寄稿・インタビュー
ラアイ紙(ヨルダン)による林外務大臣書面インタビュー(令和5年9月3日)
「日本の外務大臣、『アル・ラアイ』紙に寄稿:我々はヨルダンを"しっかりと"支援する。」
林大臣:ヨルダンの役割とエルサレムの聖地に対するハーシム家の守護権の重要性。
両国政府は定期的な外務・防衛当局間協議を行っている。
日ヨルダン・ビジネス・フォーラムの成功。
テロとの闘いにおけるヨルダンのイニシアティブに感謝。
林大臣:ヨルダンの役割とエルサレムの聖地に対するハーシム家の守護権の重要性。
両国政府は定期的な外務・防衛当局間協議を行っている。
ヨルダンを訪問中の林芳正外務大臣は、パレスチナの大義を擁護し、地域の平和と安定の確立に努めているアブドッラー2世国王陛下の努力を賞賛した。
林芳正外相は、アル・ラアイ紙との独占インタビューで次のように述べた:日本とヨルダンは、皇室と王室との緊密な関係から草の根レベルの人的交流に至るまで、友好関係の強化に努め、様々なレベルでの交流を築いてきました。今日、ヨルダンは日本にとって、地域的・世界的レベルでの様々な課題において、欠くことのできない戦略的パートナーであると考えています。
「1954年の外交関係樹立以来、日本とヨルダンは皇室・王室を含む友好的な二国間関係を維持してきました。日本は、広く中東地域の安定に資するヨルダンの政治的・経済的安定を大変に重視しています。両国が2018年に二国間関係を戦略的パートナーシップに格上げしたのはその現れです」と林大臣は述べた。
「今年3月、アイマン・サファディ副首相兼外務・移民大臣を東京に迎え、第3回二国間戦略対話を行いました。翌月に、アブドッラー国王陛下が東京を訪れた際には、岸田総理と広く二国間及び地域の課題について協議されました」と大臣は述べた。
「今次訪問では、これらハイレベルの訪問を通じて達成された二国間の協力関係の進展について議論するとともに、二国間関係の更なる強化へのコミットメントを再確認したいと思います。また、ロシアによるウクライナへの侵略を含む国際情勢や、中東和平プロセスをはじめとする地域の主要課題についても議論し、これらの問題についての今後の連携を確認したいと考えています」と彼は付け加えた。
林大臣は地域的課題に触れ、「日本は、中東における包括的な和平に向けたあらゆる進展は、地域に存在する緊張緩和に大きく貢献し、地域的繁栄に向けて中東地域が持つ潜在性を最大限引き出すものと確信しています。」「日本は、早期に、公正で永続的且つ包括的な和平が実現することを期待する一方、最近のイスラエル・パレスチナ間の緊張の増加及び今後見込まれるさらなる情勢悪化を懸念しています」と述べた。
「我が国は、双方に対し、緊張を高め「二国家解決」の実現を脅かすようなあらゆる一方的措置を控えるよう求めてきました。我々は現地の状況を注意深く見守っています」と外務大臣は述べた。
「ヨルダンの役割及び聖地エルサレムの守護者としてのハーシム王家の役割は極めて重要であり、ヨルダン、米国、エジプト、イスラエル、パレスチナによる5者会合の開催を含め、緊張緩和に向けたヨルダンの努力を高く評価します」と彼は付け加えた。
同大臣は、また、「日本は、「平和と繁栄の回廊」イニシアティブなどの独自の枠組みを通じて、中東和平プロセスの当事者間の信頼醸成に引き続き貢献していく考えです」と言及した。
難民問題について、同大臣は、「多くの難民を受け入れ、医療サービスや教育など様々な支援を提供しているヨルダンの役割に敬意を表します。今回の訪問では、難民の実情を把握するため、受け入れ先のコミュニティを訪問する予定です。ヨルダンを含め、難民受け入れ国への支援を強化するのが我が国の方針です」と述べた。
