中東

平成26年9月25日
(写真提供:内閣広報室)
 9月25日(木)9時10分(現地時間)から約20分間,ニューヨークで開催中の国連総会の機会に,安倍総理とマアスーム・イラク大統領との会談が行われたところ,概要以下のとおりです(先方からは,ジャアファリー外相他同席,日本側からは,世耕内閣官房副長官他が同席)。

冒頭発言

(1)安倍総理から,マアスーム大統領の就任及び包括的な新政府の発足に祝意を伝達し,日イラク関係の一層の発展や中東地域の安定化に向けて,緊密に協力していきたい旨述べました。

(2)これに対し,マアスーム大統領から,日本とイラクの関係を一層発展させたい,また,サダム・フセイン政権が崩壊した際にも真っ先に戻ってきてイラクの日本大使館を再開するなど,日本との関係は良好であり,日本のこれまでのイラクへの支援に感謝する旨述べました。また,マアスーム大統領から特に,日本との経済関係は「クリーンな関係」であり,こういった関係をすべての分野で発展させたいという意向が示されました。

イラク情勢(ISIL)

(1)マアスーム大統領から,ISILとの闘いなど,イラクは様々な問題に直面しており,特に,ISILにより国内避難民が発生し,多くの人々が地域や住居を追われている,これは政治的な問題だけでなく軍事,経済,財政面等さまざまな観点を含んだ問題である,友好国やその先頭に立っている日本から手をさしのべてほしい旨発言がありました。

(2)これに対し,安倍総理から,マアスーム大統領の下,イラク政府が安定し,宗派や民族を越え,国民の融和を図っていくことがISILに対抗する上でも不可欠であり,大統領のこの取組を支持する旨述べました。また,日本は,イラク政府も含む国際社会のISILに対する闘いを支持しており,ISILが弱体化され壊滅されることにつながることを期待する旨述べました。更に,今般,イラク国内避難民への人道支援として,国際機関を通じて,新たに約2,000万ドルの支援を行うことを決定し,他の周辺国支援と合わせ,総額約2,550万ドルのISIL対策支援を決定した旨伝達し,イラクの安定と国家的統一に向け,支援を継続していく旨述べました。

二国間関係

(1)マアスーム大統領から,日本企業の技術に対しての期待感が示され,新政権が発足して,包括的な,すべての政治勢力・宗派を含む政権・政府となっていること,そしてその新政府が日本企業とともに協働していきたいという意欲を持っている旨表明されました。

(2)安倍総理から,中長期的なイラクの発展と安定のため,マアスーム大統領が,再び国家をまとめ上げようと取り組まれることを支援していく,要請があれば,日本としてやれることをしっかりとやっていきたい旨述べました。また,そのためにも,エネルギー・電力分野を始めとする各種プロジェクトへの日本企業の参画につき,今後も支援をお願いしたい旨伝達しました。さらに,特に日本企業のイラクへの取り組みが「クリーン」との評価を頂いたが,それが日本の特性でもある旨述べました。また,日本企業の更なる進出のためには,イラク国内の治安の安定が不可欠であり,治安の安定と邦人の安全確保,投資環境改善に向けた取組を期待する旨述べました。

イラク情勢(一般)

(1)マアスーム大統領から,イラク情勢に関し説明があり,特に包括的新政権ができたことが国民の融和の第一歩であること,そしてすべての主要政治勢力・宗派が政府や政府関係機関に所属し,全員が融和に向けて努力をしている旨述べました。また,マアスーム大統領から,イラクは安定した主権国家であり,諸国との関係をしっかりと進めていく力がある,ジッダでの会合,イラクの平和および安全に関する国際会議,国連安保理,そしてオバマ大統領が主導して開催された関係国の会合において関係国の統一的立場ができている旨話がありました。

(2)これに対し,安倍総理から,日本もこの国際社会のISILとの闘いを支持していく,今後も地域の状況に関して日本とイラクで緊密に連携していきたい旨述べました。

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