寄稿・インタビュー
イッティハード紙(UAE)による河野外務大臣インタビュー
(2018年1月13日付)
「日本国外務大臣:UAEは戦略的パートナー」
河野太郎日本国外務大臣は,日本政府が戦略的パートナーとしてUAEを極めて重視していることを強調した。河野大臣は,両国間の関係の強化を楽しみにしていることを挙げるとともに,意見交換や認識の一致の観点から,昨年12月の外務大臣としてのUAE初訪問が「実り多い」ものであったと述べた。河野大臣は,日本・UAE間の重層的関係の厚みを増やしていくことへの希望を表明した。
河野大臣は,国際再生可能エネルギー機関(IRENA)第8回総会への出席のためUAEを訪問する折に,イッティハード紙に対して「昨年12月のUAE訪問は,外務大臣就任以来初のものであった。この訪問は,非常に実り多いものであった。私は,ムハンマド・アブダビ皇太子及びアブダッラー外相と会談を行った。我々は,二国間の関係を更に強化していくことで一致した」と述べた。
河野大臣は,教育,宇宙,再生可能エネルギーや,特に北朝鮮への圧力強化の分野における二国間協力を含む様々な分野における意見交換を行ったことに言及した。河野大臣は,「外務大臣として今回4回目の中東訪問であり,なぜならば,日本としては中東の平和と安定に一層に貢献したいと考えているからである」と加えた。
二国間関係について,河野大臣は「戦略的パートナーとして,日本はUAEを極めて重視している。まず教育分野については,アブダッラー外相は教育関係に大変熱心と承知しており,自分も外務大臣として協力していくことを楽しみにしている。12月の外相会談において,両国の留学生を相互に増やしていくことが重要であるという点で一致した」と述べた。また,河野大臣は,「2006年からアブダビ日本人幼稚園・学校で受け入れてきた現地子弟は,第一期生が本年3月に同校を卒業し,日本の高校へ進学予定である。彼らは両国のかけ橋となる存在である」と述べた。更に,河野大臣は,昨年,ハンマーディ教育大臣,ムハイリー公教育担当国務大臣等が相次いで訪日し,文部科学大臣との面談や学校教育現場の視察を行ったことに言及した。河野大臣は,「我々は,道徳教育や理数教育の充実など,両国に共通する教育分野の関心事項について,知見を共有できたら良いと考えている」と述べた。
河野大臣は,両国が2016年に両国宇宙機関及び両国政府間で了解覚書に相次いで署名したことに言及し,これら合意に基づき,人材育成や宇宙科学分野に関する協力が進められていることを強調した。加えて同大臣は,日本企業が,2018年にはUAE初の国産衛星であるKhalifaSatを,2020年には中東初となる火星探査機の打ち上げを担うことが合意されている,我が国がUAEの国家プロジェクトに貢献できることを誇りに思う,と述べた。また,河野大臣は,エネルギーを含む経済分野での協力はこれまで両国の関係の中心であったことに言及した。
河野大臣は,「短期的には,他国において再生可能エネルギー分野でのUAEとの協力を進めたい。日本はスウェイハンにおける世界最大級の太陽光発電事業への貢献の実績がある。アブダッラー外相との12月の会談において,同外相から再生可能エネルギーに関して,UAE側が自国内だけでなく,他国においても取組を進めていることの説明があった。日本としても協力できる分野と考えている」と述べた。
エルサレムについてのトランプ米大統領の発表の結果について,河野大臣は,「トランプ大統領のエルサレムに関する発表以降,衝突により死者や多数の負傷者が出ていると承知している。本件の動向については大きな関心を持って注視している。イスラエル・パレスチナ間の紛争解決のための『二国家解決』を支持するという本件における日本の立場は変わっていない」と述べた。
河野大臣は,エルサレムの最終的地位は,これまでの関連国連安保理決議や当事者間の合意等に基づき,当事者間の交渉により解決されるべきとの立場を日本がとっているという事実に言及した。また,河野大臣は,「平和と繁栄の回廊」構想やその旗艦事業であるジェリコ農産加工団地(JAIP)といった独自の取組等を通じて,当事者間の信頼醸成やパレスチナの経済発展を促し,中東和平の実現に向け,日本らしい貢献を今後も進めていく,UAEを含めた湾岸諸国にもJAIP産品が流通することを期待していると述べた。