「地域全体に目を向けると、中東では地域内協力の機運が高まりつつありますが、長期にわたる紛争に苦しむ国や地域があることも事実です。加えて、ヨルダンを含むこの地域の多くの国々が、ロシアによるウクライナ侵略によって経済的な影響を受けています」と同大臣は述べた。
「日本は、法の支配は世界のあらゆる所で守られるべきであり、アカバ湾や紅海のような重要な海洋通商路を持ち、地域内外の国々におけるエネルギー、商品、その他の物資の輸送のための交差点となっている中東においては、なおさら重要であると考えています」と彼は続けた。
「私たちは、ヨルダンや他の国々と協力して、海上安全と航行の自由を促進したいと考えています」と彼は述べた。
外務大臣は、二国間関係について詳しく述べ、「最近、日本とヨルダンの間では、4月のアブドッラー国王陛下の訪日をはじめとするハイレベルの往来が頻繁に行われています。これらは両国の緊密な関係を物語っています。日本とヨルダンは戦略的パートナーとして、経済協力や安全保障を含む幅広い分野で協力してきました。」「日本は、開発政策借款や電力、水、その他の分野への無償資金協力を含む措置を通じて、近代化と自立した持続可能な経済成長の実現に向けたヨルダンの努力を引き続き支援します。この援助が、ヨルダン自身の努力を支えるインフラの重要な要素の開発に貢献することを期待しています」と林大臣は述べた。
貿易関係について、大臣は以下を強調した。「日本はヨルダンとのビジネス関係の強化にも意欲的です。ヨルダン・日本ビジネスフォーラムは、7月にアンマンで成功裏に開催され、両国から多くの企業が参加しました。ヨルダンにおけるビジネスチャンスや投資環境、日本企業による彼らの技術を活用した活動などについて活発な議論が交わされました。さらに、日本とヨルダンは7月にデジタル分野における協力覚書に署名しました。」
「安全保障分野の協力では、両国政府は定期的な外務・防衛当局間協議を実施しているほか、日本の自衛隊はヨルダン軍と協力して演習を成功裏に実施しました。また、両国はサイバーセキュリティ問題についても意見交換を行っています」と林大臣は述べた。
テロとの闘いにおける中東諸国との日本の努力と協力について、大臣は、「日本は、国連薬物犯罪事務所や他の国際機関との協力を通じて、特にテロ対策や国際組織犯罪に対抗するために、この地域の法執行当局に継続的に技術支援を提供してきた」と述べた。
「テロリズムと暴力過激主義は、依然として国際平和と安全に対する深刻な脅威です。テロリズムと闘い、中東地域の平和と安定を確立するためには、包括的なアプローチが必要です。また、テロリストが麻薬密売を含む国際組織犯罪から経済的利益を得ることを防止するため、団結して取り組む必要があります」と林大臣は述べた。
「日本はまた、テロとの闘いにおけるヨルダンのイニシアティブを高く評価している。アイマン・サファディ外務大臣と会談した際、我々は、テロリズムがもたらす課題に対する共通の理解を深め、解決策を特定するためにアブドッラー国王陛下が設置した重要なフォーラムであるアカバ・プロセスを含め、テロとの闘いにおける協力を深めることで一致しました」と彼は言及した。
「世界的なテロとの闘いにおける献身的なパートナーとして、日本は引き続き中東諸国と緊密に協力し、持続可能な社会の構築と平和、安定、繁栄の確立に向けた努力を支援していく考えです」と彼は付け加えた。
最後に大臣は、「日本とヨルダンは、皇室・王室間の緊密な関係から草の根レベルの人的交流に至るまで、様々なレベルの交流を基盤として友好関係を育んできました。今日、ヨルダンは日本にとって、地域的にも世界的にも様々な課題に取り組む上で欠くことのできない戦略的パートナーであります」と述べた。
「来年は日本とヨルダンの外交関係樹立70周年にあたります。伝統的な友好関係に基づき、両国がパートナーシップを更に深め、多くの重要な分野において協力の地裾野を広げることに成功すると確信しています。」と同大臣は付け加えた。