世界が報じた日本
海外主要メディアの日本関連報道
4月1日~8日
掲載日
4月7日付
媒体名(国名)
執筆者(発信地)
ヘレン・クーパー記者(東京発)
ヘーゲル米国防長官は、長官就任以来初の訪中に際して、争いの最中に置かれてしまった。青島で開催される中国海軍主催の国際観艦式の際に開催の「西太平洋海軍シンポジウム」参加国の中で、日本だけに艦船派遣の招待状が中国から届いていないのだ。米国防総省は、日本が参加できないなら米国も艦船派遣を見送ると、同国防長官の訪中直前に発表した。米国は、日中間の対立に数十年間対処してきたが、ここ数ヶ月の状況は、中国による防空識別圏設定を受けて、危機的状態に向かっているようだ。日本政府は、日本と連帯した米国艦船の不参加を歓迎しており、中国の軍事力拡大に際して米国が日本の側に立つ気があるのかどうかとの、日本側で強まる懸念の緩和に役立つ可能性があるとアナリストらは述べる。
掲載日
4月6日付
媒体名(国名)
執筆者(発信地)
ヘレン・クーパー記者,マーティン・ファクラー東京支局長(東京発)
1994年に当時のクリントン米大統領が、ウクライナが核兵器を廃棄する代わりに、ウクライナの領土保全を「尊重する」と約束した「ブタペスト覚書」に署名した際、このほとんど知られていない外交約束が長年の日米同盟関係に与える影響など思いもよらなかった。しかし、ロシアがクリミアを奪取すると、米側はブタペスト覚書について「拘束力がない」と述べて距離を置いている。同時に、米国はアジアでの再確認を迫られており、米軍関係者の一人によると、日本当局は「日本が有事の際には、同様に対応するのか?」と再三聞いてきている。
安倍総理との会談を含む、ヘーゲル米国防長官の今回の訪日は突如として、敵対国家(中国と北朝鮮)から日本を防衛するという長年の約束が精査される場になった。ロシアのクリミア奪取を非難するが、米軍派遣は否定するという米国の対応は、すでに不安を抱いている日本当局の間に懸念を引き起こしている。日米安保条約は日本における米軍基地の継続的なプレゼンスを可能にし、日本に対するいかなる攻撃に対しても米国が対応する義務があると定めている。ブタペスト覚書は対照的に、ウクライナに対する安全保障について言及するが、その内容は特定されておらず、軍事介入を約束するにはいたらないものと広くみなされている。日本の専門家らは、ヘーゲル長官、そして、オバマ大統領が訪日する際に、言葉だけの保証だけでなく、米国が東シナ海問題に対しクリミア問題とは異なった対応をしていくことを示す、ある種の象徴的行動を求められるかもしれないと見ている。アナリストの一部及び元政策決定者らは、尖閣諸島で衝突が起きた際に米国が支援しなければ、日米同盟は終わりを告げるだろうと率直に述べている。安倍総理の元顧問で、現在はキヤノングローバル戦略研究所の研究主幹である宮家邦彦氏は、「日本が攻撃されて、米国が対応することを拒んだら、その時は米軍が日本から撤退する時だ。日本の基地がなければ、アメリカはもはや太平洋の大国ではなくなる。米国はそれを承知している」と述べている。
掲載日
4月2日付
媒体名(国名)
執筆者(発信地)
マーティン・ファクラー東京支局長(東京発)
安倍政権は、戦後平和主義から更に一歩踏み出し、武器及び軍用設備の輸出禁輸を放棄した。この動きは、地域におけるより大きな安全保障上の役割を担い、中国の軍事力拡大を相殺することが目的である。数年前から漸進的に始まった、「武器輸出三原則」の例外を増やす動きを正式化するものだ。同三原則は、改正したいとの意思を安倍総理が表明している平和主義憲法と並び、戦後日本の戦争放棄理念における最も明確な柱の一つだった。アナリストらは、武器輸出三原則の廃止の一因は、国内軍需産業のための新市場開拓だと述べる。日本の軍事費は10年ぶりに増加しているものの、累積赤字により依然として大幅に制限されているためだ。しかし、彼らは、より大規模な戦略目標に到達するために長年論議されてきた変化の実施を、安倍総理がついに決定したと述べた。ますます強硬な立場を取る中国と領有権問題を巡り対立関係にある域内諸国に最新鋭の防衛設備を提供することで、日本の影響力を域内で拡大するとの目標だ。日本の防衛負担拡大を長年主張してきた米国当局者らは、武器輸出解禁を歓迎すると述べている。アナリストらは、米国支配の弱体化及び中国の急速な軍拡に伴い、日本はアジア太平洋地域の力の均衡の変化に直面していると述べる。日本の対応の一つは、オーストラリアやインドなど米国以外の国との軍事関係構築である。1日の動きにより、比較的発展していない東南アジア諸国に軍事面での援助を行い、南シナ海紛争を巡る中国への対応を助けるのが一段と容易になる。日本は以前から、キャパシティ・ビルディングを、フィリピン向けの巡視船供給などに限定的に実施している。専門家らによると、1日の動きは、フィリピンだけでなくベトナムとインドネシアの主張を強化するためにも、軍事設備の提供を容易にする。専門家らは、1日の決定は、日本が最終的に東南アジア諸国と軍事同盟を組む、または、係争水域へ軍艦を派遣しての共同巡視に向けた一歩である可能性があると見ている。