寄稿・インタビュー
コンパス(インドネシア)紙による安倍総理大臣インタビュー
(平成29年1月15日付)
「インドネシアと日本のパートナーシップを強化する」
インドネシア・日本関係は本年59年目を迎えた。両国の協力関係は,2015年3月に,海洋における安全保障及び経済開発,人材育成の協力を推進する海洋フォーラムが立ち上げられてから,海洋問題をはじめとする経済分野を中心に益々緊密化している。
15日,安倍総理とジョコ・ウィドド大統領は,この協力について話し合うためボゴール宮殿で会談する。安倍総理が総理としてインドネシアを訪問するのは2001年,2003年,2007年に続き4度目となる。安倍総理は,コンパス紙との書面インタビューの中で,日本にとってインドネシアは重要な役割を担っている,日本とインドネシアは自由,民主主義,人権,法の支配といった普遍的価値を共有し,地域や国際社会の課題に共に取り組む戦略的パートナーである,と強調した。安倍総理は,「私はインドネシアとの関係を重視している。今年最初の外国訪問先の1つとしてインドネシアを選んだのはその証左である」と述べた。安倍総理は,特に海洋問題について,インドネシアと日本は共にアジアにおける主要な海洋国家であり,両国の安全と繁栄は,まさに平和で安定した,自由で開かれた海にかかっている。海洋における紛争は,武力の行使による威嚇に訴えず,国連海洋法条約等に従って,平和的に解決することが重要だ,と述べた。また安倍総理は海洋安全保障を維持するため,これまでインドネシアに対し,巡視船供与,レーダー施設整備,人材育成等の海洋安全保障分野での能力向上支援や,港湾等の海洋インフラ整備,水産業振興に係る支援を行ってきたが,2015年3月に合意された日本・インドネシア海洋フォーラムの下で今後こうした協力をいっそう推進していくと述べた。安倍総理は,「こうした協力を一層強化し加速していくことは,両国のためだけでなく,地域と国際社会の平和と繁栄にとっても極めて重要と考えている」と語った。
貿易・投資
今回の安倍総理の訪問に少なくとも29名の日本のビジネス界のトップが同行している。このビジネス・ミッションはインドネシアへの投資の可能性を探るために同行している。経済成長を続けるインドネシアとの貿易・投資の拡大は日本にとって大変重要であり,日本は,官民挙げて経済関係を強化していくと述べている。また,両国はパティンバン港,ジャカルタ-スラバヤ間の鉄道,電力を含むインフラ整備,地域開発等の分野で協力を推進していくことで合意している。ASEANは本年設立50周年を迎えるが,この間,日本とASEANは平和と繁栄のパートナーとして緊密な関係を築いてきた。ASEANが次の半世紀にますます発展できるよう,日本はASEANの中心的存在であるインドネシアとの連携を一層強化していくと述べた。
テロ対策
過激主義とテロ問題に関し,安倍総理は,各国がテロへの対処能力を高めることが重要であり,また,より根本的には,若者が希望を持って暮らせるような社会の構築が重要である,日本は,穏健主義の推進活動支援や安定した社会を構築するための開発支援を通じて過激化の防止を計るためにインドネシアと協力を進めていくと強調した。
安倍総理は「今回は,ジョコ大統領の格別のはからいで,初めてボゴールを訪問できることを,大変楽しみにしています。ジョコ・ウィドド大統領とともに,将来に向けて,この有意義なパートナーシップを更に強化していきたいと思います。日本はインドネシアの伝統的な友好国です」と述べた。