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第48回駐日外交団による地方視察ツアー(新潟県・佐渡市)
新潟県観光文化スポーツ部文化課
令和5年10月12日及び13日、外務省と新潟県・佐渡市は、駐日外交団を対象とした佐渡市への視察ツアーを実施し、10か国から13名の各国大使他が参加しました。「黄金色に輝く歴史・文化の島『佐渡島』へ(Visit Sado Island, an island of golden history and culture)」をテーマとして、世界遺産登録を目指す「佐渡島(さど)の金山」の文化的価値や歴史を体験できる施設を視察するとともに、日本政府では「伝統的酒造り」の無形文化遺産登録も目指していることを踏まえ、佐渡島の酒造りのほか、食、伝統芸能、自然などの多様な魅力を駐日外交団に紹介しました。
1 新潟港からジェットフォイルで佐渡へ
駐日外交団は上越新幹線でJR新潟駅に到着するとその足で、佐渡汽船新潟港ターミナルから、ジェット高速船に乗って新潟沖に浮かぶ佐渡島へ向かい、到着した両津港では佐渡市の皆さんからの温かい歓迎がありました。
2 外務省主催昼食会(於:LOCAVOR-STYLE 味彩)
本件昼食会の冒頭挨拶で、伊藤直樹政府代表・広報外交担当大使から、今回のツアーにおいて、日本が世界遺産登録を目指す「佐渡島の金山」の歴史や文化遺産としての顕著な価値を体感できる施設を駐日外交団に視察いただくことで、「佐渡島の金山」をはじめ佐渡の多様な魅力を体験し理解を深めていただき、その魅力を本国や外交団の間でも伝えていただきたい旨述べました。駐日外交団は、佐渡産の食材を使用した釜飯(朱鷺との共生をはじめとする生物多様性を目指した「朱鷺と暮らす郷認証米コシヒカリ」を使用)、お刺身、天ぷら、いごねり等を堪能し、外務省及び新潟県・佐渡市関係者と意見交換を行いました。
3 佐渡西三川ゴールドパーク
「西三川砂金山は、古い記録によれば11世紀にも佐渡で砂金採取が行われていたと考えられている場所です。」との説明を受け、駐日外交団は驚いた様子でした。実際に砂の中から砂金を見つける採取体験では、悪戦苦闘しつつも砂金を採れたようです。駐日外交団にとって、当時の砂金採取の苦労と喜びの双方を体感する機会となりました。
4 学校蔵(尾畑酒造株式会社)
廃校を酒蔵・カフェとして再生した「学校蔵」では、資源、エネルギー、そして人を循環させる持続可能な酒造りに取組んでいます。伝統的な酒造りの工程と合わせて、旧小学校という場所の特徴も利用した各種の取組について同社の役員から説明を受けました。カフェでは、佐渡金山の坑道で熟成した希少な銘柄を含む尾畑酒造の3種類のお酒を試飲する機会にも恵まれました。
5 新潟県知事・佐渡市長歓迎夕食会(於:Ryokan 浦島)

本件夕食会の冒頭、花角英世知事は、「佐渡島の金山」のユニークな価値について紹介したほか、駐日外交団を歓迎するとともに、有意義なツアーになることを期待する旨の挨拶を行いました。続いて、ドラジェン・フラスティッチ駐日クロアチア共和国特命全権大使から駐日外交団を代表して挨拶がありました。その後、渡辺佐渡市長による乾杯の発声で夕食会がスタートし、駐日外交団は、魚介、肉、果物、乳製品等、佐渡産食材をふんだんに使用した料理を堪能しつつ、花角知事、渡辺市長をはじめ新潟県・佐渡市関係者等と意見交換を行いました。
また、会場では地元の方が、佐渡の伝統的な芸能である「佐渡おけさ」及び「鬼太鼓」を披露しました。駐日外交団も日本側参加者も一緒になって佐渡おけさを踊ったり、鬼と一緒に太鼓を叩いたりして交流を深めました。
6 佐渡金銀山ガイダンス施設 きらりうむ佐渡
駐日外交団は、「佐渡島の金山」の現地見学の拠点となる“きらりうむ佐渡”において、施設の説明を受けるとともに、金の生産工程に関する映像解説を視聴し、「佐渡島の金山」に関する理解を深めました。
7 史跡佐渡金山(宗太夫坑コース)

江戸時代の坑道での採掘の様子を再現した宗太夫抗(そうだゆうこう)を佐渡市職員の解説とともに視察しました。坑道を抜け、江戸時代の手掘りによる大規模な露頭掘り跡で山が二つに割れた「道遊の割戸(どうゆうのわりと)」が良く見えるビュースポットに到着すると駐日外交団からは感嘆の声が聞かれました。
8 史跡佐渡奉行所跡

佐渡奉行一行に扮した地元有志による団体「佐渡を世界遺産にする会」の皆様からの出迎えやこれまでの世界遺産登録を目指す取組の説明を受けて始まった、史跡佐渡奉行所跡の視察では、佐渡奉行所に隣接する寄勝場(よせせりば)で、駐日外交団は、金鉱石の選鉱~精錬に至るまでの工程の説明を受けた後、その工程の一部(石臼挽き)を体験しました。
9 新潟県副知事主催昼食会(於:史跡佐渡奉行所跡)
佐渡奉行所の建物内「地方役所(じかたやくしょ)」で昼食会を開催しました。メニューは近くにある京町亭が準備した特別な「ジオパーク弁当(「佐渡島の金山」を含む佐渡ジオパークを盛り上げていこうと創作されたお弁当)」で、駐日外交団は佐渡の食材を使った弁当を堪能しながら、新潟県・佐渡市関係者等と意見交換を行いました。
10 大膳神社能舞台
国内に100か所近くある能舞台のうち、佐渡にはその3割にもあたる30か所あまりの能舞台があります。その佐渡で最古の能舞台と伝わるのが、真野地区にある大膳神社の能舞台です。佐渡の能はプロではなく、地元の農業従事者など市井の人々が舞い、謡い、観る“民衆能“であることが大きな特徴で、今回の視察では、地元の団体「真野能楽会」が”高砂“を演じ、その魅力を駐日外交団にPRしました。 佐渡の能が民衆に広まるに至ったのも、金山の繁栄によるものと言われており、駐日外交団は、佐渡の多様な文化と金山の関係性につながりがあること、現在も地元の人たちによって演じられていることに感心した様子でした。
11 トキの森公園
国際保護鳥であるトキを自然環境に近い状態の広大なケージの中で飼育・繁殖している施設を視察しました。ガラス越しに朱鷺の姿を間近に観察し、施設を後にしたバスの車中からも野生のトキを観察することができました。
12 おわりに
「佐渡島の金山」を中心に、佐渡島の魅力を体感いただくことをコンセプトにしたツアーでしたが、長い移動時間にもかかわらず、駐日外交団の皆様には精力的に現地を視察していただき、佐渡の多様な魅力を体感し理解を深めていただけたものではないかと考えております。
今回は佐渡にお越しいただきましたが、今後とも広く新潟県内各地と各国との友好関係が継続・深化していくことを期待しています。
プログラム・訪問先
- 10月12日(1日目)
- LOCAVOR-STYLE 味彩
- 佐渡西三川ゴールドパーク
- 学校蔵(尾畑酒造株式会社)
- Ryokan 浦島
- 10月13日(2日目)
- 佐渡金銀山ガイダンス施設きらりうむ佐渡
- 史跡佐渡金山
- 史跡佐渡奉行所跡
- 大膳神社能舞台
- トキの森公園