寄稿・インタビュー

(2017年1月6日付)

「日本はフランスを防衛分野における特別なパートナーと考える」

平成29年1月6日

日本の外務大臣は,訪仏に際して,安全保障分野において日本はフランスとのさらなる協力を望む旨説明

 日本の外務大臣として,2017年の最初の訪問先に,私は欧州を選択した。国際社会に保護主義や内向き傾向が広がる中,私は,基本的価値を共有する欧州の友人達と手を取り合いながら対応していくことが重要と考えたからだ。日欧が共に,自由で開かれた国際秩序を支えていかなければならない。特に,日EU・EPA交渉を引き続き力強く推進することを含め,自由貿易の旗を高く掲げ続けること,また,法の支配の推進のため積極的に結束していくことが重要である。

 私はまた,太平洋からインド洋を経て東アフリカに至る地域を一体として捉え,「自由で開かれたインド太平洋」を確保するというビジョンを,欧州の友人達との間で共有したいと考えている。成長著しいアジアと潜在力溢れる中東・アフリカとの連結性を向上させ,また海洋における法の支配を徹底させることにより,この地域の平和と安定を確保すべく,フランスを含む欧州と連携していきたい。

 フランスは日本と同様,インド太平洋地域の安定と繁栄に,戦略的かつ経済的な利益を有しているということを喚起したい。フランスは,歴史的にアフリカやインドシナ半島との関係が深く,また太平洋のニューカレドニア及び仏領ポリネシアに恒常的に軍事プレゼンスを有する。インド太平洋地域を視野に入れた,シーレーンの安全確保を含む安全保障・防衛分野での日仏の更なる協力は,大いなる可能性を秘めている。

 具体的な協力としては,特に,アジアやアフリカの途上国における海上安全保障やテロ対策等の分野での支援での連携,共同訓練,昨年12月に発効した防衛装備品・技術移転協定に基づく防衛装備・技術協力,宇宙やサイバー分野での協力が挙げられ,こうした協力を日仏で積極的に推進していきたいと考えている。

 本日開催される第3回日仏外務・防衛閣僚会合,いわゆる「2+2」では,稲田防衛大臣と共に,私の同僚であるジャン=マルク・エロー外相,ジャン=イヴ・ル・ドリアン国防相との間で,こうした日仏の協力の方向性及びビジョンについて,じっくりと議論したい。また,世界各地の地域情勢についても意見交換し,日仏間で認識を共有したいと考えている。特に,アジア太平洋地域においては,北朝鮮による核・ミサイル開発,東シナ海及び南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試み等により,安全保障環境が一層厳しさを増す中で,この地域におけるフランスのプレゼンスの更なる拡大を期待したい。

 特別なパートナーシップが日本とフランスを結びつける。戦略的な観点に基づく安全保障・防衛協力を推進していくことで,両国の協力を新たなステージに移行させることができると確信し,本年も日仏・日欧関係の強化に向け,尽力していきたい。


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