寄稿・インタビュー

トゥオイ・チェー紙(ベトナム)による岸田外務大臣インタビュー

(2016年5月5日付)

「南シナ海における法の支配を促進する」

平成28年5月9日

(問)今回の訪越の意義・目的は何か。また,両国の協力関係の中で最も進展していると感じられる分野は何か。

(岸田外務大臣)2014年7月以来2年ぶりのベトナム訪問となります。私は,日越友好議連の幹事長を長年務めておりますが,愛着あるベトナムに,外務大臣として2回目の訪問ができることを大変嬉しく思います。
 前回は,2014年3月に両国関係が「広範な戦略的パートナーシップ」に格上げされて間もない時期に訪越しました。それ以降,日越間の協力は文字どおり広範な分野で進展し,信頼関係は一層深まってきました。
 今回の訪越では,新指導部の要人とお会いし,改めて信頼関係を強化したく思います。これまで経済協力分野に加え,海洋安全保障の分野でも両国の協力は大きく進展しました。こうした成果を踏まえて,ミン副首相兼外相をはじめとするベトナム新指導部の要人と率直な意見交換を行いたいと思います。
 また,地域及び世界の平和と安定を確保するために,ASEAN関連外相及び首脳会議を含む国際場裡や海洋安全保障の分野においても日越両国が一層連携を深めていくことを確認したいと思います。

(問)今後の日本の対越ODA方針について伺いたい。また,日本のODAを有効に活用するためにベトナムは何をすべきか。

(岸田外務大臣)現在の両国関係は,経済の面でも非常に成熟・深化しています。メコン地域の発展の牽引役であるベトナムの今後一層の発展を後押しするためにも,我が国はインフラ整備や人材育成等,ハード,ソフトの両面から支援する考えで有り,両国が緊密に連携してODA案件による協力案件を進めていくことは重要です。
 我が国は,昨年5月に発表した「質の高いインフラパートナーシップ」の下,日越友好のシンボルであるニャッタン橋(日越友好橋)のようなメコン地域の連結性を高め,そしてベトナムの人々の役に立つインフラ整備を行っていきます。
 また,持続的発展を実現するため,インフラ整備と並び重要である人材育成についても,昨年11月に日本が提唱した「産業人材育成協力イニシアティブ」の下,ベトナムが掲げる工業化戦略の達成にも資する産業人材育成を,オールジャパン体制で支援していきます。
 ベトナムにおいても,ベトナム自身が更なる発展を遂げるとともに,ベトナムの発展が国外へも波及するような形で,我が国ODAによる支援を有効に活用していただきたいと考えています。

(問)南シナ海問題につき具体的に日越間でどのような協力が考えられるか。また、3月11日に発表された開発協力白書において,南シナ海におけるシーレーンの安全確保について言及されたが,その理由は何か。また,G7外相会合の際に南シナ海に関わる共同声明が発出されたことにつき,議長国として日本は同会合にどのように取り組んだのか。

(岸田外務大臣)ベトナムは,日本と法の支配といった価値を共有する国際社会における重要なパートナーであるとともに,日本企業が多数進出しているなど,経済的に極めて密接な関係にあります。加えて,日本のシーレーン上に位置することから,地域安全保障上も重要な地域と考えています。
 海上における法の支配を実現するとの観点から,ベトナムとの間では,海上法執行機関の能力向上のための協力を行っています。具体的には,2年前の私の訪越時に,ベトナムに対して中古船6隻の供与を約束し,既に引き渡しを実現しました。また,昨年9月のチョン書記長訪日時には,追加の中古船供与を約束し,さらに,現在,新造巡視船の供与に向けた準備も進めています。海上警察等をはじめとする職員を研修生として受け入れるといった人材育成の協力も実施しています。
 南シナ海問題では,法の支配の実践が重要であり,私も,5月2日にバンコクで行ったスピーチにおいて,法の支配に基づく地域秩序の強化という観点から,南シナ海をめぐる日本の立場を訴えました。
 4月11日に開催されたG7広島外相会合においても,海における法の支配の確保・促進に向けたG7の連帯の強化の重要性を確認し,G7として,懸念を共有し,いかなる一方的な現状変更の試みに対しても強く反対するとの認識で一致しました。

(問)今回の訪越の中で,気候変動対策は議題として取り上げられるか。気候変動対策に関する今後の両国の協力の見通しを教えて頂きたい。特に、メコンデルタ,中部地方及びタイグエン地方(中部高原)の干ばつと塩害に関する日本のベトナムに対する協力について伺いたい。

(岸田外務大臣)気候変動対策についても,今回訪問中の会談で取り上げます。
 日本は,現在,気候変動対策の円借款を実施し,渇水時の適切なダム貯水池の運用等,干ばつ対策に資する政策支援を行っています。この枠組みの更なる活用についても,ベトナム側と議論したいと考えています。
 また,塩害対策も重要です。塩水遡上対策の支援をはじめ,干ばつ・塩害を含む気候変動対応への支援について,ベトナム側とも緊密に意思疎通しながら具体的な協力案を検討していきたいと考えています。


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