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令和元年度駐日各国大使の地方視察(福島県)
令和元年11月27日及び28日,外務省は福島県との共催で駐日各国大使の福島県視察を実施しました。地方自治体と連携し,儀典長が同行する視察は,1988年以降ほぼ毎年度行われ,その土地の魅力や挑戦を大使たちに学んでもらう機会となっています。今回は10か国13名の大使夫妻等が参加し(ベルギー,フランス,ジョージア,モロッコ,ミャンマー,ナミビア,ノルウェー,パキスタン,パナマ,シンガポール),福島県の魅力,とくに食の安全性や東日本大震災・台風19号からの復興の現状,歴史や教育・文化に焦点をあてたプログラムを巡りました。大使たちの関心度はとても高く,短いながらもきわめて充実した視察となりました。福島の多様な魅力に触れた大使たちは,福島の安全性・美味しさ・伝統文化と豊かな歴史を同僚や友人に早速紹介する,と笑顔いっぱいに話してくださいました。
訪問先
27日(水曜日):福島県農業総合センター,山口果樹園,県知事主催歓迎夕食会
28日(木曜日):会津大学,末廣酒蔵,鶴ヶ城,御薬園,日新館
1 福島県農業総合センター(郡山市)
農業総合センターは,福島県の安全・安心な農業推進,東日本大震災と原発事故による放射性物質の農林水産物への影響のモニタリング,消費者への正しい情報提供や教育機能も兼ね備えた農業振興の拠点です。大使たちは,厳格な検査や技術,風評払拭に取り組む様々な工夫を目の当たりにして,県産品の安全性や確認の仕組みについて正しい理解を深めました。
2 山口果樹園(会津若松市)
果実の周りの葉を残したまま栽培する「葉とらずリンゴ」で有名な果樹園を訪れ,大使たちは真っ赤に色づく食べ頃のリンゴ狩りを体験しました。もぎたてを試食し,福島産リンゴのみずみずしさ,甘さ,香りを味わいました。自国にこの美味しさを知らせたいという大使も多くいました。帰路は選果場に寄り,リンゴを一つずつ丁寧に磨いていく手作業を興味深く見学しました。
3 知事主催歓迎夕食会(会津若松市)
福島県知事主催歓迎夕食会では,内堀雅雄知事による福島の希望と挑戦に関するプレゼンテーションが行われ,大使たちはじっくりと耳を傾けていました。また,地元ならではの新鮮な旬のブランド食材を用いた和食を味わい,知事はじめ県関係者との交流も深めることができました。
4 会津大学視察・意見交換(会津若松市)
公立会津大学では,大使たちはITに特化したユニークな大学施設を視察したのち研究成果や起業支援,留学生受入れなどの説明を受けました。続いて同大学の在学生及び卒業生のIT起業家も含め,大学の役割と地元福島・会津との関わりについてディスカッションを行いました。会津大学の挑戦は,いずれの国でも関心事であり,大使たちからも質問が相次ぎ大変活発な意見交換会となりました。
5 末廣酒蔵 日本酒仕込み体験(会津若松市)
酒蔵の多い会津を代表する1850年創業の末廣酒蔵で,この時期限定の日本酒仕込みを体験しました。大使たちは力をあわせ蒸し米を運び,手で広げる作業を通じ,福島に受け継がれる豊かな食文化・職人の技に感銘を受けていました。
6 鶴ヶ城 散策(会津若松市)
会津のシンボルとされ,美しい姿を誇る晩秋の鶴ヶ城の周囲を散策しました。
7 御薬園 皇室ゆかりの庭園散策(会津若松市)
会津藩主松平家出身で皇室に嫁いだ秩父宮勢津子妃殿下ゆかりの重陽閣がある御薬園を訪れ,皇室関連の貴重な写真を見学後,抹茶を頂きました。
8 日新館 江戸時代の学び舎視察と弓道体験(会津若松市)
會津藩校として古くから人材育成に力をいれた同校の歴史を聞き,当時の鍛錬科目であった弓道を体験しました。礼に始まり礼に終わる作法,心身を鎮め弓を構え矢を放つ大使たちの表情は真剣そのものでした。
なお,本視察は,地元メディアにも複数報道されました。