外務省独立行政法人評価委員会
第34回外務省独立行政法人評価委員会 議事概要
1 日時
平成26年2月3日(月曜日)14時30分から16時20分
2 出席者
(委員)
門脇英晴委員長,山影進国際交流基金分科会長,青山伸一委員,上子秋生委員,久邇良子委員,小松浩委員,砂川有里子委員,手納美枝委員,都丸潤子委員,榛木恵子委員,吉田和浩委員,吉本光宏委員
(外務省)
越川官房長,石兼国際協力局長,齋木国際文化交流審議官,細野考査・政策評価官,髙杉国際協力局政策課長,岸守外務報道官・広報文化組織広報文化外交戦略課首席事務官他
(国際交流基金)
櫻井理事,柄総務部長,古屋経理部長,小島企画・評価課長他
(国際協力機構,以下JICA)
植澤理事,竹若総務部長,加用財務部長,広田企画部長他
3 議題
(1)平成24年度業績評価結果についての政独委意見について
(2)【国際交流基金】第3期中期目標の変更について(審議事項)
(3)【国際協力機構】第3期中期目標の変更について(審議事項)
(4)【国際交流基金】会計検査院からの指摘事項について
(5)独立行政法人改革をめぐる現状について
4 議事概要
(1) 冒頭,門脇委員長の開会の辞に続き,越川官房長が挨拶を行った。続いて,委員長から新委員の紹介を行った後,議題について確認を求め,委員の了承を得た。
(2) 平成24年度業績評価に対する政独委2次評価意見(PDF)について, JICAの業績評価に関する2点の個別の指摘事項などについて細野考査・政策評価官から説明を行った。これを受けてJICAから,以下(ア)のとおり補足説明があり,委員から,以下(イ)のコメントがあった。
(ア)JICAによる補足説明
- ご指摘を踏まえ,今後はより明確な報告に努めたい。在外機能の強化については,予算的制約もある中で,大局的な観点から現地職員活用も含めたダイナミックな強化に努めている。2課新設については、中小企業海外展開の強化という政府の要請に対し体制を整備したもの。今後も政府の政策に臨機応変に対応しつつ,中期目標期間全体では組織のスリム化に鋭意取り組みたい。
(イ)委員からのコメント
- 評価書の記載振りが正確に理解されなかったかもしれない。予算制約もあり,定員のシフト自体は容易ではない中で,従来以上の権限移譲等を通じ,実質的に在外機能全般が強化されていることが重要。今後の評価では留意していきたい。
門脇委員長から,平成25年度業績評価においては,今回の意見を踏まえた評価を行うこととしたく,独法側からも然るべく業務実績報告をお願いしたい旨述べた。
(3) 国際交流基金の第3期中期目標の変更(案)について,岸守外務省外務報道官・広報文化組織広報文化外交戦略課首席事務官から概要以下(ア)の通り説明するとともに,質疑応答を行った。委員からの主なコメント等は以下(イ)のとおり。同案は,委員の了承を得た。
(ア)外務省による説明
- 昨年12月の日・ASEAN特別首脳会議において,アジアの国々がともに新しいアジア文化の創造を目指すべく,2020年までの7年間を目途に「文化のWA(和・環・輪)プロジェクト~知り合うアジア~」の実施を発表。これを受け,平成25年度補正予算案で国際交流基金に対してアジア文化交流強化事業として200億円の予算を計上した。
- また,昨年12月の閣議決定「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」を受けて,JICA,日本貿易振興機構(以下,JETRO)及び国際観光振興機構(以下,JNTO)の海外事務所との共用化・近接化の推進やJNTOとの本部事務所の共用化を目標に,その工程表を本年夏までに策定することが決定された。
- これらの重要な変化を踏まえ,事業部門について,アジア地域における事業の強化を明記するとともに,運営部門について,閣議決定の内容を反映する形で中期目標を変更したい。
(イ) 委員からのコメント
- 近年,予算等の事情が厳しい中で,非常に前向きな事業が発表されたことを高く評価。
- 文化の担い手としての若者の文化交流は重要。今般のプロジェクトは大変良いアイディア。
- 2020年の事業終了後も事業効果が継続するよう,新たな予算による事業と既存事業を上手く組み合わせて担い手の育成を期待。また,ASEAN強化とあわせて,それ以外のアジア諸国においても取組を進めて欲しい。
(4) JICAの中期目標の変更(案)について,高杉外務省国際協力局政策課長から概要以下(ア)の通り説明したところ,委員からの主なコメント等は以下(イ)のとおり。
(ア)外務省による説明
- ODAに求められる役割が,ますます幅を広げている。昨年6月の「日本再興戦略」で示された,(1)経済分野での国際展開の支援,(2)好ましい国際環境の構築及び(3)人間の安全保障の推進,の3本柱を踏まえた戦略的ODAを展開するとの方向性などを反映させつつ,官民連携をしっかりと位置づけるべく,中期目標の一部を変更したい。
