寄稿・インタビュー

(2015年4月22日付)

平成27年5月1日

“アジア・アフリカとのパートナーシップ強化が重要”

【問】バンドン十原則と日本外交の関連性如何。また,アジア・アフリカ諸国は大きな協力をどのように実現できると考えるか。

【安倍総理大臣】60年前に,アジア・アフリカ会議には29か国・地域が参加しました。インドネシアが日本を招待してくれたことを忘れません。戦後一貫して,日本はインドネシアの友人であり,インドネシアとの協力を最優先事項としてきました。
 多くの日本人がインドネシアを訪れ,この多様で美しい島国に魅了されてきました。そして今やインドネシアは大きな発展をとげています。ジャカルタでは,JKT48が大活躍しているとも聞きます。このようなインドネシアを訪問することは私の喜びとするところです。
 アジア・アフリカ会議60周年記念行事は,我々アジアとアフリカ諸国との関係を一層強化するための重要な機会です。本件行事の開催に際し,ジョコ大統領が示した指導力に敬意を表したいと思います。私は,この機会を通じ,この地域における平和と繁栄の実現に向けた日本の取組と考え方をお伝えし,参加国との連携を確認したいと考えています。
 アジアとアフリカを取り巻く環境はこの60年でめざましく変化しました。しかし,60年前に合意された,連帯,友好及び協力を中核とするバンドン精神とそれを体現するバンドン十原則は,依然としてアジア・アフリカの将来の進展を導く指針です。
 この60年間,日本は平和国家として国際社会の平和と安定に寄与してきました。日本はバンドン十原則の精神を尊重し,(1)国際協調主義に基づく「積極的平和主義」,(2)法の支配の貫徹,(3)質の高い成長の実現の考えに基づき,国際社会の平和と安定及び繁栄に向け一層貢献していく考えです。

【問】アジアとアフリカとの経済関係は,期待されたほど発展していない。この問題をどのように克服できるか,また,そのために,日本はどのような役割を担えるか。

【安倍総理大臣】バンドン会議から60年を経た今日,アジアは世界の成長センターとなり,アフリカは「躍動する大陸」として目覚ましい成長を遂げています。またアジア・アフリカ間では,国境を越えるヒト・モノ・カネの移動が増大し,両地域は経済的に緊密に結びついています。
 こうした動きを一層促進させるためには,アジア・アフリカ地域における官民双方のパートナーシップを強化することが重要です。日本は過去60年にわたり,3,000億ドルのODAを通じた支援を実施し ,アジア・アフリカ地域のインフラ整備や人材育成を行ってきました。また,民間投資やそれに伴う雇用増大及び,技術移転によりアジア・アフリカ地域の経済発展に寄与してきました。このように,日本はこれまでアジアで培ってきた協力の経験をアフリカでも活かしつつ,ODAを通じた支援,そして官民連携による貿易・投資の促進や人材育成などを通じ,共に歩むパートナーとして,アジア・アフリカ両地域の発展に貢献していく考えです。

【問】アジア・アフリカにおける開発の問題は,しばしばインフラ関連であるが,アジア・アフリカの比較的発展している国々は,革新的なファイナンスにより如何に貢献でき,日本は,どのように貢献するか。また,日本として南南協力をいかに促進できるか。

【安倍総理大臣】持続的で,強靱で,一人ひとりに恩恵が行き渡る「質の高い成長」の実現のためには,アジア・アフリカ地域の膨大なインフラ需要に適切かつ効果的に対応する必要があります。日本としては,引き続き,日本が有する様々な経済協力や,世銀,ADB,アフリカ開発銀行等のマルチの機関と連携し,民間部門の資金・ノウハウも動員しつつ,「質の高いインフラ投資」を通じ,地域のインフラ整備に貢献していきます。
 更に日本は,途上国による途上国との協力を支援する「三角協力」や,アフリカ連合(AU)及びASEAN等地域機構による域内の協力への支援などを通じて,南南協力を支援してきました。中でも,これまで日本が20年以上にわたり継続してきているTICADプロセスでは,アジアおいて蓄積されてきた開発支援の成果を共有し,アジア諸国とアフリカ諸国との協力の度合いを高めることに貢献してきています。
 例えば,インドネシアとは,教育や農業等の分野でのアフリカ支援でこれまでも連携してきており,今般のバンドン会議60周年を機に,連携の更なる促進を検討したいと考えています。次回TICADは,アフリカでの開催が予定されており,日本は,保健,医療,教育,農業などの分野での自らの知見も活かしながら,アフリカ域内協力及び三角協力の効果的な促進と支援に引き続き取り組む考えです。


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