寄稿・インタビュー

ザ・ニューエイジ紙「安倍首相の靖国参拝はナチス崇拝と関連づけられるものではない」(吉澤 裕駐南アフリカ日本大使寄稿)


2014年1月10日付

平成26年1月10日

 2014年1月6日に掲載された中国大使の寄稿「東洋のナチスを崇拝(Worshipping Nazis of the East)」に関して,まず安倍首相の靖国神社参拝とナチスを崇拝する行為との関連づけが非常に屈辱的であると指摘せずにはいられない。

 靖国神社には,1853年以降,国のために尊い命を捧げた約250万人の英霊が,性別や地位に関係なく奉られており,明治時代における国家の危機,19世紀の日中,日露戦争,及び第一次,第二次世界大戦における犠牲者も含まれる。

 同中国大使の主張は,靖国参拝が行われた2013年12月26日付け総理大臣談話「恒久平和への誓い」において詳述されている安倍首相の趣旨と完全に異なっている。

 この談話において,安倍首相は「靖国参拝については,戦犯を崇拝するものだと批判する人がいますが・・私が今日この日に参拝したのは,御英霊に,・・二度と再び戦争の惨禍に人々が苦しむことの無い時代を創るとの決意を,お伝えするためです。」と述べている。また,「中国,韓国の人々の気持ちを傷つけるつもりは,全くありません。人格を尊重し,自由と民主主義を守り,中国,韓国に対して敬意を持って友好関係を築いていきたいと願っています。」とも述べている。

 田学軍中国大使は,日本は過去の侵略への認識に欠いており,対処し損ねているとも主張している。しかし,実際には日本は過去と真正面から向き合ってきたのである。歴代の日本政府は,多くの機会において痛切な反省の意を表し,心からのお詫びの気持ちを表明してきた。この見解は安倍首相によって,しっかりと引き継がれている。

 第二次世界大戦終了から68年以上にわたり,日本は人権を尊重する自由かつ民主的な国家として,世界平和とアフリカ大陸諸国を含む他国の福祉及び発展の支援にたゆまず努力してきた。このような努力は,真の日本の姿を判断する上で,正当に評価されるべきである。興味深いことに,2008年の日中共同声明において,中国の国家主席が,世界の平和と安定に対する戦後の日本の貢献を積極的に評価したと表明している。

 戦後のドイツを例に挙げる人がいるかもしれないが,ヨーロッパと東アジアでは戦後の状況が異なることを認識しなくてはならない。また,欧州諸国の融和は,戦争を起こした国及び被害国双方の努力によって成し遂げられたのである。他国の弁護はしないが,日本が戦後最大限の努力を払い,私が先に述べた通りの国家となったことを誇りをもって述べたい。

 一方で中国は,防空識別区に関する最近の一方的な主張にもあるように,隣国に対してますます攻撃的な立場をとるようになってきている。日本政府は,既述の問題等について率直に議論するために,中国とのハイレベルの対話を呼びかけているが,今のところ中国側の腰は重いようである。

 上述したとおり日本の戦後の貢献を積極的に評価したことを中国が想起し,アジア太平洋地域や世界各地の平和及び繁栄の促進のために,日本をはじめとする各国と共に歩むことを真摯に望んでいる。

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