寄稿・インタビュー

(2014年11月12日付)

平成26年11月21日

「日本はミャンマーとの幅広い協力関係を深化させる努力を続ける」

(問)ミャンマーと日本との関係について

(安倍総理大臣)日本とミャンマーは,今年,外交関係樹立60周年を迎えました。この記念すべき年に,昨年5月の日本の総理大臣として36年ぶりの公式訪問以来,ミャンマーを再訪できることを嬉しく思います。
 また,昨年12月には私が共同議長を務めた日ASEAN特別首脳会議出席のため,テイン・セイン大統領が日本を訪問しました。私とテイン・セイン大統領の相互訪問で,両国関係は緊密化しています。
 ミャンマーには祖父の岸信介総理,父の安倍晋太郎外務大臣,そして私自身と親子3代で訪問できたこと,私の妻の昭恵は,従来からミャンマーの子供教育を研究テーマとしつつ支援活動を行っていることから,個人的に深い縁を感じています。
 数多くの日本企業もミャンマーに熱い視線を向けています。ティラワ経済特区等のインフラ整備,金融,通信及び郵便等の幅広い分野で,日本の官民を挙げた取組が実を結び始めています。
 また,日ミャンマー投資協定の発効,日本のメガバンク3行へのミャンマー政府からの支店免許付与,更に租税条約の締結に向けた取組開始など,両国が共に協力し発展していくための経済関係の礎も急速に整備されています。
 人的交流に目を向けると,日本には多くのミャンマーファンがいます。昨年からミャンマーの紹介や日本との交流拡大のため,「ミャンマー祭」が東京で行われており,今年は約5万9千人が参加したと聞いています。
 現在,ミャンマーでは日本のテレビドラマやアニメが放送され始めていますが,今から遡ること約80年前の1935年には,ミャンマー映画の父と呼ばれる故ニ・プ監督が「にっぽんむすめ」を日本で撮影し,ミャンマーで数年にわたる爆発的人気を得たと聞いています。
 かつてより互いに文化的価値観を共有しながら日々発展と進化を続けてきた日・ミャンマー関係。外交関係樹立60周年に加え,今年は,ミャンマーのASEAN議長国就任という重要な年です。
 日本は,引き続きミャンマーとの幅広い協力関係を一層深めていきますし,ミャンマーにおける諸改革の進展に向けて,官民を挙げて支援をしていきます。

(問)今次ASEAN関連首脳会議において,日本が重視する事項は何か

(安倍総理大臣)本年,ミャンマーが初めてASEAN議長国を務めることを,歓迎します。ASEAN関連首脳会議は,日本とASEANの協力の強化,アジア太平洋地域の国々による課題対応のための連携の促進の重要な機会です。
 会議では,ASEANを中心とする地域秩序の更なる発展に向けた,日本の考え方を説明し,議長であるテイン・セイン大統領とともに,会議の成功に貢献する考えです。
 特に,2015年はASEAN共同体が構築され,東アジア首脳会議(EAS)が10周年を迎える画期的な年。ASEAN共同体構築に向けた支援等を通じ,この地域の平和と繁栄の実現に向けた日本の取り組みや,考え方を積極的に発信するとともに,EAS強化の方向性を打ち出します。
 日・ASEAN首脳会議では,昨年12月の日・ASEAN特別首脳会議の成果を踏まえ,日・ASEAN関係の更なる強化や,海洋安保分野,インフラ・連結性及び文化面での協力を推進していくことについて一致したいと考えています。
 EASは,経済・社会問題のみならず,政治・安全保障分野について議論する首脳主導の主要(Premier)フォーラムとして,一層発展させるべき枠組みと考えます。今回のEASでは,エボラ出血熱やISILといった喫緊の課題への対応が重要です。そして,そのような連携を更に深められるよう,今後の取り組みについてもしっかりと議論していきたいと考えています。
 また,日メコン首脳会議やASEAN+3(日中韓)首脳会議でも,今後の協力の進捗及び方向性を確認したいと考えています。
 テイン・セイン大統領を始め各国首脳との間で幅広く有意義な議論を行うことを楽しみにしています。


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