寄稿・インタビュー

スター紙(マレーシア)による安倍総理大臣インタビュー

(2015年11月21日付)

「安倍総理:マレーシアの成長を支援する」

平成27年11月25日

2020年までの先進国入りに向け,日本は高価値の投資を供給する。

 日本は,マレーシア経済のソフト化を受け,高価値の投資の供給をオファーした。
 日本の安倍総理大臣は,弊紙との質疑応答(ママ)の中で,日本はマレーシアに対し,質と量ともに十分なインフラ投資を実現するインフラ協力や日本からの投資をもって全面的に協力する旨述べた。
 「高効率石炭火力発電所,水事業,情報通信等をはじめとする多くの分野において,マレーシアの経済高付加価値化や2020年までの先進国入りに最大限協力していきたいと考えている。」
 「さらに,マレーシア・シンガポール高速鉄道事業計画において,新幹線が導入されれば,マレーシアの中長期的な飛躍に大いに貢献することができると考える。」
 同総理は,さらに「東日本大震災の際には,マレーシア国民の皆様から心温まる支援をいただいた。苦難の時にこそ,助け合える真の友人として,今後も両国の関係を深めていきたいと思う。」と述べた。
 また,マレーシアが世界の成長センターであるアジアの中心であるとし,日本はマレーシアの力強い成長の継続を期待している旨述べた。
 「日本は,マレーシアを含むアジア地域の持続可能な発展に向けて様々な協力をしていく。」
 人的交流に関しては,1982年以降,約15,000人ものマレーシア人を日本に派遣した東方政策に言及し,東方政策の第二の波「東方政策2.0」という新たな枠組みのもと,二国間関係が促進されることを期待する。さらに,「両国が優先する新たな成長分野における協力(高度産業技術・サービス,管理職能力等を含む)を促進する。また,日本マレーシア国際工科院(MJIIT)を通じた,工学分野での人材育成の協力も,2020年の先進国入りに向けたマレーシアの努力に資するものと信じる。」と述べるとともに,「日本とマレーシアがアジア太平洋の国々と作り上げてきたTPP協定は,成長著しいアジア太平洋地域において,新しいルールに基づく経済秩序の構築を通じ,ともに繁栄を共有するという大きな戦略的意義を有している。」旨を述べた。
 「自由,民主主義,人権,法の支配といった基本的価値を共有し,地域と国際社会の平和と繁栄の確保という利益を共有する日本とマレーシアが「戦略的パートナー」として,地域と国際社会の平和と繁栄に共に貢献していくことが両国の長期的な繁栄に資するものと考える。」
 他方,同総理は,「南シナ海において,大規模な埋立てや拠点構築など,一方的な現状変更の試みが行われるなど,地域の安全保障環境が厳しさを増していることを深く懸念している」旨を述べた。
 同総理は,「日本は,自由で開かれた平和な海を守る能力をASEAN諸国が構築できるようにシームレスな形で支援する。」と述べるとともに,「国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の下,先般成立した平和安全法制をふまえ,地域と国際社会の平和と安定及び繁栄に,一層積極的に貢献していく。」考えを述べた。
 「平和構築支援,暴力的過激主義対策を含むテロ対策,海賊・武装強盗を始めとした国境を越える犯罪対策等,いわゆる非伝統的安全保障の分野においても,ASEANとの協力を更に深めていきたい。」

(以下オンライン版に掲載されたやり取り全文)

(問)2020年の先進国入り達成を目標に掲げるマレーシアに対し,日本はどのような支援ができるか,また,長年にわたり友好関係が続いている日馬関係を,いかに強化できるか。また,原油価格の下落及び先進国経済停滞の影響を受け,自国通貨安が続いているマレーシアに対し,日本はどのようなアドバイスができるか。

