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令和2年12月11日

 令和2年11月18日から19日まで、外務省と奈良県田原本町の共催で、駐日外交団を対象とした地方視察ツアーを実施し、駐日外交団7か国より9名の大使等が参加しました。
 同ツアーにおいて、外交団は唐古・鍵遺跡関連施設を訪問するとともに、同町の産業や取組について紹介を受け、その歴史・文化及び産業についての理解を深めました。また、明日香村や奈良市もあわせて訪問し、同地方が有する歴史・文化についての重層的理解を図りました。

1 唐古・鍵考古学ミュージアム

 森章浩・田原本町長への表敬・懇談に続き、外交団一行は、唐古・鍵考古学ミュージアムを訪問。同ミュージアムでは、日本を代表する弥生時代の環濠集落遺跡である唐古・鍵遺跡から出土した豊富な実物資料をもとに、当時の生活文化を知ることができます。外交団は、最盛期の唐古・鍵ムラの模型を見ながら、専門家の説明を受けるとともに、遺跡から出土した翡翠勾玉などの優品を鑑賞しました。

2 唐古・鍵遺跡史跡公園

(写真1)地方視察ツアーに参加した大使たちの集合写真 唐古・鍵遺跡史跡公園内の復元楼閣

 唐古・鍵遺跡史跡公園は、唐古・鍵遺跡を公園として整備したもので、弥生時代の風景とかつての生活が追体験できる場となっています。弥生時代の大型建物跡の柱穴を型取りした模型や弥生時代最大級の大柱の展示では、そのスケールが感じとれます。また、当時ムラを洪水や敵から守るために造られた環濠の一部や出土された土器破片に描かれた楼閣も復元されており、実物大で体感することができます。
 このほか、AR(Augmented Reality、拡張現実)技術により、専用端末やアプリで建物の復元CGを見ることができます。外交団も古代鑑のカバーをつけた端末を使って体験をしました。

3 田原本町内事業者によるプレゼンテーション

(写真2)道の駅「レスティ唐古・鍵」 町内産業事業者によるプレゼンテーション

 唐古・鍵遺跡史跡公園に隣接して建てられた道の駅「レスティ唐古・鍵」では、田原本町で活躍する産業事業者の方から、それぞれの事業についての思いや取組の紹介がありました。
 御菓子処「はつの家」さんは、季節感を感じる生菓子を見事な手さばきで作り上げました。また、「磨きやすい歯ブラシシリーズ」の製造元の(株)タナベさんは、歯ブラシ製造にかかる最新の取組などを紹介。それに引き続き外交団もワンタフト歯ブラシの植毛体験に挑戦しました。また、織田畳店さんは、畳製作技術を生かして作り上げた小物を紹介しました。日本に根付くものづくりに外交団も興味津々です。

4 村屋神社

 田原本町には、歴史ある多くの社寺がありますが、今回はその一つ村屋神社を訪問しました。村屋神社は、大物主と三穂津姫の夫婦神を祭る、縁結びの神社として有名です。イチイガシが生い茂る境内は、神秘的な雰囲気が立ちこめています。

5 甘樫丘

 外交団が訪れた11月半ばは、丘の木々が色づきはじめ、里山の自然が一段と美しくなる頃です。甘樫丘の緩やかな坂道を登り切り、展望台に出ると視界は東西に開け、大和三山をはじめとする周辺の山々とともに、瓦屋根の立ち並ぶ明日香村の集落も一望できます。森川明日香村村長による歴史的背景の説明や村の取組に、外交団も熱心に聞き入りました。

6 石舞台古墳

 石舞台古墳は、蘇我馬子が埋葬されているとも言われている日本最大級の石室古墳です。古墳上部の盛土が失われ、積み上げられた石室が露出した状態ですが、その天井石が平らなことから石舞台と呼ばれています。現在に残る古墳の規模からは、往時の権勢が伺いしれます。

7 奈良のいちごやさん視察

(写真3)いちごの温室内栽培の様子 奈良県産ブランドいちご「古都華」農家視察

 田原本町には、豊かな土地があり、古代から行われていた米作りをはじめ、農業がさかんです。今回の視察では、奈良県産ブランドのいちご「古都華」を栽培する青木さんの農園を訪問しました。今年は暖冬ということもあり、収穫の時期には一足早かったのですが、その説明からは手間ひまをを惜しまず、土耕栽培でいちごを育てる熱い思いが伝わってきました。

8 柿の葉寿司づくり

 柿の葉寿司は、奈良県の名物で、酢飯に魚の切り身を合わせ、柿の葉で包んだ押し寿司です。ゐざさ寿司さんの指導のもと、外交団も柿の葉寿司作りに挑戦。しゃりの形を整えたり、柿の葉に包んだりと慣れない作業に苦心しながらも、その体験は格別でした。

9 ならまち、奈良公園視察

 今回の視察ツアーの最後は、奈良市への訪問です。「古都奈良の文化財」としてユネスコ世界遺産に登録されており、南都七大寺に数えられる元興寺と興福寺を訪問しました。
 元興寺は、日本最古の本格的仏教寺院である法興寺(飛鳥寺)が、平城京への遷都にともなって、移転されました。一部の建築には、創建当時の瓦が現在でもなお使われています。興福寺では、五重塔や中金堂の壮大さに目を奪われつつ、境内を散歩する鹿に癒やされました。

プログラム・訪問先

11月18日(水)

  • 唐古・鍵考古学ミュージアム
  • 唐古・鍵遺跡史跡公園
  • 田原本町内事業者によるプレゼンテーション
  • 村屋神社

11月19日(木)

  • 甘樫の丘
  • 石舞台古墳
  • 奈良のいちごやさん(いちご農家)視察
  • 柿の葉寿司体験
  • ならまち・奈良公園
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