グローカル外交ネット
第46回駐日外交団による地方視察ツアー(福岡県北九州市)
北九州市企画調整局
国際部国際政策課
令和5年7月18日及び19日、外務省と福岡県北九州市は、駐日外交団を対象とした「福岡県北九州市視察ツアー」を実施し、8か国から10名の各国大使他が参加しました。「北九州市で感じるグリーンな未来と豊かな日本文化(Feel the Green Future and Rich Past of Kitakyushu)」をテーマとして、ものづくりの街北九州市を代表する企業や環境関連の先進企業への訪問、北九州市の特徴的な食文化等について理解を深めるため、関連施設を視察しました。
1 TOTOミュージアム
TOTOは国内外で水まわりの住宅設備機器を製造・販売している企業です。TOTOミュージアムでは、これまで受け継いできた創業の精神やものづくりへの想いとともに、新しい生活文化を創造してきたその歴史と進化が紹介されました。特に、トイレバイク(バイオガスを燃料とするバイク)には多くの関心が寄せられ、駐日外交団は興味深く見学していました。
2 外務省主催昼食会(ステーションホテル小倉(八(はち)くら))
ステーションホテル小倉内のレストラン「八くら」で行われた外務省主催昼食会において、菱山聡地方連携推進室長が挨拶を行い、駐日外交団による地方視察ツアーの意義等について説明した上で、本ツアーにより、駐日外交団による北九州市の多様な魅力への理解が深まるとともに、参加各国と北九州市の交流が拡大することを期待する旨述べました。駐日外交団は、全国でも知られるたけのこの名産地である「合(お)馬(うま)」のたけのこや、北九州名物の「じんだ煮」等、地元特有の食材を使用した郷土料理を堪能しました。特に、家庭的な料理である「がめ煮(鶏肉、じゃがいも、人参、たけのこ等を使用した煮物)」が好評でした。
3 北九州市エコタウンセンター
北九州市エコタウンセンターは、全国のエコタウンの中で最も早くスタートし、最も充実している「北九州エコタウン」の玄関口と言える中核施設です。
現地視察に先立ち、環境学習にも利用されているエコタウンセンターにおいて、環境関連の先進的な取り組みをしている3社(EVモーターズ・ジャパン、日本磁力選鉱、リサイクルテック)による事業内容についてのプレゼンテーションが行われました。
4 EVバス乗車
EVモーターズ・ジャパンは、30年以上にわたり、リチウムイオン電池の充放電応用システム開発のトップランナーとして、世界のリチウムイオン電池の安全性を日本の技術で支えてきた企業です。EVモーターズ・ジャパンが開発したEVバスは、1回の充電で280キロメートル走行可能な大容量バッテリーシステムを搭載しており、通常のコンバージョンタイプのコミュニティバスの3倍の距離の走行が可能です。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)でも運行予定です。
駐日外交団は、EVバスでエコタウン内を移動し、静かで快適な乗り心地を体験しました。
5 日本磁力選鉱
日本国内で1年間に発生する製鋼スラグの約30%(製鋼スラグ処理量日本一)を高い技術力でリサイクルし、有効活用しています。鉄鋼リサイクル事業を軸に、携帯電話などの小型家電からのレアメタルの回収や、家電リサイクル事業、充電池バッテリーの資源化にも取り組んでいます。リサイクル事業に対する駐日外交団の関心は高く、多くの質問が寄せられました。
6 リサイクルテック
太陽光発電に使用されている太陽光パネルは、製品寿命が20年から30年と言われており、今後、大量に廃棄されることが予想されています。2023年5月に営業運転を開始した当工場は、日本初となる熱分解処理方式の高度リサイクル工場で、廃太陽光パネルの資源回収率99%を実現し、年間処理能力は9万枚を見込んでいます。太陽光発電の市場が世界的に拡大する現状において、太陽光パネルのリサイクルは世界的な関心事のようで、駐日外交団と工場の担当者の間で活発な意見交換が行われました。