(安倍総理大臣)東アジア首脳会議(EAS)が10周年を迎える歴史的な年に,マレーシアがASEAN議長国を務められることに心よりお祝い申し上げます。この記念すべき年に,2007年,2013年に続き,マレーシアに総理として3度目の訪問をすることができ,嬉しく思います。
 マレーシア経済は,今後も人口増加が続く等,中長期的に成長を続けると見込まれており,世界の成長センターであるアジアの中心として力強い成長の継続を期待しています。日本は,マレーシアを含むアジア地域の持続可能な発展に向けて様々な協力をしていきます。
 特に,日本は,「質の高いインフラパートナーシップ」の下,質と量ともに十分なインフラ投資を実現するインフラ協力や日本からの投資推進を通じ,高効率石炭火力発電所,水事業,情報通信等をはじめとする多くの分野において,マレーシアの経済高付加価値化や2020年までの先進国入りに最大限協力していきたいと考えております。さらに,マレーシア・シンガポール高速鉄道事業計画において,日本が誇る新幹線が導入されれば,マレーシアの中長期的な飛躍に大いに貢献することができると考えます。
 ナジブ首相とは,私が2013年にマレーシアを訪問した際を皮切りに,これまで何度もお会いし,本年5月には,来日されたナジブ首相との間で両国の関係を戦略的パートナーシップに格上げすることに合意しました。
 日本とマレーシアの関係は,両国の皇室・王室間をはじめ,首脳,閣僚レベルでの交流,そして何よりも,1982年以降,約15,000人ものマレーシア人を日本に派遣した東方政策に基づいた人的交流のほか,活発な経済関係により層の厚い絆を基盤に順調に発展しています。
 東日本大震災の際には,マレーシア国民の皆様から心温まる支援をいただきました。苦難の時にこそ,助け合える真の友人として,今後も両国の関係を深めていきたいと思います。日本への留学を中心に,今日の日・マレーシア関係の礎を築いた東方政策については,時代の変化を踏まえ,東方政策の第二の波「東方政策2.0」という新たな枠組みの下,両国が優先する新たな成長分野における協力(高度産業技術・サービス,管理職能力等を含む)を促進します。
 また,日本マレーシア国際工科院(MJIIT)を通じた,工学分野での人材育成の協力も,2020年の先進国入りに向けたマレーシアの努力に資するものと信じます。
 日本とマレーシアがアジア太平洋の国々と作り上げてきたTPP協定は,成長著しいアジア太平洋地域において,21世紀にふさわしい新しいルールに基づく経済秩序の構築を通じ,ともに繁栄を共有するという大きな戦略的意義を有しています。自由,民主主義,人権,法の支配といった基本的価値を共有し,地域と国際社会の平和と繁栄の確保という利益を共有する日本とマレーシアが「戦略的パートナー」として,地域と国際社会の平和と繁栄に共に貢献していくことが両国の長期的な繁栄に資するものと考えます。

(問)今年末に発足するASEAN経済共同体に対し,また,ASEAN地域の安全保障に対し,日本はいかなる貢献が可能か。

(安倍総理大臣)本年末のASEAN共同体の発足を心よりお祝い申し上げます。ASEANが,自由,民主主義,人権,法の支配,といった価値を共有するパートナーとして発展し,繁栄していくことは,地域の平和と繁栄のために極めて重要です。このような観点から,日本は今後も,ASEANの統合努力を全面的に支援していきます。
 私は,2013年12月に東京へASEAN各国の首相をお招きし,日・ASEAN特別首脳会議を開催し,「日・ASEAN友好協力に関するビジョン・ステートメント」及びその実施計画を採択しました。日本は,ASEANの「平和と安定のためのパートナー」,「繁栄のためのパートナー」,そして「より良い暮らしのパートナー」として,協力を強化し,このビジョンと実施計画に基づき,ASEANとのパートナーシップ強化のための貢献を続けていきます。
 ASEANの更なる経済統合に向けた,連結性強化を始めとする膨大なインフラ需要,域内格差の是正等の課題に対しては,日本は,「質の高いインフラパートナーシップ」や人材育成等を通じて,持続的成長に向けたこれらの取組を官民で力強く支援していきます。
 また,南シナ海において,大規模な埋立てや拠点構築など,一方的な現状変更の試みが行われるなど,地域の安全保障環境が厳しさを増していることを深く懸念しています。海における「法の支配」の観点から,昨年私が提唱した三原則,すなわち,(1)法に基づく主張,(2)「力」を用いない,(3)平和的解決,に則って関係各国が行動するように働きかけることが重要です。日本は,ODA,能力構築への支援,防衛整備協力など,日本が持つ色々な支援メニューを組み合わせ,自由で開かれた平和な海を守る能力をASEAN諸国が構築できるようにシームレスな形で支援します。
 日本は,国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の下,先般成立した平和安全法制をふまえ,地域と国際社会の平和と安定及び繁栄に,一層積極的に貢献していきます。
 また,平和構築支援,暴力的過激主義対策を含むテロ対策,海賊・武装強盗を始めとした国境を越える犯罪対策等,いわゆる非伝統的安全保障の分野においても,ASEANとの協力を更に深めていきます。


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