寄稿・インタビュー

エル・メルクリオ紙(チリ)による安倍総理大臣書面インタビュー


(2014年7月30日付)

平成26年8月11日

“日チリ両国の関係を新たな段階へと高めていきたいと考えている”

(問) 総理の日本経済再生に向けた政策の中には,世界市場への日本の投資拡大も含まれている。この文脈から,日本は,チリが創設国の一つとなっている太平洋同盟にてオブザーバーとしてどのような役割を果たすことを考えているのか。安倍政権は,新たな地政学的挑戦を前に,軍事的にも経済的にも国際的立場を再定義しようとしているが,中南米諸国及び太平洋同盟とはどのような立場をとるのか。

(安倍総理大臣) まず,この度,祖父・岸信介が1959年に訪問したチリを訪問でき,嬉しく思います。今回の訪問を契機に,日チリ両国の伝統的に良好な関係を,新たな段階へと高めていきたいと考えています。

 日本経済は,大胆な金融政策,機動的な財政政策及び民間投資を喚起する成長戦略から成る「3本の矢」の経済政策の奏功により,勢いを取り戻しました。また,日本企業は,太平洋同盟諸国でサービス,製造業,資源分野など多様な分野で雇用創出,人材育成や技術移転をもたらし,互恵的な関係を築いてきています。

 この成長戦略は,世界経済との更なる統合を重視しています。自由,民主主義等の基本価値を掲げ,開放経済を掲げる太平洋同盟諸国は,日本の重要なパートナーです。

 アジア展開を目指す太平洋同盟と,アジア最大の対中南米投資国である日本との間には,他にない経済相乗効果があります。それは,モノや資金などの不足を補い合う「補完的関係」を超え,人材育成や新規市場の開拓など,更なる飛躍を可能とする「成長を共にする」関係です。

 日本はアジア初の太平洋同盟オブザーバー国として,インフラ整備による連結性向上,貿易・投資環境整備,中小企業支援,主に第三国を対象とした防災等の分野での協力(三角協力)など具体的アジェンダを提示しながら,同盟との協力を進めていきます。

 交渉中の日・コロンビアEPAが締結されれば,日本は,アジアで唯一,太平洋同盟の加盟国全てとEPAを有することになります。日本は,TPP等の環太平洋の経済連携を主導し,優れたインフラ及び投資環境を有しており,太平洋同盟がアジアに展開するためのゲートウェイとなる国です。今後とも,太平洋同盟との対話と協力を通じ,具体的な連携を強化していきます。


(問) 日本の安全保障政策について,日本は地域及び世界の安全と安定のために,同盟国とより積極的な活動ができるよう新たな政策を打ち出したところであるが,日本とチリが太平洋岸の隣人として,安全保障における関係を強化するためにどのような策が考えられるか。

(安倍総理大臣) 日本は,昨年末に,初めて国家安全保障戦略(NSS)を策定し,国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場から,地域及び国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に寄与していくことを示しました。

 日本とチリは,自由,民主主義,基本的人権の尊重,法の支配といった基本的価値を共有し,地域と国際社会の平和と安定及び繁栄に向けて,共に重要な役割を果たすパートナーです。NSSに明記されているとおり,日本は,チリを含むアジア太平洋地域の諸国と,地域と国際社会の平和と安定の確保に向けて協力していきます。

 例えば,日本とチリは共にNPDIのメンバーであり,軍縮・不拡散の分野で密接に連携してきています。本年,広島で開催したNPDI外相会合の成果も踏まえ,来年のNPT運用検討会議の成功に向け,緊密に協力していきます。

 また,チリとの間で安全保障における関係を強化するため,まず両国の防衛当局間の人的交流を通じて,相互理解を促進したいと思います。

 今後も防衛交流を通じて,南太平洋の安全保障に関心を有するチリと,同地域における関係を強化していけるものと考えます。


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