世界が報じた日本

(8月5日~8月12日)

平成26年8月12日

 最近の海外主要メディアにおける日本関連報道の中からいくつか紹介いたします。メディア側から予め承認が得られたものの中から選んで掲載しています。転載・複製を禁じます。詳細はリンクから原文をご参照願います。

掲載日:

8月7日付:

媒体名(国名):

レ・ゼコー紙(仏)

執筆者(発信地):

アレクシス・オンタン記者

 広島への原爆投下の69周年に当たる8月6日,同市の平和記念公園で,原爆死没者慰霊式・平和祈念式が行われ,4万5000人が参列した。参列者中にはケネディ駐日米大使の姿も見られた。米大使が平和記念式典に参加するのはこれが二度目。被爆者の子供で,核兵器に反対する松井一実市長は平和宣言において,「広島に来てもらいたい。核兵器が絶対的な悪であり,その存在を許してはならないことが納得できるだろう。」と発言し,「日本が憲法の尊い平和主義のおかげで69年間戦争を回避してきたことを政府は重く受け止めなければならない。」と述べ,式典に参列した安倍政権が軍国主義的政策に方向転換していることを強く批判した。中南米歴訪から帰国したばかりの安倍総理は,平和記念式典でこのような扱いを受けることを予想していなかったであろう。日本の貿易赤字が過去最大に拡大した中で,アベノミクスが当初に醸成した期待感も,むしろ安倍総理への批判を招く結果となっている。安倍総理は平和記念式典で献花した上で,核兵器廃絶の誓いを新たにし,唯一の戦争被爆国として日本には核兵器のない世界を実現していく責務があると発言した。

掲載日:

8月6日付:

媒体名(国名):

インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ紙(米)

執筆者(発信地):

マーティン・ファクラー東京支局長

 米政府との結束維持と露政府との外交関係維持の間で板挟みになりながらも,日本は5日,ロシアに対して新たな制裁を課した。アナリストらは,日本の追加制裁は,安倍総理が強大化する中国の領有権を巡る主張を退けようとする中で一層米国に同調する必要があり,米国及びEUの対ロ制裁から大きく後れを取ることを避けたい意向があることを示すと指摘する。一方で,プーチン大統領への今秋の訪日招待を取り消していないと示すことで,微妙なバランスを取ろうとしているようだと述べた。総理はロシアとの関係改善に取り組んでおり,その一因はロシアの豊富な天然ガスを確保するためだと考えられるが,ロシアが日本との共同エネルギー計画を中止することで制裁に報復する懸念が存在すると指摘した。安倍総理とプーチン大統領のいずれも,領有権問題について前任者たちよりも意欲的に語ろうとする姿勢が見える。専門家らは,保守の資質を持つ両者が,妥協に対する両国内強硬派の抵抗を克服するとの期待があると述べており,長年冷え込んでいた日ロ関係が目に見えて改善している。

掲載日:

8月6日付:

媒体名(国名):

フランクフルター・アルゲマイネ紙(独)

執筆者(発信地):

カーステン・ゲルミス在京特派員/(論説)ペーター・シュトゥルム政治部記者

 中国は,日本の防衛白書の中心的な方針について,おそらく望んだものではないだろうが,非常に印象深く認める結果となった。5日,中国外交部は,緊張緩和のために南シナ海の係争諸島におけるさらなる建造計画をやめるようにとの米・フィリピンの提案を怒りを持って拒絶した。こうした中,隣国に対してますます攻撃的な態度を取る中国軍に対して懸念すべきではないなどと言えようか。日本は,地域の紛争当事者がより理性を持たなければ「予期せざる結末」になると警告すべきあらゆる理由がある。ただし,それには自らの振る舞いも含まれるのであり,この点からは,安倍政権も全く疑念なしとはいかない。防衛白書に喧伝されている戦略は全体として合理的なものに思われるが,必要になるであろう海軍力増強は,費用がかかるのみならず,完成までに数年を要する。それまでの間,状況は危険な不安定さに置かれることになる。

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