年,8項目の「協力プラン」の枠組を通じた150を超える民間プロジェクトをはじめ,日露間の協力や交流が格段に広がり,両国議員,経済人,地方,留学生など,あらゆるレベルで両国の対話と交流が深まっている。また,日露間の観光客も2017年は過去最高の18万人を記録するなど人的交流の拡大に拍車がかかっており,両国民の多くが日露交流の進展を実感しつつある。

 この両国関係の潜在力を完全に発揮し,協力を更に大きく前進させるためにも,日露間に平和条約が存在していない状態を早期に解消することが不可欠である。昨年11月のシンガポールでの首脳会談では,これまでの信頼の積み重ねの上に,領土問題を解決して平和条約を締結し,この戦後70年以上残されてきた課題を次の世代に先送りすることなく,私とプーチン大統領との手で必ずや終止符を打つというその強い意志を大統領と完全に共有した。

 今週私がロシアを訪問して,1月22日に日露首脳会談を行う予定である。そして,本年6月大阪で開催するG20においてプーチン大統領をお迎えする。

 今後もプーチン大統領と緊密に協議し,双方に受入れ可能な解決策に至りたい。私とプーチン大統領のリーダーシップの下,戦後残されてきた懸案である,平和条約交渉を仕上げていく決意である。

【問】安倍総理は,安倍総理が提案した日露関係のさらなる発展に係る8項目の「協力プラン」の実現状況に満足しているか。2019年には,どのような分野で新しいプロジェクトが実現し得るか。

【安倍総理大臣】8項目の「協力プラン」では,医療,都市環境などロシア国民が生活の質の改善を実感できるプロジェクトを重視。これは,プーチン大統領が昨年5月の大統領令であげた重点課題と軌を一にしている。ロシアの国力と,日本の技術と経験とが合わさることで,両国にとって大きな果実を産み出すことが出来る。その果実をロシアの人々の日常生活に行き渡らせていきたい。

 現在実施中の主なプロジェクトを御紹介したい。

 医療分野では,ロシア国民の健康寿命を延ばすことに役立つ協力を進めている。ネット会議システムを活用して,日露双方の小児がんの専門家が約1年半の間に遠隔コンサルテーションを20回実施した。また,肥満や生活習慣病の改善に向けて,日本の保健指導ときめ細かいフォローアップの考え方を採り入れた「肥満予防医療プログラム」を実施中である。

 都市環境分野では,ヴォロネジやウラジオストクで交通渋滞の解消に役立つ信号システムが導入され,ヴォロネジでは,渋滞が約2割緩和したという実証結果が出ている。また,ロシアが直面するゴミ処理問題について,日本の先進的な廃棄物処理技術や,分別やリサイクル等のノウハウを活用することで,快適で住みやすい都市作りに貢献することができる。

 エネルギー分野では,ヤマルLNGに,日本企業がプラント建設などで貢献しており,北極LNG2への参画についてもロシア側と日本企業との協議が行われている。風力発電プロジェクトはカムチャッカ半島の実証事業に続き,サハ共和国でも実施されており,低コストで安定的なエネルギー供給に貢献することを期待している。

 極東では,農林水産物の生産力を強化し,アジア太平洋地域への輸出を拡大するためのプロジェクトを日露政府間で協議しており,民間企業の参画を期待している。また,昨年12月,ハバロフスク空港旅客ターミナルの整備・運営に日本企業が参加することとなった。日本の参画によって,より安全で快適な空港となり,多くの旅行客を魅きつけることを期待している。

 日露間の交流を全国各地に広げるために地域間の交流も重視している。昨年は,タタルスタン共和国と石川県,カルーガ州と栃木県,ウリヤノフスク州と福岡県,山口県長門市とソチ市の間で首長レベルでの交流が行われる程進展している。本年は日露知事会議が9年ぶりに開催される予定でもあり,地域間での交流を更に拡大させたい。


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