寄稿・インタビュー
AP通信「日本政府,右派的発言から距離を置く」(岸田外務大臣インタビュー)(仮訳)
2月24日配信,ケン・モリツグ記者,東京発
日本の外務大臣は,第二次世界大戦に関する最近の右派的な発言は「遺憾である」とし,日本政府の見解と違うと述べて,これらの発言から距離を置こうと試みた。
AP通信とのインタビューで,岸田文雄外務大臣は,域内における中国の軍事力の増強は懸念事項であると述べたが,脅威と呼ぶまでには至らなかった。
最近,NHK経営陣の一人が南京大虐殺を否定し,また他の一人が第二次世界大戦中の性奴隷であるいわゆる「慰安婦」の利用を軽視したことで批判を巻き起こした。
これらの発言は,中国と韓国から怒りの反応を招き,また多くの者から,日本政府が右傾化している証拠であると見なされることとなった。
岸田大臣は,日本の外交政策及び歴史認識は全く変わらないと述べた。「こうした発言によって日本政府の見解に誤解が生じるとしたならば,大変遺憾である。」
日本政府は,1993年に元慰安婦に関して,また1995年の戦後50周年には,もっと一般的な意味で自国の「植民地支配と侵略」に関して謝罪を行った。
日本の安倍晋三総理は,これらの謝罪を引き継ぐと繰り返し述べているが,総理は過去に,大戦中の日本の役割に関する描写について疑問を投げかけていた。NHK経営陣の発言は,安倍政権が,保守的で修正主義者的な議題を推し進めているのかもしれないことを示唆する,ここ数週間で発生した一連の出来事の一つである。
中国と韓国はこれらに対する脅威を煽り,歴史を巡る日本との論争が,領有権問題やその他の問題を巡り,域内の対立にさらに火を付けるのではないかという米政府内の懸念を高めた。
中国は脅威となるかと問われた岸田大臣は,中国は日本にとって最も大切な国の一つであると述べた。「中国が平和的に発展するならば,日本にとっても,地域にとっても利益であり,チャンスであると考えている。そういった意味からすると,中国は日本にとっての脅威ではないと思っている。」
他方,大臣は,中国の海洋活動の活発化及び透明性を欠いた軍事力の増強は,「地域社会全体の共通の懸念事項」であり,日本はしっかり動向を注視していきたいと述べた。日本は,中国が係争中の島群周辺に公船を派遣し,同島群上空に新たな防空識別圏を設定することで,その主張を強化しようと試みることに関して,特に懸念している。
安倍総理と,中国と韓国の両首脳との関係は凍てついており,総理就任1年目に行った首脳会談の試みははねつけられた。岸田大臣は,日本政府は,議員交流や民間交流,実務的な意思疎通を積み重ねていくことで,対話の実現に向けて努力していくと述べた。
大臣は,「日本と中国,日本と韓国の間には,個別の問題があり,難しい局面にあるとは思う」と述べた。「だからこそ高い政治レベルの対話が重要であると考えている。