寄稿・インタビュー

タス通信(ロシア)による河野外務大臣書面インタビュー

(2017年9月6日付)

「河野太郎:将来の日露関係に思い入れがある」

平成29年9月6日

(問)河野大臣の祖父と父は日露関係の発展に積極的に取り組まれました。大臣が考える日露関係の主題はなんでしょうか。ご自身はロシアに個人的な繋がりを感じていますか。

(河野外務大臣)政治家であった祖父も父も,日ソ関係,日露関係の進展に深く関わりました。私自身も日露の将来に対して大きな思い入れがあります。勿論,個人的な思いだけではなく,今は日本国の外務大臣として,平和条約問題を含め,幅広い分野で日露関係を双方の利益に資する形で深化させ,前に進めていく責任を感じています。
 そのような中で,私にとって外務大臣としての初めての訪露が,ウラジオストクにおける東方経済フォーラムへの参加となりました。日本もロシアも,アジア太平洋地域の責任ある一員です。両国が重要なパートナーとして安定した関係を築くことは,地域の安定と発展にとって極めて重要です。

(問)日露関係において様々な分野で積極的な協力活動が行われている中,最も重要と考える分野は何でしょうか。

(河野外務大臣)(ロシアは日本の)アジア太平洋地域における重要なパートナーであり,あらゆる分野で協力を深めていく中で,取り組むべき両国にとっての最も重要な課題は平和条約の締結です。戦後70年以上も平和条約が結ばれていない状況は異常と言えます。
 昨年12月のプーチン大統領訪日の際,平和条約締結に向けた両首脳の真摯な決意が表明されました。共同記者会見においてプーチン大統領は,「最も重要なのは平和条約の締結である」と述べています。
 経済分野に関しては,私とシュヴァロフ第一副首相が共同議長を務める貿易経済日露政府間委員会を指摘せねばなりません。これから同第一副首相と緊密に協力したいと思っています。また,昨年安倍総理が提案した8項目の「協力プラン」は急速に具体化しています。ウラジオストクやヴォロネジをモデル都市とした都市開発や,医療分野での協力など,国民レベルで日々の生活の改善に役立つ協力が進められています。
 交流分野では,2018年が「ロシアにおける日本年」,「日本におけるロシア年」となっていますが,政治,経済,科学,教育,青年,スポーツ,自治体間など様々な分野で多数の交流事業が計画されています。
 日露外務・防衛閣僚協議,いわゆる「2+2」が3月に行われました。日露両国が安全保障分野での対話を進めることは非常に有益です。
 ウラジオストクでの首脳会談においても,安倍総理とプーチン大統領との間で,こういった幅広い分野での協力について有意義な議論が行われ,それが平和条約の締結に繋がっていくことを我々は期待しています。

(問)二国間関係の議論の中で,最も注目される議題のひとつに,島での共同経済活動があります。大臣はこの活動のうちどの分野に,最も将来性があると考えていますか。最初の顕著な成果が見られる時期をいつと予想されますか。

(河野外務大臣)昨年12月のプーチン大統領の訪日の際,両首脳は,漁業,海面養殖,観光,医療,環境その他の分野での共同経済活動につき話し合うことで一致しました。豊かな自然,地理的環境といった四島の潜在力を考えれば,これらの分野はいずれも有望です。
 8月7日のマニラでの私とラヴロフ外相との会談でも,6月末の四島での現地調査等の取組を踏まえ,双方の法的立場を害さない形で,経済的に意義のあるプロジェクトを可能な限り早期に実現できるよう検討を進めていくことで一致しました。
 結果達成の時期について予断はできません。しかし,日露が共に,四島の未来像を描き,その中から,(この問題の)双方に受け入れ可能な解決策を見出していくという未来志向の発想により,平和条約の締結という日露両国共通の目標にたどり着くことができると考えています。

(問)現在のところ,貴大臣はラヴロフ外相と一度しか会談を行っていませんが,その時のラヴロフ外相との会談の評価いかがでしょうか。今後ラヴロフ外相と会談する予定,あるいはモスクワを訪問する予定はありますか。

(河野外務大臣)8月7日に,ラヴロフ外相と最初の会談を行いましたが,会談は30分以上にわたり続き,充実した,かつ個人的信頼関係の構築に資するものとなったと考えています。
 会談では,四島での共同経済活動を含む二国間関係の他,北朝鮮問題についても意見交換を行い,(対北朝鮮)安保理決議の採択を歓迎し,日露で様々なレベルで引き続き連携していくことを確認しました。また,9月1日には,北朝鮮のミサイル発射を受け,ラヴロフ外相と電話会談を行いました。
 ラヴロフ外相は,13年以上もロシアの外相を務める経験豊かな政治家であり,初会談でもその重みを感じました。今後も,同外相と率直な議論を重ね,日露関係をさらに前進させていきたいと考えています。ラヴロフ外相からは訪露招待を受けたので,早い時期にモスクワを訪問できることを楽しみにしています。

(問)近時,北朝鮮をめぐる状況に国際社会全体の注意が向けられています。日本は幾度となく,北朝鮮へ圧力を強めることが必要だと述べていますが,これ(圧力の強化)が問題の根本的な解決に効果的な方法だと考えていますか。ロシアと中国が提案した北朝鮮の核・ミサイル開発の凍結を求めると同時に米韓の大規模軍事演習を中止するとの提案について見解いかがでしょうか。

(河野外務大臣)9月3日の核実験は,国際社会に対する正面からの挑戦であるとともに,日本を含む地域の安全に対する,これまでにない重大かつ差し迫った脅威です。今回の核実験を含め,北朝鮮が国際社会の度重なる警告を無視して挑発を続けていることは断じて容認できません。北朝鮮から非核化に向けた具体的な行動を引き出すためには,国際社会全体として最大限の圧力をかける必要があります。
 中国及びロシアが朝鮮半島の緊張を緩和するための方策として,北朝鮮との対話に関する提案を行っていることは承知しています。しかし,北朝鮮の核・ミサイルの脅威に備えるための米韓合同軍事演習を,安保理決議等に明白に違反した北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射と同列に論じることはできません。
 日本としては,引き続き,米国,韓国のみならず,中国,ロシアを含む国際社会と活発に連携しながら,北朝鮮に対する圧力を強化し,諸懸案の解決に向けた具体的な行動を強く求めていきます。


このページのトップへ戻る
寄稿・インタビューへ戻る