寄稿・インタビュー

ジャホン通信(ウズベキスタン)への岸田外務大臣寄稿

(2017年4月30日)

「相互尊敬と相互利益を体験しながら」

平成29年5月9日

 本年5月1日,アシガバッドにおいて「中央アジア+日本」対話・第6回外相会合が開催される。これに関して,「ジャホン」は本件会合にあわせる形で,岸田文雄日本国外務大臣の寄稿記事を提供する。

 本年,日本と中央アジア各国は外交関係樹立25周年という記念すべき年を迎えた。その25年間,我が国は寄り添いながら,中央アジア5か国のそれぞれの国の国づくりの歩みを後押ししてきた。
 独立当初に起こった混乱の中,これらの国家が自身の新しい発展を始めた状況や必要な支援は様々だったが,日本にとって各国を支援する一つの理念が存在していた。国作りの要は「人づくり」だということである。
 これは戦後の荒野から特別な資源もない日本が大きな成長を遂げられたのは,教育に心血を注ぎ込んで人材の能力育成を行ってきた賜物であるという経験に裏付けられている。私の出身地である広島も原爆投下により壊滅状態となったが,残された人々の弛まぬ努力により,この地球における緑豊かな文化平和都市に大きく生まれ変わり,世界の要人が訪れている。
 新しい国作りに貢献する国になりたいという想いを胸に,日本はただインフラを作るだけに終わらず,途上国の研修員を受け入れ,指導のための専門家派遣を行っている。このような目的のため,中央アジアに現地の人材育成を目的としたトレーニングセンターが開設された。過去25年間,日本はこの地域の国から様々な分野を代表する9668人の研修生を受け入れ,2578名の専門家を派遣した。これら共和国からの留学生は日本の大学院で修士号を取得し,政府やビジネス界で要職に就き,国づくりにおいて重要な役割を果たしている。
 我が国は「人づくり」の側面とともに,地域協力の重要性を指摘してきた。2004年,東京は「中央アジア+日本」対話を立ち上げた。我々は,もし地域の全ての国が共通する問題の解決のために努力を結集すれば,安定の強化と発展の手助けとなるのみならず,5か国の国際社会における立場を強化することになると考える。
 5月1日に「中央アジア+日本」対話の第6回外相会合が行われる。今回の外相会合では,日本としては,各国の安定と発展に直結する,運輸・物流分野に焦点を当てたいと考えている。私は,このような日本の姿勢は今日の友好関係の基礎になっているものと自負している。
 現在,力強く発展している中央アジア諸国との協力分野と可能性は大きく拡大している。経済支援,政治対話,地域協力に加え,我々は国際場裏で協力し,ビジネス,文化交流支援を実施している。これを象徴するのが,2015年10月の安倍晋三内閣総理大臣による中央アジア5か国の訪問である。日本代表団には50以上の経済団体の代表が含まれていた。また,地域の国々と日本との関係を更に深化させることを目的とし,交流の実施及び発展のためのプロジェクトを検討すべく,各国に文化ミッションを派遣することが決定された。この歴史的訪問により二国間関係を更なる高みに引き上げることとなった。
 ウズベキスタンは日本人にとって,一生に一度は訪れてみたい場所である。ウズベキスタンはシルクロードの豊かな文化遺産を有し,サマルカンドは世界遺産の町である。今年,ウズベキスタンと日本各地を結ぶチャーター便が10便運行されるが,これは日本人の間でウズベキスタンが高い人気を誇っていることの現れである。政治,経済,文化など様々な分野で関係は深化しており,我々はミルジヨーエフ大統領指導下のウズベキスタンとの更なる協力発展に期待している。
 両国の外交関係は25年だが,両国民の歴史的・文化的な結びつきは何世紀もの間繋がっていた。多くの日本人が憧れをもって中央アジアと偉大なシルクロードとを結びつける。日本文化の礎となっている仏教も,またそれを豊かにした文明と文化はシルクロードを通って西方から伝来した。
 日本と中央アジアの国民は,お互いに敬意を払い,相互利益を有している。このことにかんがみ,私は,各国との交流,就中人的交流がより活発になり,我々が手を携えて共に歩んでいけるよう尽力していきたいと考えている。


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