寄稿・インタビュー
ジャマイカ・オブザーバー紙(ジャマイカ)による安倍総理大臣書面インタビュー
(2015年9月30日)
「日本の安倍総理大臣からのエネルギー分野でのプレゼント」
日本の安倍晋三総理大臣は,エネルギー効率化および自然災害対応能力の強化を促進するための技術協力に関する良い知らせとともに,1日間の公式訪問のため本日ジャマイカを訪問する。
安倍総理はジャマイカ・オブザーバー紙が今回の訪問に先立って日本の外務省を通じて行った書面インタビューに対し,ジャマイカのイメージについて 「風光明媚な国」と答えるとともに,ジャマイカの陸上競技における功績に対し尊敬の念を抱いていると述べ,「本年8月には,日本で直前のトレーニングをしてから参加した中国での世界陸上選手権におけるジャマイカ選手の活躍は、多くの感動と興奮を与えてくれました」と,安倍総理はウサイン・ボルトの3つの金メダル、シェリー・アン・フレイザー=プライスの2つの金メダルを始めとした12のメダル獲得について言及した。
安倍総理は,2013年11月にこのアジアの国を訪問したシンプソン=ミラー首相の招待に応じてジャマイカを訪問する。シンプソン=ミラー首相は2014年7月にトリニダード=トバゴで開催された初の日・カリコム首脳会合で安倍総理に再会した際,再度訪問を要請した。
安倍総理は「私もジャマイカを訪れたいと強く思っていましたが,今般,その招待に応え,ジャマイカ訪問を実現することができ,とても嬉しく思います。」と答えた。安倍総理はまた「日本においてジャマイカのイメージについて尋ねると,多くの人が、陸上競技王国,ブルーマウンテン・コーヒー,レゲエ,カリブ海のビーチと答えるでしょう。ラム酒,「クール・ランニング」といった答えも出てくるかもしれません」と快活に答えた。同総理は,「日本人にとってジャマイカは,地理的には離れていますが,音楽,スポーツなどを通じて,様々な分野で親しみのある国です」とも述べた。
日本は,ジャマイカ国外では世界最大のレゲエ音楽祭を開催するなど,レゲエ演奏家にとって訪れるのが必須の国となっている。日本人は,国際大会においてサウンド・システムや,ダンスホール・クイーン・コンテストで優勝したりするなど,ジャマイカ人を驚かせている。
「今回のジャマイカ訪問では,50年の両国の友好協力関係を一層深めると同時に,民主主義,基本的人権の尊重,法の支配といった基本的価値を共有する国際場裏におけるパートナーとしても対話と協力を拡大していきたいと考えています。昨年7月には初の日・カリコム首脳会合を開催し,その機会にシンプソン=ミラー首相はじめカリコムの首脳と会談を行うことができ,日・カリブ交流年は私にとっても記念すべき年となりました」と当紙に答えた。
安倍総理は,「その際,私は,3つの柱,すなわち,(1)小島嶼国特有の脆弱性克服を含む持続的発展に向けた協力,(2)交流と友好の絆の拡大と深化,(3)国際社会の諸課題の解決に向けた協力から成る「日本の対カリコム政策」を表明しました。私たちは,この3本柱のいずれかに偏ることなく,これら3つすべてに取り組んでいきます」と答えた。
安倍総理は,「ハリケーンや気候変動による海面上昇など,カリコム諸国が抱える様々な問題への対応の必要性は、島国に暮らす私たち日本国民も共有するところです。このため,日本は対カリコム支援の重点分野の1つに「環境・防災」を掲げ,島国としての経験に培われた技術や知見を活かしつつ,小島嶼開発途上国特有の脆弱性克服に向けた支援に積極的に取り組んでいます」と答えた。
更に,同総理は,「ジャマイカでは,余裕のあるエネルギーの確保が大きな課題であり,昨年7月,シンプソン=ミラー首相からこの分野での協力要請を頂きました。 日本はジャマイカと同様,多くのエネルギー資源を輸入しており,国際的なエネルギー価格変動の影響を強く受けます。日本では、二度の石油ショック等を経て,省エネルギーや再生可能エネルギーの技術が培われ,国民もエネルギーの有効活用に高い意識を持つようになりました。私は,ジャマイカがこれらの技術や専門知識を活用して,大きな利益を得ることができると確信しています。」としつつ,「さらに,防災分野でも,日本人専門家の派遣や研修,機材供与を通じて、ジャマイカの自然災害対応能力向上を後押ししていく考えです。」と述べた。
安倍総理は,「日・カリコム首脳会合において,私は,カリコム諸国が直面する「小島嶼開発途上国特有の脆弱性」に鑑み,一人当たりの所得水準とは異なる観点から支援が重要との方針を表明しました。ジャマイカで新たに始まる協力も,こうした方針を具体化するものです。日本は引き続き,ジャマイカをはじめとするカリコム諸国のニーズを踏まえた協力を実施していきます。」と約束した。