寄稿・インタビュー


(7月,27頁目)

平成26年7月31日

「似た者同士」オックスフォード・ビジネスグループ インタビュー 岸田日本国外務大臣


(問)
 今後,モンゴルとの関係を強化するための日本の戦略はどのようなものになるのか。

(岸田外務大臣)
 モンゴルの皆様もお気付きのように,1990年代より数々のモンゴル人力士が日本で成功を収めている。したがってモンゴルは日本人にとって大変親しみのある国である。また,モンゴルが1995年の阪神大震災や2011年の震災・津波等の自然災害に際して温かい支援の手を差し伸べてくださったことを,決して忘れることはない。
 中国,ロシアと国境を接するモンゴルが日本を第三の隣国と位置付け,日本との二国間関係を深化させることを重視していることを,我が国は高く評価している。1990年以降,モンゴルが民主主義・市場経済に移行する間,我が国は政府開発援助の最大のドナー国として,一貫して全面的な援助を供与してきた。2013年3月に安倍総理がモンゴルを訪問した際に述べたように,日モンゴル関係は自由と民主,平和,助け合いの『三つの精神』の上に築き上げられており,両国は共通の価値観に基いて発展してきた。良好な二国間関係を更に強化するため,モンゴルと日本は,相互理解,相互信頼を重層的で戦略的な対話を通じて高めている。両国はこうした関係を軸に,二国間においてだけでなく地域的・国際的な場でも,協力を促進していく。

(問)
 2013-2017年のモンゴル・日本間の戦略的パートナーシップのためのプログラムは両国の間でどのように影響するのか。

(岸田外務大臣)
 2010年,エルベグドルジ大統領が訪日した際,日本とモンゴルの首脳は両国共通の外交政策目標として戦略的パートナーシップを構築していくことで一致した。2013年3月の安倍総理のモンゴル訪問と同年9月のアルタンホヤグ首相の訪日を通じて,両国政府は両国間のパートナーシップを,互恵的で相互補完的な関係として強化・発展させるべく,日本・モンゴル中期行動計画を策定した。両国政府は,2017年までに同計画を実施することを確認した。
 我が国としては,両国はこの中期計画により具体性を持たせることで,二国間のパートナーシップにより明確なビジョンを策定できたと確信している。両国の中期計画は,政治と安全保障,経済,文化・人物交流という3つの柱で構成されている。特に経済関係の発展は,両国が最も期待している分野の一つである。

(問)
 日本の企業にとって,モンゴル経済のどの分野が投資の可能性をより有しているのか。

(岸田外務大臣)
 モンゴルは主に鉱物資源開発の促進によって目覚しい経済発展を遂げた。我が国として,世界を率いる技術力,資金。経済発展の経験を持つ大国の日本と,若年人口,豊富な資源,そして計り知れぬ成長の可能性を有するモンゴルとの間には,経済協力の大いなる可能性があると思う。
 安倍総理は,先般のモンゴル訪問においてエルチ・イニシアチブを提唱し,そこで我が国として投資・ビジネス環境の整備に協力することを提案した。中期計画では,経済協力部分,すなわち環境,鉱物資源,インフラ等の分野における協力に関する記述部分にも,エルチ・イニシアチブで言及された項目が改めて明記された。また,金融,観光,防災,農牧業といった幅広い分野における協力に関する項目も中期計画には盛り込まれた。我が国は,現在締結交渉中の日モンゴル経済連携協定等によって中期計画の着実な実施,両国間の投資環境の改善が促進されることで,二国間の貿易が拡大するものと期待している。

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