寄稿・インタビュー

ル・フィガロ紙(フランス)による岸田外務大臣対面インタビュー


1月10日付,7面

平成26年1月10日

「岸田外相インタビュー:『我々は平和主義を貫く』」(アルノー・ドラグランジュ記者)

 防衛大臣とともにフランスを訪れた岸田外務大臣は,第4回日仏戦略対話を行った。この機会に同大臣は,フィガロ紙に対し外交方針と日本の安全保障政策の新たな展開について説明した。


(問)
 安全保障分野において,日本は米国は大変緊密な関係にあるものと承知している。その一方で,欧州,特にフランスとはどのようなパートナーシップを考えているのか。

(岸田外務大臣)
 まず日本は昨年12月に国家安全保障戦略という外交安全保障における戦略を初めて策定した。第一の目的は,より積極的で明確な方法で,平和と国際安全保障へ更なる貢献をすることである。このためには,米国だけでなく欧州も含めた全てのアクターとしっかり連携しなければならない。フランスは欧州の大国であり,太平洋に多くの領土や領海を有する海洋大国でもある。こうした理由のもと,フランスは「特別なパートナー」であると我々は認識している。

(問)
 安全保障・防衛の分野において,日仏は具体的にどのような形で協力をするつもりなのか。

(岸田外務大臣)
 今回初めて日本とフランスとの間で2+2を開催することができた。国際的な発信力と影響力を持つフランスは,世界の安全保障のために積極的に参加していきたいという日本の意志を支持している。新たな安全保障戦略により,安全保障協力の分野が広がったことになる。具体的には,防衛装備品に関する協力における委員会の設置を決定した。これで枠組みは設定されたので,今後防衛装備品の開発研究分野と共同生産分野における具体的プロジェクトの可能性を探っていく考えである。

(問)
 新たな国家安全保障戦略の策定と国家安全保障会議の開設は,日本の姿勢における過去との断絶を意味するのか。

(岸田外務大臣)
 この新たな安全保障政策は,これまでの平和国家としての歩みを引き継ぐものである。これを放棄することはない。昨年12月の国家安全保障会議の設置は,日本の外交安全保障政策を機動的,そして戦略的に進めていくことをねらいとしており,これにより,同分野における政治のリーダーシップを強めることができる。アジア太平洋地域で緊張が高まっていることを背景に,こういった改革が一層必要になったものである。

(問)
 非常に厳格な特定秘密保護法が成立し,物議をかもしたが,どうしてこのような法案が必要だったのか。

(岸田外務大臣)
 安全保障環境が大変厳しくなる中で,同盟国各国と情報収集の分野で協力することの大切さが一段と高まっていると考えている。そして相手国から質の高い情報を得るためには,日本も情報管理分野において模範的な枠組みをつくらなければならない。我々は今回のこの特定秘密保護法によって,政府の情報管理の責任の所在を明らかにし,秘密指定のルールを明確化することを狙いとしている。決してこれは言論の自由を制限するといった内容のものではない。フランスをはじめ先進国各国においても,既に同様の法律が存在している。

(問)
 中国との対立の原因となっている尖閣諸島問題を解決するために,どのような外交的手段をとるつもりか。

(岸田外務大臣)
 まず尖閣諸島については日本固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いのないところであり,これをめぐり解決すべき領有権の法的な問題はそもそも存在しないというのが日本の基本的立場である。事実日本が有効に支配している。中国公船による度重なる領海侵入は,中国の力による現状変更の試みである。「防空識別区」の設置等も同様の挑発行為であると言える。ある国が,ある日突然,他国が確固たる法的根拠に基づいて有効に支配している領土に対して自分達のものだと突然声を上げれば,領土をめぐる法的紛争となるということはあり得ないと我々は思っている。例えば,太平洋上の仏領の島の領有権を,ある国が突然主張し始めたとしよう。その場合,フランスは領土紛争の存在を認めないのではないかと思う。

(問)
 どのような突発的な衝突などのリスクがあるか。

(岸田外務大臣)
 日本としては,冷静かつ毅然として対処していきたいと思っている。日本側は,事態をエスカレートさせるつもりは全くなく,中国側に対しては自制を求めている。日本としては,大局的な観点から中国との関係強化を進めていきたいと考えている。そのためには,両国のリーダーによる透明性の高い対話が重要である。

(問)
 北朝鮮の核の脅威についてどう分析するか。

(岸田外務大臣)
 度重なる国連安保理の決議に違反し,北朝鮮は核,あるいはミサイル開発を継続している。これは脅威であり,国際社会の規則に従うよう,我々は働きかけを続けていくつもりである。そして,北朝鮮国内の情勢も不安な動きがある。一見,今回の金正恩国防第一委員長の側近の粛清などは体制の強化が進んでいるような印象を与えるが,日本の入手している情報から推察すると,長中期的には必ずしもそうとは言えない。

このページのトップへ戻る
寄稿・インタビューへ戻る