寄稿・インタビュー

(2015年10月26日付)

「安倍晋三総理:キルギス訪問は両国関係史上,画期的意義を有する」

平成27年10月28日

 安倍晋三総理は,日本の総理の最初のキルギス訪問は,両国関係史上画期的意義を有するものであり,この機会を利用し,二国間関係を前進させなければならないと考えている。
 安倍総理は,キルギス訪問の前日,アキプレス通信に対してインタビューを行った。

(問)近年,中央アジアにおける日本の関心はエネルギー資源にのみ限定されている印象がある。今回の貴総理の中央アジア訪問は,同地域における日本の新たな政策の出発点となるのか。

(安倍総理大臣)13年2月にアタムバエフ大統領を東京にお迎えした際,同大統領からキルギス訪問のご招待をいただきました。今回,ご招待に応え,日本の総理として初めてキルギスを訪問できることを大変嬉しく思います。

 エネルギー資源に乏しい日本にとって中央アジア地域が持つ豊富な資源が魅力的であることは確かです。しかし,日本の中央アジアへの関心は,エネルギー資源に限定されません。

 キルギスを含む中央アジア諸国と日本の間には,これまで先人たちの努力によって築かれてきた素晴らしい友好と信頼関係があります。こうした友好と信頼関係を基に,私は,今回の訪問で,政治,経済,人的・文化的交流といった幅広い分野で中央アジア各国との二国間関係を抜本的に強化し,更には,日本と中央アジア各国との協力と対話の枠組みである「中央アジア+日本」対話でも取りあげられていますが,農業や運輸・物流,水とエネルギー,麻薬対策・国境管理など,中央アジア地域が抱える共通の課題にキルギスと共に取り組んでいきたいと考えています。

(問)日本は,キルギスの最大のドナーのひとつであり続けているが,貴総理のお考えでは,日本がキルギスと成功裏に協力できる他の分野は何か。

(安倍総理大臣)日本とキルギスは,民主主義や法の支配,人権や自由といった価値を共有しています。私は,2010年の政変で,自らの命を危険に晒しながらも民主主義を求めたキルギスの人々に敬意を表します。

 そのような日本とキルギスの協力関係は,これからも発展していく余地があると考えます。昨年,10年ぶりに日本の岸田外務大臣がビシュケクを訪問し,そして今回私は日本の総理大臣として初めてキルギスを訪問します。これは両国関係にとり画期的であり,これを契機に,二国間関係を前進させなければなりません。

 水資源が豊富で風光明媚なキルギスは,伝統的に畜産・酪農や農業も盛んです。日本が中央アジア5か国と行っている「中央アジア+日本」対話では,昨年,キルギス議長国の下で,農業分野での協力を重点的に行っていくことで一致しました。この決定に従って,キルギスとの間でも農業分野で様々な協力が行われていますが,特に,現在,日本製農機のキルギスにおける普及・販売の案件が進められていると承知しています。山がちで小さな田圃が多い日本では,小回りのきく,丈夫で壊れにくい農機が活躍しています。これがキルギスでも効力を発揮することを期待します。

 実際のところ,両国間の往来は年々増加しており,特にビジネス,留学や研修のための訪日が増えています。今回の日本側代表団には,多くの日本のビジネス関係者が同行します。彼らにキルギスのことを知ってもらい,両国の経済関係を発展させる梃子とすることも,今回の訪問の目的の一つです。


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