寄稿・インタビュー

フォーリン・ポリシー誌(米国)への岸田外務大臣寄稿

(2015年2月19日付)

平成27年2月20日

英語版 (English)

 ISILの手による,2名の邦人,他の国々の方々の非道かつ卑劣な殺害という暴挙に接し,世界は衝撃を受けています。愛する者に対して感じる,耐えがたい心痛と悲しみ,またこのような許しがたい暴挙に対する強い非難を言葉で表すことはできません。

 卑劣なテロ行為に対する闘いにおいて,日本に対して,強固な連帯を示し,人質の解放に向けた協力の手をさしのべた国際社会の友人に対し,心からの感謝の意を表します。

 しかし,我々の感じる苦痛と怒りが間違った方向に向かないよう注意する必要があります。日本は,暴力と偏見を取り除くため,中東,そしてその他の地域におけるイスラム社会と共に,連帯の精神で協力していきます。

 かかる冷酷かつ非道な行為に直面し,国際社会に対する我々のメッセージは明確です。日本が,テロに屈することは決してありません。テロリストは罪を償なうべきであり,テロの拡大に対して断固として立ち向かいます。そして,国際的な協力を通じて,平和と安定のために積極的に貢献していきます。我々は,共生,共栄,協働の原則に基づき,中東との関係強化の努力を続けていきます。

 私は以下の主要な分野において,日本の外交努力を見直し,強化していくことにコミットしています。

 第一に,テロ対策を強化する必要があります。このため,日本は,先月私がブリュッセルにおいて表明した支援を1550万ドルに倍増し,中東及びアフリカにおいて,国境管理の強化,捜査・訴追能力の強化を含む,テロ対策に係る能力向上を支援します。また,テロリストに避難場所を与えぬよう,テロ資金を枯渇させる努力も強化します。これを達成するため,G20が最近示した,情報交換及びテロ資産凍結のための国際協力の強化に向けたコミットメントを実施していきます。

 第二に,中東の安定と繁栄を確保するため,より実効的な外交が必要です。日本は引き続きこの地域にしっかりと関与しつづけます。政府ハイレベルから民間ビジネスにいたる様々な分野において,二国間及び多国間の場を通じて,この重要な地域との関係深化のために,より積極的な外交を展開します。我々の揺るぎないコミットメントの証しとして,1月に安倍総理が表明した,ISILと闘う周辺各国に対する2億ドルの支援は既に国会で承認され,まもなく拠出されます。中東の難民に対する食糧,医療等の人道支援を更に拡充します。

 第三に,過激主義の誘惑や拡大に対抗できる社会を構築すべく,テロの根本となる要因を取り除くための手段を取ります。若者の失業問題や所得格差への取り組み,教育支援,人的交流の拡充を通じて,日本は,穏健主義を促進し,安定した社会の創出を支援します。これは,過激な思想とその支持者が個人や団体を募集し,引きつけることを防ぐべく,現在ワシントンで開催されている暴力的過激主義対策閣僚会合の試みと軌を一にするものです。

 安定した穏健な社会構築のための我々の努力には,日本に近い地域におけるイニシアチブも含まれます。アジアにおいて,穏健な価値を促進するため,ASEAN及びその加盟国と緊密に協力いたします。たとえば,穏健主義による世界的な動きを促進すべく,本年のASEAN議長国であり,穏健主義を通じた平和と安定を推進してきたマレーシアと共に,過激化対策のための地域ワークショップを開催します。また,穏健主義の促進を重要テーマの一つとして,アジアにおける平和構築の経験と教訓を世界と共有するためのハイレベル・セミナーを東京で6月に開催します。

 長く,困難な任務で逆風は強いですが,日本は,国際社会と共に立ちながら,日本の知見を共有し,世界の平和と安定のために積極的に貢献していきます。

 日本国民を襲ったこの凶悪なテロ行為によっても,日本のコミットメントは決して揺るぎません。我々は,第二次世界大戦後の70年間,自由,人権及び法の支配を尊ぶ,平和を愛する民主主義国家としての歩みを続けており,これは変わりません。

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