中東

平成27年1月28日
 1月22日(木曜日),日GCC(湾岸協力理事会)戦略対話に基づく高級実務者・専門家会合が都内の三田共用会議所において開催され,日本側からは三澤康中東アフリカ局参事官が,GCC側からはユースフ・アル・ジャーベル・カタール外務省GCC局長(H.E. Amb. Yousuf Issa M. Al-Jaber, Director of GCC Affairs Department at Ministry of Foreign Affairs of Qatar)及びアブドルアジーズ・アル・ウェイシグGCC外交担当事務局長補が代表を務め,双方の政府機関・関連団体から関係者が参加しました。協議の概要は以下のとおりです。

1  双方は,2010年に立ち上げた日GCC戦略対話の枠組の下で,日GCC間での実務的な協力を更に促進するための方策について意見を交換した。双方はまた,特に2013年から2014年にかけての安倍総理による全GCC諸国歴訪を受け,様々な分野・レベルにおける日GCC間の対話と協力に顕著な進展が見られることを歓迎した。

2  三澤参事官及びアル・ジャーベル局長をヘッドとする双方高級実務者による政治対話において,双方は湾岸・中東地域情勢について意見を交換した。日本側は,1月16日から20日にかけての安倍総理によるエジプト,ヨルダン,イスラエル,パレスチナ歴訪の狙いと成果を含む,中東の平和と安定に向けた日本の貢献について説明した。ISILによって発出されたとみられる動画における邦人殺害予告に関し,GCC側は,日本の立場への共感と支持を表明した。

3  また1月22日午後,貿易・投資,保健及び農業に関する3つの専門家会合が開催され,以下の諸分野における実務者レベルでの協力及び情報交換の促進につき議論が行われた。日本側からは,外務省,厚生労働省,農林水産省,経済産業省,そのほか関係機関から関係者が参加し,GCC側からは,GCC事務局及びGCCメンバー諸国の関係政府機関及び民間団体から関係者が参加した。
(1)貿易・投資
 双方は,知的財産権の保護を含む貿易と投資分野での協力促進方法について協議し,また,双方の民間セクター間での協力促進や産業開発に関する情報交換の可能性についても議論した。
(2)保健
 日本側はGCCにおけるメディカル・エクセレンス・ジャパン(MEJ)の活動及びサウジアラビアにおいて医療法人財団松圓会を主体とする事業体が進める日本型透析医療について説明した。双方は日GCC間での保健分野での協力とビジネスに関する情報・意見交換を継続していくことで一致した。
(3)農業
 農林水産省関係者から,日本産食品の安全性に関する最新の情報について説明を行い,2011年3月の東日本大震災後の日本産食品の輸入に対する規制の更なる緩和と撤廃をGCC側に要請した。双方はまた,双方の当局間での情報交換を促進し連携を強化していくことで一致した。

【参考】日GCC戦略対話
 2010年,当時GCC議長国であったクウェート副首相兼外相の提案を踏まえ,閣僚級戦略対話を開始(これまで,2010年,2011年及び2013年の計3回,国連総会のマージンで実施。日本側からは外務大臣出席)。2012年1月には,(1)政治的な問題及び地域・国際的な事項,(2)貿易,投資,エネルギー,FTA等の経済分野,(3)文化,教育,科学研究,環境及び保健等についての日GCC間での協力実施に関する覚書が署名。現在,各分野での実務的な協力を進めているところ。


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