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第50回駐日外交団による地方視察ツアー(奈良県・大阪府堺市)
関西広域連合 広域観光・文化・スポーツ振興局
奈良県 観光局 観光プロモーション課
堺市 文化観光局 観光部 観光企画課
令和6年1月30日及び31日、外務省と関西広域連合は、駐日外交団を対象とした奈良県・大阪府堺市での視察ツアーを実施し、10か国から15名の各国大使他が参加しました。「ガストロノミーと歴史・文化を巡る関西(“KANSAI Tour Featuring Gastronomy, History, and Culture”)」をテーマとして、2025年大阪・関西万博の開催を控える関西エリアの魅力発信の観点も含め、奈良県及び大阪府堺市の歴史、文化、食、産業、観光、特産品などの多様な魅力を駐日外交団に紹介しました。
1 大神神社
大神神社は日本最古の神社と言われ、古来より酒の神として信仰を集めてきました。駐日外交団一行が到着すると、大神神社の皆さんを始め、奈良県民から温かい歓迎を受けました。その後、駐日外交団は拝殿を視察し、日本古代の信仰についての説明に興味深く耳を傾けていました。
2 外務省主催昼食会(於:千寿亭)
地元でも評判の老舗素麺店である「千寿亭」において、外務省主催昼食会が行われました。菱山地方連携推進室長が冒頭挨拶を行い、駐日外交団による地方視察ツアーの意義等について説明した上で、参加した駐日外交団に対し、奈良県及び大阪府堺市の多様な魅力を体験し理解を深め、その魅力を積極的に発信していただきたい旨を述べました。駐日外交団は、季節に合わせた旬の食材と、奈良の豊かな自然で育てられた「大和肉鶏」のすき焼き鍋・柿の葉すし・三輪そうめん等の「奈良のうまいもの」を堪能し、参加者同士の交流を深めました。
3 なら食と農の魅力創造国際大学校(NAFIC)
「なら食と農の魅力創造国際大学校(NAFIC)」は、「食」と「農」の連接をコンセプトに、「アグリマネジメント学科」で農業経営者等の農の担い手を、「フードクリエイティブ学科」で料理人等の食の担い手を育成しています。駐日外交団は農園で育てられた奈良生まれの品種のイチゴ「アスカルビー」「古都華」「珠姫」を試食しながらNAFICでの取り組み等について説明を受けた後、調理実習の様子を視察し、生徒との交流を楽しみました。最後に駐日外交団を代表してアンナーブ駐日ヨルダン大使から生徒に対し、今後に向けたエールが送られました。
4 喜多酒造
続いて、駐日外交団は県内有数の酒蔵である喜多酒造を訪問しました。創業以来300年以上「美味しいお酒」にこだわった酒造りを続けてきた喜多酒造では、杜氏である店主の案内のもと、酒蔵視察を行いました。駐日外交団はワインとの比較を通して日本酒についての理解を深めた後、鏡開きを体験し、日本酒や甘酒の試飲を行いました。様々な種類の日本酒を味わったり、お気に入りの1本を購入したりするなど、日本酒等の魅力を大いに感じている様子でした。
5 道の駅なら歴史芸術文化村
「道の駅なら歴史芸術文化村」は、県内各地の新鮮な野菜や果物をはじめとする特産品の他、奈良の伝統的な技術・技法を用いた工芸品を一堂に集め、展示・販売する施設です。駐日外交団は奈良の特産品や工芸品についての説明を受けた後、思い思いのお土産を選んでいました。
6 奈良県知事主催歓迎夕食会(奈良ホテル)
100年以上前に「関西の迎賓館」として誕生した、重厚華麗な雰囲気の漂う奈良ホテルを会場に、奈良県知事主催歓迎夕食会を開催しました。山下真知事は駐日外交団に対し、本ツアーを契機に奈良の魅力に触れ、本国での情報発信や2025年の大阪・関西万博の機会における再訪につながることを期待する旨の挨拶を行いました。続いて、駐日外交団を代表してアンナーブ駐日ヨルダン大使から挨拶がありました。