7 門司港地ビール
門司港レトロビール「ヴァイツェン」は、全国地ビール品質審査会において、2019年、2021年と、審査会史上初となる2連続「最優秀賞」を受賞したビールです。加熱殺菌やろ過をおこなわず、少量生産でいつも新鮮な門司港レトロビールの工房視察及び試飲を行いました。世界屈指のビール大国と言われる国からの参加者を含む駐日外交団は、ビールのフルーティーな香りを楽しみました。
8 北九州市長主催歓迎夕食会(三宜楼)
かつて門司港を代表する高級料亭だった三宜楼において、北九州市長主催歓迎夕食会を開催しました。武内和久市長が挨拶を行い、本ツアーが参加各国との新たな交流や、先進的な取り組みのきっかけとなることを期待する旨述べました。夕食会の始めには、2019年に国の重要無形民俗文化財に指定された「小倉祇園太鼓」の演奏が披露されました。駐日外交団は法被を着て、実際に祇園太鼓の演奏を体験しました。演奏後は、関門エリアの特徴的な食材であるふぐを中心とした食事を堪能しました。
9 門司港レトロ展望室
日本夜景遺産の一つ、門司港展望室からの夜景を見学しました。高さ103メートル、ガラス張りの展望室は、門司港レトロはもちろん、関門橋や対岸の下関市の夜景をも見渡せる絶景ポイントです。駐日外交団は、ライトアップされたロマンチックな景色に魅了された様子でした。
10 関門海峡での海釣り体験
門司区の漁港から地元の釣り倶楽部が運営する漁船に乗り、関門海峡付近で釣り体験を行いました。参加した駐日外交団の多くは釣りが初めてのようでしたが、関門海峡の雄大な景色を見ながら釣りを楽しみました。1人で5~6匹を釣り上げた参加者もおり、多くの釣果がありました。地元メディアもその様子を報じるなど、本ツアーのハイライトの1つになりました。
11 北九州市主催昼食会(ぶぜん)
「自分で釣った魚を自分で食す」をコンセプトに、漁港付近にある海峡レストラン「ぶぜん」で北九州市主催昼食会を行いました。「ぶぜん」では、実際に釣った魚がお造りや姿揚げとして提供されました。自分たちが朝釣った魚が昼食として提供されたことは、駐日外交団にとって思い出深い体験となったようです。
12 門司港エリア視察(JR 門司港駅、旧門司三井倶楽部)
門司港は、1889年に開港した、九州最北端に位置する国際貿易港です。交通の要衝として栄え、周辺には海運会社や商社などの西洋建築物が次々と建てられました。当時の佇まいを修復、復元したのが「門司港レトロ地区」です。シンボル的存在の「門司港駅」をはじめ、アインシュタインが宿泊した迎賓館「旧門司三井倶楽部」など、明治から昭和初期の姿が残る建物を視察しました。
13 小倉城
小倉城は、福岡県で唯一の天守閣を持つお城で、桜の名所としても有名です。駐日外交団は小倉城武将隊の出迎えをはじめ、武将隊による小倉城物語の寸劇、小倉の歴史や天守閣からの景色を満喫した様子でした。
14 小倉城庭園
小倉城庭園は、江戸時代の武家の書院を再現し、茶室や展示棟を備えた文化施設です。小倉城庭園では、武士の袴や帯として用いられた「小倉織」のストラップ制作体験や呈茶体験を行いました。実際に体験することで、日本の伝統文化への理解を深める機会となりました。
プログラム・訪問先
- 7月18日(1日目)
- TOTO ミュージアム
- 八くら
- 北九州エコタウンセンター
- 日本磁力選鉱株式会社
- 株式会社リサイクルテック
- 門司港地ビール工房
- 三宜楼
- 門司港レトロ展望室
- 7月19日(2日目)
- 関門海峡(釣り体験)
- 門司港レトロ地区(JR 門司港駅、旧門司三井倶楽部)
- ぶぜん
- 小倉城
- 小倉城庭園(小倉織ストラップ制作・呈茶体験)