寄稿・インタビュー

ハンデルスブラット紙(ドイツ)による河野大臣書面インタビュー

(2018年9月6日付)

「日本はドイツとの一層緊密な連携を求める。しかし,反米のためではない」
河野外務大臣は,今まで以上にドイツ政府を重視するが,「米国なくして平和と繁栄はない」。
ドイツとはデジタル化の分野で協力したい考え。

平成30年9月11日

 トランプ米大統領の通商及び外交政策を巡る対立に,国際的な多国間主義の同盟で対抗しようとするマース外相による努力に対し,日本は躊躇しつつも賛同している。河野外務大臣は,「日独は,自由で開かれた国際秩序の恩恵を最も享受してきた国」であり,「日独こそが連携し,こうした秩序の維持・強化のために貢献していくべきとの思いを強くした」と本紙に対して述べている。
 外務大臣に就任して約1年の河野大臣は,現在,外務大臣として初めてのドイツ訪問でベルリンを訪れており,マース外相等と会談する。マース外相は自身の米国戦略の中で,米国に対するカウンターバランスをとることを支持しており,EUは,カナダ,日本,韓国などの国々と共に米国の保護主義に対して立ちはだかるべきだという考えだ。
 「念頭に浮かんでいるのは,協力と法の力を重視する多国間主義に対する確信を有する国々の結束」であり,「この結束は誰かに矛先を向けるものではなく,多国間秩序のための同盟を自負するものである」とマース外相は記している。
 だが,この点こそが同盟パートナー入りを期待される日本にとり,非常に重要なのである。即ち,日本は米国との対立を回避することを望んでいる。河野大臣は,「米国の関与なしに世界の繁栄と平和は不可能である」と警告し,世界第3位の経済大国の外務大臣として「米国を孤立させてもグローバルな課題の解決にはつながらないであろう」と述べた。

 第2次大戦終結以来,日本はアジアにおける米国のもっとも重要な同盟国である。現在も約4万人の米兵が日本に駐留している。そのため,日本政府は,トランプ氏が大統領選中に日本経済を批判した際に驚愕した。

 米国のTPP離脱後,日米両政府は両国間の貿易と相互投資のための新たな解決策を模索している。トランプ大統領が日本車輸入に対し25%の追徴関税を課すとの警告を実行した場合,日本の自動車メーカーにとっては大きな負担となる。日本政府は,この場合,米国製品へ制裁関税を課す旨の脅しを行った。しかし,日本政府はこうした対立を避けたい意向である。

 河野大臣は,日本は,あらゆる措置が世界貿易機関(WTO)協定に整合的であることを重視する旨述べつつ,「様々な意見の相違はあっても,米国とは建設的な意見交換を行っていくことが重要である」と強調した。

 河野大臣の見解によれば,数週間前に署名が行われた日EU・EPAは,「自由で,開かれ,かつ,公正なルールに基づく21世紀の経済秩序のモデル」である。つまり,日・EU・EPAには歴史的側面がある。即ち,同EPAは,発効すれば,計6億人の人口,世界のGDPの30%,世界貿易の40%を占める国々を包括することになる。河野大臣は,市場開放を通じた貿易,投資及び雇用の増加,また,EUと日本の企業の世界規模の競争における強化を期待している。

 日本政府は,米国が一方的に離脱したイランとの核合意という課題において二股をかけようとしている。即ち,できる限り米国政府との対立を避け,同時に日本経済の利害を守る,ということである。河野大臣は,日本政府はイランとの核合意を支持しているが,「米国の措置が日本企業の活動に悪影響を及ぼさぬよう」,米国との協議を行う意向であるとしている。同大臣は,日本が今後もイランの石油を輸入するか否かについては,何も言わなかった。

 多国間主義の世界秩序のための同盟とは別に,河野大臣は更なる重要な日独協力の分野を指摘する。河野大臣は,先進国である両国が直面する,経済・社会構造の変化がもたらす課題は類似しているとし,その例として,少子高齢化,環境問題,デジタル化の必要性,人工知能の技術の進展,そして製造業の競争力維持を挙げる。

 河野大臣は,両国が有する高度な産業技術の知見を共有することで,両国は経済・社会構造の変化をうまく克服していけるであろうし,互いの国を参考にすることは,発展した新しい社会の在り方にも建設的な刺激を与えるだろうと述べる。


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