寄稿・インタビュー

ブータン国営放送局(BBS)による河野外務大臣インタビュー

(2018年6月24日)

平成30年6月27日

英語版 (English)

【インタビュアー】お忙しい中,インタビューの時間を頂き感謝。今次ブータン訪問の意義いかん。

【河野外務大臣】今回,日本の閣僚として初めてブータンを訪問でき嬉しく思う。ブータン国王夫妻が東日本大震災の直後に福島を訪問して頂いたことに改めて感謝の意を表したい。国王夫妻のご訪問は被災した人々に多くの勇気を与えて下さり,復興に繋がった。また,昨年,眞子内親王殿下がブータンを訪問した際,ブータンの人々が大歓迎して下さったことに,深く感謝申し上げる。眞子内親王殿下がブータンの人々にも人気があるということを嬉しく思っている。

【インタビュアー】トブゲー首相とも会談されたと承知しているが,どのようなことを議論したのか。

【河野外務大臣】ブータンの第11次5か年計画が終了し第12次5か年計画が開始されるにあたり,我々はブータンの経済発展のみならず人材育成においても協力できることを嬉しく思う。我々は,ブータンの若い人材が日本で教育を受けるための人材育成に係る奨学計画についての交換公文に署名したところである。我々はブータンの人材育成に貢献できることを嬉しく思う。農業分野においても議論を行った。我々はダショー西岡のことを決して忘れていない。農業機械化公社を訪問したが,ブータンの若者達にダショー西岡の魂が受け継がれていると感じた。耕うん機や他の必要な機材でブータンの農業分野を支援でき嬉しく思う。また,多くのブータンの若者達が日本語を学習していることも嬉しく思う。ブータン政府とはブータン国内における日本語能力試験(JLPT)の実施について議論を行っており,訪日したブータンの人々が日本語だけでなく他の多くの分野でも学んで頂くことを考えたい。トルゲー首相とは,今申し上げた分野においてどのような協力ができるかということと共に,北朝鮮などの地域情勢についても議論を行った。

【インタビュアー】人材育成事業については,技術分野における職業訓練に重点を置いたものなのか。

【河野外務大臣】我々はブータンの若い行政官が日本へ留学することを支援できることを嬉しく思っており,そのための奨学金を準備している。加えて,ブータンの人々が日本語を学習することを積極的に支援し,ゆくゆくは日本の高等教育で学んで頂きたいと考えている。そして,ブータンの若者達が来日し日本語を学び,パートタイムの仕事に就くといったメカニズムを作っていきたい。

【インタビュアー】日本語能力試験は,ブータン人だけではなく,全ての日本語学習者が受験できるものなのか。

【河野外務大臣】現在,日本語能力試験の実施についてはブータン政府と議論しているところである。自分もこの点についてブータン政府と話をしたが,ブータンでこの議論ができることを嬉しく思う。

【インタビュアー】日ブータン関係についてお伺いする。両国関係について,どのように考えているか。

【河野外務大臣】両国関係は大変良い。両国の皇室と王室も非常に親しい関係にある。ハイレベルの交流もある。トブゲー首相やドルジ外相を日本にお迎えしている。両名には自分の地元にも来て頂いた。自分も嬉しいことに,日本の閣僚として初めてブータンを訪問することができた。両国関係は大変良く,温かく親しみに満ちた特別な関係である。また,ダショー西岡の記憶を共有している。

【インタビュアー】日ブータン関係の展望につき,見解いかん。

【河野外務大臣】日本とブータンは民主主義や法の支配や基本的人権といった重要な価値観を共有しており,国際場裡において,例えば国連やその他の国際機関において,互いに協力してきた。現状,経済的繁栄を支えてきたリベラルな国際秩序は挑戦にさらされており,日本とブータンは両国間だけではなく,世界的な視座でリベラルな国際秩序を支持していかなければならないと考えている。

【インタビュアー】日本は,ブータンの特に農業分野に対して支援を行ってきた。それによりブータンの農民の生活が改善しているが,日本は今後農業分野において更にどのような支援が可能か。

【河野外務大臣】ブータンでは60%近くの人々が農業に従事していると承知しており,農業分野をどのように成長させるかが将来的な成長のカギだと考えている。ブータンは今LDCから卒業しようとしているが,我々は今後ともブータンを支援する用意がある。例えば,ブータンの松茸は日本でとても人気があり,両国は多くの分野で協力できると考えている。ダショー西岡について改めて言及するが,農業分野において若者だけでなくシニアの日本人ボランティアが活躍している。ブータンの農家の発展と日本の消費者がオーガニックの良質な農産品を購入できるということからも,農業は両国を繋いでいると考えている。

【インタビュアー】貴大臣は,農業機械化公社を訪問されたが,農業分野の機械化につき,今後の展望いかん。

【河野外務大臣】農家の皆さんは機械部品を自ら製造していることを喜んでいると思う。日本からスペアパーツを送る必要がなく,ブータンの若者は現地で機械のスキルを高めることができる。将来的に,日本はブータンの人々に更に高度な技術を伝達することで,様々な種類の果物や野菜をより効率的に生産することを追求できると考える。我々が共に取り組める可能性は沢山存在しており,更なる協力ができることを嬉しく思う。

【インタビュアー】ブータンがLDCを卒業し若い発展途上国となるにあたり,農業分野以外において,日本はブータンに対してどのような役割を担うことができるのか。

【河野外務大臣】多くの分野で協力できると考えている。例えば,ブータンの若者達が高等教育を受けることが国際社会への機会を開いていく上で重要であり,日本語学習も含めて支援することが大切だと考える。また,ブータンは観光分野で様々なリソースがあり,より多くの日本人がブータンを観光で訪れるようになることを期待している。観光産業はブータンに明るい未来をもたらす。医療の分野でも,癌やその他の病気の研究を通じて,国際的に貢献できる。我々が一緒に取り組めることは多い。トルゲー首相,ドルジ外務大臣とこのような様々な課題について議論でき嬉しく思う。

【インタビュアー】日本は先進国として,なぜブータンのような小国に米国と同じくらいの関心を持って重要視してくれるのか。

【河野外務大臣】日本は経済的に発展しているかも知れないが,アジアの国である。ブータンと日本はもう一つの価値を共有している。ブータンに来てみると,日本の昔の村を思い出す。60年代,70年代に日本は高度経済成長を成し遂げたが,発展の過程で失ったものもあると思う。他方,ブータンは,経済的な発展を追求すると同時に,文化,社会,伝統的なものを守っている。これらがアジア人として我々の胸に響く。日本は,G7やG20でアジアを代表しようとしているが,ブータンは同じ価値観を共有しているアジアの一員である。これは非常に重要なことだと思う。日本が先進国としての役割を果すと同時に,アジア諸国との強い関係を持っている。そして,これからもアジアの人々,文化と関係を持ち続けていくことで,実際に国際場裏において日本はブータンの声を代弁することができると思う。

【インタビュアー】素晴らしいお話に感謝する。日本とブータンとの特別な関係,日本との絆がより強くなることを期待する。

映像は下記のリンク(英語)からご覧頂けます。


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