寄稿・インタビュー

(2015年10月12日)

平成27年10月20日

日本外務大臣,イラン紙とのインタビューにて:日本とイランとの新たな関係のために訪問する


 核合意後,世界の大国の高官がイランを続々と訪問する中,日本の外務大臣も本日,イラン高官との会談のためテヘラン入りする。日本のメディアによると,岸田文雄外務大臣率いる訪問団の2つの主要な目的は,制裁解除後の二国間経済関係の計画立案とイランと大国との核合意の最新状況についてレビューすることである。上記メディアによると,イランと日本の二国間投資協定の合意が今にも達しようとしており,これに基づき,日本企業はイランの油田やその他のビジネス活動を拡大することになる。岸田外務大臣はイラン紙とのインタビューにて,自身のイラン訪問の目的について説明し,地域におけるイランの有効な役割を強調しつつ,イランとのビジネスにおける東京の見方の変化を述べた。この見方に基づけば,日本はもはやイランを単なる「石油供給国」とは見做さず,関係拡大の裾野を経済,学術,芸術,文化といった分野に拡大していく所存である。

(問)大臣,イラン訪問は何度目か。

(岸田外務大臣)今般、2013年11月以来約2年ぶりにイランを訪問することを喜ばしく思う。ザリーフ外相とはその後も,昨年日本を訪問いただいた他,国連総会等の機会にお会いしており,今回の訪問で再会することを楽しみにしている。
 私のイラン訪問中の13日には,アザディ・スタジアムで日本代表とイラン代表の親善試合が行われる。これまでの対戦成績は日本の五勝六敗四引き分け。サッカーにおいて,日本とイランは良きライバルと言える。日本とイランが,様々な分野において,互いに切磋琢磨し,互いに発展していきたいと思う。

(問)核問題の解決方法及びイランと世界の信頼醸成は,国際場裡におけるイランに対する視点にどのような影響を与えているか。

(岸田外務大臣)日本を含む国際社会は,イラン核問題が外交的手段により最終合意に至ったことを歓迎している。「結び目は手でほどくもの,歯など使うな」との諺のとおり,対話により問題が最終合意に至ったことは,国際社会の他の課題が対話により解決可能であることを示した良い例となり得る。
 イランは中東地域における大国である。日本を含む国際社会は,イランが責任ある大国として,地域と世界の安定と平和のために,より一層貢献することを強く期待している。日本もまた,地域と世界の平和と安定のために貢献したい。

(問)核交渉におけるザリーフ外相が果たした業績をどのように評価するか。

(岸田外務大臣)私は,ザリーフ外相が核交渉で果たした業績を高く評価する。また,10年以上にわたる核問題が最終合意に至ったことについて,全ての交渉当事者の努力に敬意を表する。日本人は忍耐強いと言われるが,長期間の交渉を根気強く行ったザリーフ外相の忍耐強さに私としても敬意を表したい。合意は成立させることはもとより,それを実施することが更に重要だと思う。イラン政府がその忍耐強さを発揮し,合意を着実に履行することを期待する。日本もまた合意の履行に協力したい。

(問)ローハニ大統領は核合意後,イランが諸国との経済交流及び外国投資を受け入れる準備があることを表明した。日本はこの分野においてどの程度用意があるか。また,どの分野に投資することに関心があるか。日本とのビジネスにおけるイランの重要性に関する岸田大臣の見解は。

(岸田外務大臣)8,000万近くの人口,原油,天然ガスなどの豊富な天然資源を有するイランは,大きな潜在能力を有した大国であり,日本のみならず,世界の企業にとって魅力的な国である。海外との経済交流や外国投資を受け入れることによって,大きく発展する可能性を秘めている。ローハニ大統領が海外からの投資を受け入れる準備があると発表したことを歓迎している。日本もまた,イランの経済発展に協力する用意がある。
 重要な点は,包括的共同作業計画が着実に履行され,イランと国際社会の信頼醸成が進むこと。そうすることにより,日本企業はイランでの活動を活発化させていくだろう。日本政府はこうした企業の活動を支持したい。
 また,日本企業の活動を保護する投資協定の交渉を進めていることも,日本企業のイラン進出を図る上で歓迎すべきことと思う。今回,私と一緒に日本企業の関係者もイランを訪問する。両国間の経済関係が発展することを願ってやまない。これまで日本とイランの経済関係はエネルギー中心であり,今後もエネルギーは両国の経済分野の大きな割合を占めるだろう。しかし,私はイランを日本にとって原油の供給国としてのみ見るつもりはない。日本とイランは互いに豊かな文化と長い歴史を有する,同じアジアの国として,環境,医療,文化,教育,観光,運輸,芸術,スポーツなど,様々な分野において協力し,互いに発展していくことが可能である。こうした協力についてザリーフ外相と議論したい。


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