寄稿・インタビュー
スペイン通信EFEによる安倍総理大臣書面インタビュー
(2014年7月25日付)
“日本と中南米の間には経済相乗効果が存在する”
日本の総理大臣である安倍晋三氏は,中南米訪問を前に,本日,EFE通信社との単独インタビューの中で,太平洋の両岸における経済成長を目指し,中南米と共に「新たな地平線」を切り開きたいと述べた。
本日から8月3日まで,メキシコを皮切りに,コロンビア,チリ,ブラジルを含む国々を訪問する安倍総理大臣は,日本及び日本の現在の経済戦略にとって「成長市場,製造拠点,資源供給源として成長している中南米は,非常に重要である」と強調した。
両地域のモノや資金の流れが一方向から双方向に変化している現在,安倍総理大臣は,「日本と中南米は経済相乗効果がある」と述べた。
安倍総理大臣は,この交流は「モノや資本を超え,人材育成,技術革新や新規市場開拓を通じて成長を共にする関係」であると,EFE通信社の質問に対し書面で回答した。
その意味において,安倍総理大臣は,「日本と中南米は医療,農業,またはエネルギーの分野で共に挑戦し,地平線を切り開く」と付言した。
同分野での進捗の例として,安倍総理大臣は,コスタリカの地熱エネルギー開発のための日本の技術協力,またブラジルのプレ・ソルト油田における日本の最先端技術が採用された船舶である浮遊式石油生産設備(FPSO)(生産,貯蔵,運搬)の活用を挙げた。
また,メキシコ及び他の中南米諸国の工場から「"Made in Latin America"として世界最高品質」の日本企業の自動車が輸出されていることについても強調した。
安倍総理大臣は,二国間での自由貿易協定(メキシコ,ペルー及びチリとは既に協定締結済み)及びメキシコ及びチリを含む環太平洋地域12カ国の署名を目指している環太平洋パートナーシップ協定(TPP)といった多国間の経済連携協定締結が,両地域の未来の関係にとって重要であることを強調した。
「日本は,TPPや現在コロンビアと交渉中のEPAを通じて,中南米と日本のつながりを強めたい。中南米諸国にとって,日本は中南米諸国がアジアへ展開するための最もふさわしいゲートウェイとなる国であると考えている」と説明した。
多くのアナリストは,安倍総理大臣の今回の訪問は,中南米地域で躍進する中国に対抗することであると分析している。中国の習近平国家主席が同地域を訪問してからまだ10日も経っていない。
安倍総理大臣は,中南米は日本にとって自由,民主主義,人権といった基本的価値を共有している昔からの同盟国であることを強調した。
また安倍総理大臣は,同盟国が攻撃された際に軍事的な援助を行うことが可能となる平和憲法の解釈変更が最近閣議決定されたことについて,第二次世界大戦以降,日本が希求してきた平和国家としての歩みからそれるものではないと強調した。
「20世紀の惨禍を二度と繰り返させまいとの,日本が立てた戦後の誓いは今に生き,こうした日本の平和国家としての歩みは,今も,これからも,不変です。」と強調した。
平和的価値の保護やグローバル社会のために共同して取り組むにあたり,日本と中南米は,軍縮・不拡散や将来の気候変動の課題における「公平で実効的な」枠組み構築の必要性に取り組み続けるべきであると強調した。
安倍総理は,最後にノーベル賞を受賞したチリの詩人ガブリエル・ミストラル女史の言葉を引用した。
「ミストラル女史は言った。Se tu el que aparta la piedra del camino (自らが,小石を分けて,道を拓く者たれ)と。日本と中南米は,グローバル社会が抱える様々な課題の解決に向けて先頭に立って指導力を共に発揮したい。」