寄稿・インタビュー

エクセルシオル紙(メキシコ)による安倍総理大臣書面インタビュー


(2014年7月25日付)

平成26年8月11日

“日本とメキシコ,大きな飛躍へ“

(問) 日本は,メキシコとの関係において,何を求めるのか。どのような関係を確立したいと考えているのか。

(安倍総理大臣) 日本とメキシコの関係に思いを馳せる時,私は先ず,400年以上に亘り,太平洋を挟んで育んできた,縁深い両国の友好と信頼の絆を思い浮かべます。それは日本とメキシコ独自の絆であり,政治,経済,文化,学術等あらゆる分野に及び,その舞台は今や,両国を越え,世界に広がっています。

 昨年4月のペニャ・ニエト大統領訪日時に,我々は,日墨両国が,責任ある大国として,互いに高め合い,国際社会の安定と繁栄に,より貢献していくことを決意しました。
 今回の訪問でも,同大統領と,お互い改革を志向する指導者として,幅広い分野で忌憚ない意見交換を行いたいと考えています。また,メキシコの政財界関係者や現地で活躍する日本人,我が国とメキシコの交流に携わる方々との親睦を通じ,両国の協力のフロンティアが深まり,広がる様子をこの目で確かめ,後押ししていきたいと考えています。

 日本とメキシコは,飛躍の時を目前にしています。ここでも,私は,長年に亘るメキシコとの縁の深さを感じます。ペニャ・ニエト大統領と私は,時を同じくして政権を担いました。そして,構造改革を果敢に断行し,其々の経済を大きく活性化させました。

 メキシコは,1888年に,日本にとって初めてとなる平等な修好通商航海条約を締結した国です。自由,民主主義,基本的人権や法の支配といった基本的価値を共有し,400年来の友好と信頼関係を共有しています。そのような関係にあるからこそ,変容する国際社会においても,常に関係を深め,戦略的グローバル・パートナーであり続けるのです。
 メキシコが,国際社会の責任ある国として,国連改革,気候変動,軍縮・不拡散等のグローバルな課題において益々大きな役割を演じる中で,地球儀を俯瞰する外交を進める日本は,メキシコとの協力関係を一層強化していく考えです。

 私は,1985年のメキシコ大地震発生直後に,当時外務大臣であった父・安倍晋太郎と共にメキシコを訪れました。困難に屈しないメキシコ国民の姿を目の当たりにして以来,私はメキシコの皆様に対し,大いなる尊敬と信愛の念を抱いています。日本も,東日本大震災の際には,メキシコから多大な支援と連帯を頂きました。改めて心から感謝の意を改めて表します。
 このような互助の精神で表される日墨間の絆を,人的交流や文化交流を通じて強化し,次世代の親日派,親墨派を育て,様々な分野で共に貢献していきたいと思います。


(問) 安倍政権は,新たな地政学的挑戦を前に,軍事的にも経済的にも国際的立場を再定義しようとしているが,中南米諸国及び太平洋同盟とはどのような立場をとるのか。

(安倍総理大臣) 日本は戦後70年間,一貫して平和を希求し,国際社会の安定・繁栄に貢献してきており,こうした日本の平和国家としての歩みは不変です。
 その上で,日本を取り巻くアジア太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中,私は,国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場から,地域及び国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に寄与していく考えです。

 私は,長きに亘って,自由,民主主義,基本的人権,法の支配といった普遍的価値を標榜してきたメキシコ及び中南米諸国と共に,ルールに基づく国際秩序を構築し,平和で繁栄する国際社会を実現すべく,国際場裡での協力を一層拡大していきたいと考えています。

 日本経済は,今,大きな勢いを取り戻しています。失業率は,約17年ぶりの低い水準まで改善しています。有効求人倍率も22年振りの高水準に達しました。大胆な金融政策,機動的な財政政策,さらには民間投資を喚起する成長戦略を掲げる「三本の矢」の経済政策は大きな成果を出しています。
 特に,世界経済との更なる統合を重視する成長戦略において,開放経済を掲げる太平洋同盟,そして中南米諸国は,益々重要なパートナーです。

 中南米諸国と日本との間には他にない経済相乗効果があります。それは,モノや資金など,不足を補い合う「補完的関係」を超え,人材育成や新規市場の開拓など,更なる飛躍を可能とする「成長を共にする関係」です。
 既に,医療から先端科学まで,幅広い分野で協力関係を築いています。特にメキシコでは,過去1年で日系企業数が130以上増加し,サービス,製造業,資源,石油ガス分野など多様な分野で,雇用創出,人材育成や技術移転をもたらしています。

 また,10年目を迎える日墨EPAにより,両国の経済はかつてないほど統合され,自動車産業を始め,世界をリードするバリュー・チェーンを構築してきました。雇用創出や技術移転を通じ,「共に成長する」日墨経済関係を今後とも強化していきます。

 私は,日墨の間で築き上げてきた互恵的な関係を中南米各国の間でも築いてきています。日本は,現在メキシコが議長国を務める太平洋同盟のアジア初のオブザーバー国であり,太平洋同盟諸国のインフラ整備による連結性向上や,貿易投資環境整備,中小企業支援や防災の分野での三角協力の実施など,具体的アジェンダを提示しながら,太平洋同盟との協力を進めていきます。

 TPPや日メキシコEPA等を通じて,環太平洋の経済連携を主導し,優れたインフラ及び投資環境を有する日本は,太平洋同盟を始め中南米諸国がアジアへ展開する際のゲートウェイになります。そのような関係の実現に向け,今後も,両者の互恵的な貿易・投資関係を促進していきます。


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