寄稿・インタビュー

ビエンチャンタイムズ紙(ラオス)による岸田外務大臣インタビュー

(2016年7月25日付)

「日本の外務大臣ASEANの中でのラオスへの支援を述べる」

平成28年7月25日

 最近,ラオスと日本は,1955年から2015年で外交関係樹立60周年を迎えた。1955年から両国のハイレベルの要人や民間の往来が活発化している。過去60年間において,両国はお互いに支援し合ってきた。日本の岸田文雄外務大臣は,現在ビエンチャンで開催されているASEAN外務大臣関連会合に参加している。ビエンチャンタイムズ紙は,この機会にインタビューを行った。

(問)今回で今年2回目の訪問。前回訪問では,インフラ,人材育成等の支援強化を発表された。今次訪問において,日本政府はどのような分野において日ラオス関係の強化を期待しているか。

(岸田外務大臣)サバイディー(こんにちは)。本年5月,初めて外務大臣としてラオスを訪問した際,ラオスの皆様に大変温かく歓迎していただきました。雄大なメコン河,穏やかな国民性など,魅力豊かなラオスを再び訪問できたことを大変嬉しく思います。
 現在,ラオスは第8次経済社会開発5か年計画の実現に向けて力強い取組を進めています。そのためには,メコン地域の中心に位置するラオスが,地域物流の拠点として発展すべく,ハード・ソフトの両面で周辺国との連結性を強化することが重要です。また,産業を多角化し,競争力を強化するための産業人材の育成が急務です。さらに,持続可能な発展に向けて,均衡の取れた都市・地方開発を進めて行くことも必要です。
 現在,日ラオス両政府は,中長期的な開発協力の方向性を示す「開発協力共同計画」の策定に取り組んでおり,近い将来,皆様に計画をお示しできることを楽しみにしています。今後とも,ラオスの実情に即した支援を行っていきます。

(問)日本とラオスの「戦略的パートナーシップ」の進展状況は。

(岸田外務大臣)日ラオス外交関係樹立60周年を迎えた昨年,両国関係は「戦略的パートナーシップ」の関係へと格上げされました。
 外交関係樹立60周年の各種イベントでは,日本国内の様々な友好団体の関係者がラオスを訪れ,両国間の交流が進んだことを大変嬉しく思います。今年に入ってからも,5月に私がラオスを訪問したことに加え,G7伊勢志摩サミットアウトリーチ会合に,就任直後のトンルン首相に出席いただき,議論に貢献していただきました。
 近年,日本企業のラオスへの関心が高まっています。ラオスの日系企業数も2012年の約60社から現在約130社にまで急増しています。さらに,本年5月には,日ラオス航空協定が発効しました。将来,両国間に直行便が就航すれば,日系企業によるラオスへの投資や,人的交流もより一層促進されるでしょう。
 このように,日ラオス関係は,多くのレベル・分野で着実に進展を遂げており,まさに「戦略的パートナー」の関係に相応しい関係へと発展しつつあります。日本は,ラオスの「真の友人」として,今後も胸襟を開いて,対等かつ率直に語り合える関係を続けていきたいと考えています。

(問)「日・メコン連結性イニシアティブ」により期待される便益とは何か。

(岸田外務大臣)本年5月,私はラオスを含むメコン諸国を訪問し,「日メコン連結性イニシアティブ」の立ち上げを提案しました。ASEAN統合を発展させ,どの国も成長の道筋から取り残さず,成長の果実を地域全体に広げるためには,「生きた」連結性の実現が鍵となると考えたからです。
 私が考える「生きた」連結性とは,各国をつなぐ道路や橋といったインフラを整備するだけではなく,モノやヒトの行き来を活発化させるための制度整備や,産業を担う人材育成を行い人的なネットワークを拡大することで,整備されたインフラが一層活用されるようになることを意味します。
 例えば,タイのムクダハンとラオスのサバナケットを結ぶ第二メコン国際橋は,日本の支援により2006年に開通しました。それまで海上輸送で2週間かかっていたバンコク・ハノイ間は,最短で陸路3日になりました。通関業務を改善することで物流を円滑化します。また,タイ,ベトナム等の近隣国とともに,周辺地域の産業政策や人材育成もあわせた開発を推進することにより,より多くの物流を生むことができます。
 「日メコン連結性イニシアティブ」は,あくまでもメコン諸国が主役です。メコン諸国の方々が独自に行っている取組を日本としてもきめ細かく支援できる仕組みを作り上げていきたいと考えています。

(問)「日・メコン連結性イニシアティブ」において,日本はラオスにどのような協力を期待するのか。

(岸田外務大臣)本年5月に私がラオスを初めて訪問した際に,トンルン首相に対して,「日メコン連結性イニシアティブ」についてご説明するとともに,日本はメコン地域の中心に位置するラオスを大切にしていきたい旨お伝えしました。トンルン首相からは,同イニシアティブに賛同いただくとともに,特に人材育成や技術協力に対する期待の言葉を頂きました。
 ラオスは,メコン地域の陸運の中心として,地理的に非常に重要な位置を占めています。また,この地域を象徴する母なる河メコンは,全長の半分近く(参考:ラオス領内1,900km/全長4,350km)がラオス国内を流れており,メコン地域各国の中でも最長となっています。
 「日メコン連結性イニシアティブ」では,メコン地域の経済回廊の「生きた連結性」の促進に加えて,メコン地域の中央を貫くメコン河の環境を保護するための取組も進めていきたいと考えています。これらの取組をぜひラオスと緊密に協力して進めたいと考えます。

(問)日本政府が,ASEAN議長国としてのラオス政府に期待する役割は何か。

(岸田外務大臣)日・ASEANの協力関係は,2013年の「友好協力ビジョンステートメント」の下,政治・安全保障,経済,社会,文化・人的交流の各分野において着実に進展しています。
 2016年は,ASEAN共同体元年となる重要な年です。日本は一貫して,ASEANの対等な戦略的パートナーとして,ASEAN共同体の強化を支援し,ASEANの中心性と一体性を強く支持してきており,今後も強く支持します。日本は,議長国ラオスが提示する本年の優先8分野を支持し,ASEAN共同体の更なる統合努力を引き続き全面的に支援します。また,ASEAN共同体が,地域協力の中心として,また法の支配や民主主義といった価値を共有するパートナーとして,地域・国際社会の問題に力強く対処し,法の支配に立脚した地域の安定と繁栄を主導していくことを強く期待します。
 本年のASEAN関連会議において,日・ASEANの協力関係の強化及び地域の安定と繁栄のため,議長国ラオスと緊密に協力していきたいと考えています。


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