駐日外交団は奈良県産食材を使用した料理に舌鼓を打ちつつ、山下知事をはじめ奈良県関係者等と和やかに交流しました。また、奈良県内の和菓子店による高速餅つきも披露され、駐日外交団も実際に餅つきを体験するなど、会場は大いに盛り上がりました。
7 百舌鳥古墳群ビジターセンター
ツアー2日目は、バスで堺市に移動し、百舌鳥古墳群ビジターセンターから堺市内の視察を開始しました。「百舌鳥・古市古墳群」が世界遺産に登録された背景等の説明を受け、カーブスクリーンと床面に8K空撮映像が投影されるシアターでは、古墳群の雄大さを体感しました。
8 仁徳天皇陵拝所
世界遺産「百舌鳥・古市古墳群」を代表する墳墓である仁徳天皇陵古墳の拝所では、約1,600年前に築造された古墳の構造やその大きさが被埋葬者の身分を表していることなど、古墳についての理解を深めました。
9 シマノ自転車博物館
日本で唯一の自転車博物館であるシマノ自転車博物館では、古墳築造の際に用いられた鉄の加工技術が、現代の自転車産業に受け継がれていることなどの説明を受けました。その後、クラシックバイクから最新のロードバイクまで様々な種類の自転車の展示を通じて、自転車の発展の歴史と製造技術に対する理解を深めました。同博物館は、外交団の出身国内でもよく知られた企業が運営しており、駐日外交団は興味深く視察をしました。
10 堺市長主催昼食会(梅の花 さかい利晶の杜店)
昼食は、梅の花 さかい利晶の杜店にて、堺出身の偉人である茶人・千利休と歌人・与謝野晶子にちなんだ懐石料理「利晶」を楽しみました。堺市を代表して永藤英機市長が駐日外交団を歓迎し、堺市は日本中を見渡しても類いまれな歴史を有していること、2025年に開催予定の大阪・関西万博では駐日外交団の出身国から多くの方に万博会場や堺市を訪れていただきたいこと等を述べました。
11 堺伝匠館
昼食後は、刃物や注染・和晒、線香をはじめとする堺の伝統産業を一堂に集めた施設である堺伝匠館を視察しました。分業制(鍛冶・研ぎ・柄付け)によって磨かれた技術を持つ職人が製作した刃物の展示や、説明者からの堺打刃物に関する熱のこもった紹介を通して、堺の刃物の歴史や高い品質に対する理解を深めました。
12 刃物鍛冶工房見学(榎並刃物製作所、株式会社田中打刃物製作所)
2グループに分かれて訪問した「榎並刃物製作所」と「株式会社田中打刃物製作所」では、刃物の「鍛冶」の工程を視察し、作業工程に関する説明を受けました。伝統工芸士である鍛冶職人の技術を目の当たりにした駐日外交団からは、刃物の原材料や技術の継承に関する質問が多く出ました。
13 刃物研ぎ工房見学(株式会社山脇刃物製作所、株式会社福井)
刃物鍛冶工房の視察後は「株式会社山脇刃物製作所」と「株式会社福井」を訪問し、職人から説明を受けながら、刃物の「研ぎ」の工程を視察しました。駐日外交団は、鋭い切れ味に仕上げるために刃物を薄く研ぎ上げる職人の技術に見入っていました。
14 さかい利晶の杜
2日間のツアーを締めくくる視察先は、さかい利晶の杜でした。国際貿易都市として栄えた約500年前の堺の様子や茶の湯の変遷に関する説明を受けた後、茶の湯とともに発展した和菓子の手作り体験を楽しみました。駐日外交団がそれぞれ作った和菓子は、茶の湯の先生のお点前によるお茶と一緒に味わい、茶の湯の文化に対する理解を深めました。堺市の視察を終えた駐日外交団からは、「伝統や技術に深く触れることができたこのツアーは大変印象深い経験になった」との感想が聞かれました。
プログラム・訪問先
- 1月30日(1日目)奈良県
- 大神神社
- 千寿亭
- なら食と農の魅力創造国際大学校(NAFIC)
- 喜多酒造
- 道の駅なら歴史芸術文化村
- 奈良ホテル
- 1月31日(2日目)大阪府堺市
- 百舌鳥古墳群ビジターセンター
- 仁徳天皇陵拝所
- シマノ自転車博物館
- 梅の花 さかい利晶の杜店
- 堺伝匠館
- 榎並刃物製作所
- 株式会社田中打刃物製作所
- 株式会社山脇刃物製作所
- 株式会社福井
- さかい利晶の杜