グローカル外交ネット

令和5年12月22日

静岡県東京事務所

 令和5年11月28日及び29日、外務省と静岡県は、駐日外交団を対象とした静岡県内の視察ツアーを実施し、11か国から14名の各国大使他が参加しました。「静岡県の多様な文化に触れる旅(“Exploring the cultural wonders and attractions of Shizuoka Prefecture”)」をテーマとして、2023年の東アジア文化都市に選定された同県の歴史、文化芸術、食、自然や日本有数のものづくり産業など多様な魅力を駐日外交団に紹介しました。

1 株式会社タミヤ

 タミヤは静岡市に本社を置く世界有数のプラモデルメーカーです。駐日外交団は一般には公開されていない企画開発部や金型部でタミヤ製品が生まれるプロセスを視察し、その後、ミニ四駆レースやラジコンの操縦、プラモデルと同じ材料でできたプラバンや軽量粘土を使った工作などの体験を楽しみました。

2 外務省主催昼食会(於:茄子の花 無庵)

 静岡県認定「ふじのくに食の都づくり仕事人」のシェフが腕を振るうレストランで外務省主催昼食会が行われました。冒頭、菱山聡地方連携推進室長が挨拶を行い、駐日外交団による地方視察ツアーの意義等について説明した上で、参加した駐日外交団に対し、本ツアーを通じて、静岡県の多様な魅力を体感し、積極的に情報発信していただきたい、そして参加国と静岡県との交流が深まることを期待する旨述べました。駐日外交団は、新鮮な地場野菜や駿河湾の厳選した地魚等の静岡県産食材を使った料理を堪能しました。

3 静岡県舞台芸術センター(SPAC)

 SPACは、静岡県の文化政策の一環として発足し、専用の劇場や稽古場を拠点として、俳優、舞台技術・制作スタッフが活動を行う日本で初めての公立文化事業団です。フランス芸術文化勲章を受賞した宮城芸術総監督から、SPACの国内外の活動について説明を受けた後、劇場内で舞台稽古を見学しました。その後、駐日外交団は舞台の上で、劇団員の協力も得つつ、現在公演中の演目の役を英語で実際に演じてみる体験を行い、総監督、劇団員、SPAC職員と演劇体験やSPACの活動等について意見交換を行いました。

4  日本平夢テラス

 日本平は、日本観光地百選で1位に選ばれたこともある名勝です。日本平夢テラスの展望フロアから、富士山、駿河湾、三保の松原など、360度の静岡の絶景を楽しみました。

5 久能山東照宮、日本平ロープウェイ

 日本平ロープウェイに乗って眺望を楽しみながら、江戸幕府・初代将軍「徳川家康」を祀る久能山東照宮を訪問し、国宝に指定された鮮やかな社殿や家康公の神廟の他、博物館に展示されている徳川歴代将軍の甲冑や家康公がスペイン国王フェリペ3世から贈られた日本最古の洋時計を視察しました。静岡の伝統文化やプラモデルを含むものづくり文化は、久能山東照宮の造営などに当たり、全国各地から卓越した職人が集められたことによる影響が大きいとの神主の説明に、駐日外交団は大変興味深く耳を傾けていました。

6 静岡県知事主催歓迎夕食会(於:ホテルグランヒルズ静岡)

静岡県知事主催歓迎夕食会の様子

 富士山がよく見えるホテルグランヒルズ静岡を会場に、静岡県知事主催歓迎夕食会を開催しました。川勝平太知事の挨拶では、静岡県は本年「東アジア文化都市」に選定され、本ツアーは日本の文化首都として本県の多様な文化的魅力を発信することをテーマに実施していることを説明し、本ツアーを契機に静岡県と参加各国との交流が更に深まることを期待する旨述べました。その後、静岡県が開発した酒米「誉富士」を使用した地酒で乾杯し、駐日外交団は静岡県の農林水産物を使った料理を堪能しました。

7 ふじのくに茶の都ミュージアム

茶の都ミュージアムでの茶席体験の様子

 日本屈指の緑茶生産地である静岡県が運営する「ふじのくに茶の都ミュージアム」では、静岡茶を使ったウェルカムティーで駐日外交団を歓迎しました。静岡県のお茶の歴史や世界のお茶文化等の説明を受けた後、日本庭園にある本格的な茶室で、裏千家の先生のお点前を見学し、静岡抹茶(薄茶)と和菓子による茶席も体験しました。駐日外交団からは、静岡の抹茶の美味しさを知ることができ、素晴らしい体験ができたとの感想が多く聞かれました。

8  可睡齋(静岡県主催昼食会)

可睡齋での座禅体験の様子

 徳川家康と縁が深い禅寺「可睡齋」では、お寺の名前の由来や歴史的建造物等の説明・案内を受け、視察の過程で本堂において座禅も体験しました。その後、寺院内で、静岡県主催昼食会を開催し、地元で採れた旬の食材をふんだんに取り入れた精進料理をいただきました。座禅や精進料理といった禅寺での非日常体験は、駐日外交団にとって大変印象深いものとなったようです。

9 河合楽器製作所 竜洋工場

 全国一のピアノ出荷量を誇る静岡県にある世界的ピアノメーカー「河合楽器製作所竜洋工場」を訪問しました。普段見ることのできないグランドピアノの製造工程を視察し、河合楽器製作所からピアノ製作にかける熱い想いや品質へのこだわりについて説明を受けました。その後行われたピアノの解体実演では、ピアノの各部品を実際に見て触れて、音の出る仕組みについて理解を深めました。

10 二橋染工場

 静岡県伝統工芸の一つである「浜松注染そめ」の工場を訪問しました。浜松注染そめの歴史や染色技法、行程等の説明を受けた後、職人指導の下、浜松注染そめを実際に体験し、駐日外交団全員で、富士山やうなぎなど静岡にちなんだ絵柄がちりばめられたオリジナル手ぬぐいを作成しました。「地域に根付いた伝統工芸を応援したい」と、職人が手染めした作品を購入している姿が印象的でした。

11 終わりに

 「静岡の多様な文化的魅力に触れる旅」をテーマに実施したツアーでしたが、ものづくり、文化芸術、食、伝統工芸、自然などに関連する施設で、実際に見て、聞いて、触れて、食べて、体験したことで、本県の文化的魅力を感じていただけたのではないかと思います。今回のツアーを契機に、静岡県と参加各国との交流が継続・深化していくことを期待します。

プログラム・訪問先

11月28日(1日目)
株式会社タミヤ
茄子の花 無庵(外務省主催昼食会)
静岡県舞台芸術センター(SPAC)
日本平夢テラス
久能山東照宮、日本平ロープウェイ
ホテルグランヒルズ静岡(静岡県知事主催歓迎夕食会)
11月29日(2日目)
ふじのくに茶の都ミュージアム
可睡齋(静岡県主催昼食会)
河合楽器製作所 竜洋工場
二橋染工場
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