寄稿・インタビュー

ドーン紙(パキスタン)による河野外務大臣インタビュー

(2018年1月4日付)

「我々はパキスタンのテロ対策を支援する」

平成30年1月5日

 パキスタンの政・軍指導者と会談を行うためパキスタンを訪問している日本の河野太郎外務大臣は3日,本紙のインタビューに応え,日本はテロとの戦いにおけるパキスタンの真摯な取組に留意していると述べた。
 同大臣は,日本は,地域の安定と発展のためパキスタンと緊密に協力する用意があると述べるとともに,パキスタンは地域の安定のため卓越した役割を担っており,国際社会の安定と繁栄にきわめて重要であると述べた。

【問】今般の河野大臣の訪問は,2009年の岡田大臣の訪問以来の外務大臣の訪問となるが,今次パキスタン訪問の重要性,地域の平和と安全の観点におけるパキスタンの重要性及び役割についての考えいかん。

【河野外務大臣】2018年最初の外国訪問国として,長年の友好国であるパキスタンを訪問することが出来,大変嬉しく思います。
 日本とパキスタンは,昨年,外交関係樹立65周年を共に祝いました。両国の友好関係は,経済交流や人的交流など様々なレベルの交流が多層的に積み重なったものであり,今後更に発展していく可能性を秘めています。
 両国の友情を表す一例として,これまで両国は困難に直面した際,互いに助け合ってきました。日本が2011年に東日本大震災で未曾有の被害に見舞われた際,日本のパキスタン人コミュニティーは,いち早く被災地に駆けつけ,温かいパキスタン料理を配り,被災者を励ましてくれました。またパキスタンが2005年の震災や2010年の洪水で被害を受けた際,日本は緊急援助隊や物資を送り,パキスタンの人々に寄り添いました。日本とパキスタンの友情は互いへの尊敬と思いやりの精神から成り立っています。
 パキスタンはその地政学的な重要性から,地域の安定に大きな役割を担っており,国際社会の安定と繁栄にとって,極めて重要な国です。日本は地域の安定と発展に向け,パキスタンと緊密に協力していきたいと考えています。そのため,パキスタンと地域及びグローバルな課題への認識を共有し,治安・テロ対策分野での協力や経済関係強化に向けた取組を進め,良好な両国関係を更に強固にすることを目的として,今回パキスタンを訪問しました。

【問】政府と軍指導部がテロを撲滅するために真剣に努力してきた結果,パキスタンの治安状況は大幅に改善した。治安状況の改善が日本からパキスタンに対する投資に与える影響につき,河野大臣の考えいかん。

【河野外務大臣】日本は,パキスタンのテロとの闘いにおける真剣な努力を高く評価しています。同時に,テロの犠牲者に心から哀悼の意を表します。テロはいかなる理由によっても正当化できず,日本は,全てのテロ行為を断固として非難します。
 日本はこれまで,テロと立ち向かうパキスタン政府とパキスタン国民の努力を力強く支援してきました。例えば,水際対策向上のために,パキスタン各地の空港に保安セキュリティ関連機材の供与を行っているほか,連邦直轄部族地域に対する支援等を実施しております。日本は,テロ対策分野での協力を重視しており,引き続きパキスタンを支援していきたいと考えています。
 パキスタンのテロとの闘いの成果である近年の治安改善が,今後,日本企業の進出促進につながっていくことを期待します。先日,在京パキスタン大使館で開催された貿易と投資に関するパキスタンセミナーでは,参加者の募集を開始してたった2日で,定員100名を大きく上回る参加者が集まったと聞きました。これは日本企業のパキスタンへの関心の高さの現れだと思います。このようなセミナーや両国の経済界の交流を通じて,今後,両国の経済関係が更に深まっていくことを期待します。

【問】世界銀行やアジア開発銀行などの多国間援助機関は,2018年のパキスタンのGDP成長率を5.5%と予想しているが,日本として,パキスタンのかかる経済実績に満足しているか。また,パキスタンがかかる経済成長を維持・発展させていくための方策について,日本の考えいかん。

【河野外務大臣】パキスタンは約2億人の人口を有し,その多くが若年層という,高い潜在性を有する国であるとともに,英語で教育を受けている人材が豊富という強みを持っています。その一方で,パキスタンには,エネルギーの安定供給や治安向上といった課題があります。
 現在,アバシ政権が取り組んでいる経済改革,治安改善,輸出促進に向けた取組は,パキスタンの課題を克服し,パキスタンの強みを発展させる政策であり,日本は,これを強く支持しています。今回の訪問では,パキスタン政府の取組に日本は引き続き協力していくというメッセージを伝えたいと考えています。
 パキスタン経済は,2018年には5%以上のGDP成長率が予測されるなど,近年好調な動きを見せています。自動車製造業,生活用品製造などの分野で日本企業の新規投資や進出の話もより多く耳にするようになっており,とても喜ばしいことです。日本政府としても,企業の活動をしっかり後押しし,両国の経済的な結びつきを更に深めていきます。
 パキスタンが経済成長を維持していくには,競争力のある産業を育成し,輸出力を強化していくことも重要であり,日本は,パキスタンの輸出産業の強化のため,高付加価値品製造に向けた支援策等で協力していくことができると思います。

【問】中国・パキスタン経済回廊(CPEC)構想は,ゲーム・チェンジャーになると言われている。CPECの見通しについての河野大臣の考えいかん。また,同構想は基本的にインフラ開発であるが,同構想において日本企業が果たしうる役割いかん。

【河野外務大臣】日本は,パキスタンの伝統的な友好国であり,パキスタンの発展に対し,日本は関心を有しています。CPECについては,地域の安定と繁栄に貢献するものである必要があると考えます。インフラ整備についていえば,日本は,開放性・透明性,経済性,被援助国の財務健全性といった国際スタンダードに則った質の高いインフラ整備を推進しており,こうした取組を通じ,パキスタンの発展に貢献していきたいと考えています。
 具体的には,これまでハイバル・パフトゥンハー州とシンド州を結ぶインダス・ハイウェー整備やコハット・トンネル建設等により,道路交通の円滑化に貢献してきました。また,ガジ・バロータ水力発電所建設や送電網整備により,電力供給能力の向上にも寄与してきました。
 こうした質の高いインフラ整備により,パキスタンの経済・社会基盤の改善が進み,更に多くの日本企業の進出に繋がるよう,これからもパキスタン政府と緊密に協力していきたいと思います。


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