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令和6年度駐日大使の地方視察(山口県)
外務省儀典官室
令和6年11月7日及び8日、外務省は山口県との共催で駐日大使の山口県視察を実施しました。儀典官室では、1988年から、駐日大使に地方の歴史、文化、産業等の実情を直接見聞する機会を提供し、現地関係者との交流を通じて、我が国に対する正確な認識を深めてもらうことを目的とし、駐日大使の地方視察訪問事業を実施しています。
今回は13か国・地域機関(モロッコ、メキシコ、アルメニア、イスラエル、タンザニア(夫妻)、コソボ(夫妻)、フィンランド(夫妻)、EU、イエメン、シンガポール(夫妻)、サウジアラビア、アルバニア(夫妻)、ハイチ)の大使ら18名が参加し、「自然・文化・技能の次世代への継承に向けた山口県内の取り組み」をテーマに、山口県の歴史、文化、産業等の関連施設を訪問し、関係者らと意見交換等を行いました。
- <主な訪問先>
- 11月7日 錦帯橋、半月庵、株式会社日立製作所笠戸事業所、野田神社能楽堂(山口鷺流狂言鑑賞)
- 11月8日 瑠璃光寺、山口ふるさと伝承総合センター(大内塗体験)、秋吉台、秋芳洞
1 錦帯橋
国指定の名勝錦帯橋を訪問し、我が国の伝統技法である巻きガネとカスガイを使った「木組みの技法」を実際に視察し、その歴史や構造について説明を受けた後、橋の上から山口の美しい景色を鑑賞しました。
2 日立製作所笠戸事業所
新幹線、電車等の鉄道車両を製造する株式会社日立製作所笠戸事業所を訪問し、関係者から日立製作所の歴史、企業理念、主な事業内容、海外展開に関する詳細な説明を受けたのち、展示資料や実際の新幹線車両を見学したほか、地元の職人技で新幹線車両の先端部分を制作してきた株式会社山下工業所による説明を受けました。その後、バスの中から工場内の作業場や、組立て途中、納品前の車両等を見学し、参加者からは高い関心が寄せられました。
3 野田神社能楽堂(山口鷺流狂言鑑賞)
野田神社能楽堂にて、伝統芸能である山口鷺流狂言の保存会関係者から狂言の概要、魅力について説明を受け、その後地元中学校の生徒による狂言を鑑賞し、伝統芸能の次世代継承に向けた取り組みを伺いました。また、参加者は、保存会関係者及び中学生から実際にレクチャーを受け、狂言特有の立ち居振る舞いや発声、身近な日常の場面を狂言の一幕のように表現する方法などを体験しました。
4 山口県知事主催歓迎夕食会

山口県知事主催歓迎夕食会では、村岡嗣政知事、柳居俊学山口県議会議長の歓迎挨拶の他、先述の株式会社山下工業所の熟練職人が打ち出し板金と呼ばれる工法で作ったアルミ製のヴァイオリン、チェロによる弦楽二重奏が行われました。参加者は日本の誇る職人技に触れつつ、地元食材をふんだんに用いた和食に舌鼓を打ちました。
5 瑠璃光寺

約70年ぶりとなる檜皮葺き屋根全面葺替工事(令和の大改修)を実施中の国宝瑠璃光寺五重塔を訪問し、改修工事現場の視察を行いました。参加者は、建築に用いられている木材や保存・管理・改修に必要な伝統技術及び継承者の育成について詳細な説明を受けつつ、檜皮葺き職人による作業を間近で視察し、質疑応答も活発に行われました。
6 山口ふるさと伝承総合センター(大内塗体験)

山口ふるさと伝承総合センターを訪問し、山口市の伝統的工芸品である大内塗について、職人からその歴史、モチーフに込められた意味等について説明を受けた後、実際に箸作り体験を行いました。参加者はオリジナルの箸を真剣な表情で制作し、楽しんでいました。
7 秋吉台、秋芳洞
美祢(みね)市に移動し、秋吉台、秋芳洞の視察を行いました。日本最大級のカルスト台地である秋吉台は、1955年に国定公園(秋吉台国定公園)に、1964年に特別天然記念物に指定されました。また、2015年には秋吉台を含む美祢市全域が「日本ジオパーク」に認定され、現在美祢市は同地域の「ユネスコ世界ジオパーク」の認定を目指しています。
参加者は、地元ガイドの案内を交えながらカルスト台地遊歩道の一部を散策しました。その後、日本最大規模の大きさを誇る鍾乳洞、秋芳洞に移動し、神秘的な洞内の視察を楽しんだ様子でした。
なお、本視察については地元メディアの関心も高く、地元テレビ局(NHK山口、YAB山口朝日放送、KRY山口放送及びTYSテレビ山口)や地元の新聞で本件視察ツアーが数多く報じられました。また、モロッコ大使(於:錦帯橋)及びメキシコ大使(於:瑠璃光寺五重塔)へのインタビューも放映されました。
参加した各国の駐日大使からは、山口県の取り組みや魅力につき高い評価と関心が寄せられました。
御準備いただいた山口県及び関係者の皆様に改めて御礼申し上げます。