- また,ODA大綱における「国際社会の平和と発展に貢献し,これを通じて我が国の安全と繁栄の確保に資する」との目的を中期目標でも明記し,また,国際交流基金と同様,JICA,国際交流基金,JETRO及びJNTOとの海外事務所との共用化・近接化に関して、昨年末の閣議決定を反映させたい。
(イ)委員からのコメント
(括弧内は外務省国際協力局及びJICAからの回答・コメント)
- 海外事務所については,従来の「機能的統合」から「近接化・共用化」に変わったことで,共有の度合いがどう変わるのか(新旧の閣議決定の間で,この部分に関する文言は実質同じままであり,特に変わりはない。)
- 民間連携にはどのような形態があり,企業はどう参加するのか。(主な形態としては,(1)民間企業の事業に必要な周辺インフラを円借款や無償資金協力を通じて整備,(2)円借款プロジェクトを日本企業が受注,(3)中小企業の海外展開支援事業に企業が応募など。また,一昨年に再開した海外投融資も官民連携をうまく活かしていくための重要なツールである。)
- 海外投融資の対象は中小企業に限られるのか。(途上国の開発に資する事業を行う企業との切り口であり,中小企業に限られない。)
- 「女性の能力開発と活躍支援150億円」は,途上国の法制度整備支援も対象か。「MDGs達成支援42億円」はポストMDGsも対象か。「国民参加の拡大198億円」は国内の活動にも使われるか。(適宜概要を説明。)
- 「民間との連携の推進」の「国際展開戦略の実施に向けた経済協力の戦略的活用」に関しては,あたかも円借款などによる事業や調達を日本企業に振り向けることを最優先していく趣向であるかのように受け止められ,アンタイド化を進めてきた歴史に逆行し,タイド化促進に重きを置いていると誤解されかねない。グローバルな協力が,ひいては日本の国益にも繋がるというのがODA大綱の考え方だと思うので配慮するとよい。(頂いたご意見を受け止めたい。)
- ODA大綱における「国際社会の平和と発展に貢献し,これを通じて我が国の安全と繁栄の確保に資すること」との目的について,具体的案件を検討する際にどうスクリーニングしているのか。(短期的にリターンが期待できるものや中・長期的視点が必要なものもあり様々で,必ずしも一律の基準があるということではない。)
門脇委員長から,委員の意見を受けて,国際展開戦略に関する書きぶりの変更の要否については委員長に一任頂くという条件付きで承認したい旨提案し,了承された。(本会合終了後,一部修正を行うことで委員長の了承が得られた。)
(5) 国際交流基金に関する会計検査院からの指摘事項に関し,国際交流基金より指摘事項の概要,経緯及び再発防止策等について概要以下(ア)の通り説明したところ,委員より以下(イ)のとおりコメントがあった。
(ア)国際交流基金による説明
- 平成22年10月に開始した財務会計システムの開発に関し,システム開発担当部門とシステム利用部門の連携が不十分であったために,業務に必要な機能,性能等についての検討が十分でなかったことなどから,システムが業務に使用できないものとなっていて,同システム開発に係る約4,370万円が不当と認められる,との指摘を会計検査院より受けた。
- 国際交流基金ではこの指摘を受け,検討会議を設置して原因分析,今後の改善方法等の検討を行い,その検討結果に従い,システム開発・運用に助言を得るための情報化統括責任者(CIO)補佐の配置,システム開発・運用に係る重要事項について審議するための情報システム委員会の設置等,再発防止のための改善策についてはすでに着手している。
(イ)委員からのコメント
- 問題発生当時の内部統制がどうなっていたかに加え、再発防止策の実効性とその初期段階の実施状況を中心に業績評価のプロセスにおいてチェックする必要がある。
- 本事案は仕様の問題であり契約先の問題ではないが、将来的に価格のみで開発業者を決定するのではなく,総合調達を行う等の調達方法の改善も必要である。
門脇委員長から,来年度に実施する評価に際しては,今回の会計検査院指摘事項への対応状況も含めて評価を行うので,基金においては,再発防止に努めつつ,来たる業務実績報告に際しては,本対応振りについても然るべく説明願いたい旨述べた。
(6) 独立行政法人制度改革をめぐる現状等について,昨年12月24日付で閣議決定された「独立行政法人改革等に関する基本的な方針(PDF)」の概要について,細野考査・政策評価官から説明を行った。
(7) 最後に,細野考査・政策評価官から今後のスケジュールなど連絡事項を伝達した後,門脇委員長から閉会を宣言した。