アフガニスタン・イスラム共和国
アフガニスタンに関するジュネーブ閣僚級会合
平成30年12月5日
11月28日(水曜日),ジュネーブの国連欧州本部において,国連及びアフガニスタン政府の共催により,アフガニスタンに関するジュネーブ閣僚級会合が開催されたところ,概要以下のとおり。
1 総論
- (1)2016年10月に開催された「アフガニスタンに関するブリュッセル会合」のフォローアップ会合である今次会合には,日本を含む60以上の国・機関が参加し,日本からは,佐藤正久外務副大臣が日本代表団長として出席した。アフガニスタンからは,ガーニ大統領,アブドッラー行政長官,ラバニ外相等が出席し,関係国・機関からは,モゲリーニ・EU外務安全保障政策上級代表,ラヴロフ・ロシア連邦外相,マース・ドイツ連邦共和国外相等が出席し,共催である国連からは,グテーレス国連事務総長(ビデオメッセージ),山本忠通国連事務総長特別代表兼UNAMA代表等が参加した。
- (2)アフガニスタンの「変革の10年(2015年~2024年)」の中間点において開催された今次会合では,従来のアフガニスタン支援国会合で扱われてきた「改革」,「開発」といった議題に加えて,「和平」が議題として扱われた。和平について,参加者は,アフガニスタン政府主導の和平プロセスの重要性を確認するとともに,反政府組織に対して,政府による前提条件なしの対話の提案に応じることを強く要請した。
- (3)参加者は,2016年のブリュッセル会合以降のアフガニスタン政府による,財政・予算面等における同国の自立に向けた具体的な措置を歓迎した。一方で,課題が残っていることを確認し,アフガニスタン政府に対し,汚職との闘い,和平・安定の促進,法の支配について,さらなる努力を求めた。2018年10月の下院選挙について,参加者は,初めてアフガニスタン政府主導の下院選挙が実施されたことを歓迎すると同時に,組織的,技術的課題が散見されたことに留意し,明年予定されている大統領選挙等が透明性及び信頼性を持って準備されることをアフガニスタン政府に求めた。
- (4)国際社会は,2016年のブリュッセル会合にて示した,アフガニスタン政府が改革のコミットメントを継続することを条件に2020年までアフガニスタンの開発優先課題を支援するとの意図を再確認した。
- (5)アフガニスタン政府及び国際社会は,2016年ブリュッセル会合の際に策定された「相互責任を通じた自立のための枠組み」(SMAF:Self-Reliance through Mutual Accountability Framework)で定められている選挙改革,汚職対策,人権,財政改革,開発,ビジネス環境整備,ドナーによる支援の形態に関する指標の進捗を確認し,今次会合では,2019年~2020年に達成すべき新たな短期指標である「ジュネーブ相互責任枠組み(GMAF(Geneva Mutual Accountability Framework))(PDF)
」を採択した。
- (6)国際社会とアフガニスタン政府は,「アフガニスタンの未来を確保する」と題したジュネーブ閣僚級会合のコミュニケ(PDF)
を採択した。ア 和平,イ 開発,ウ 改革の三本柱から構成される。次回会合は,2020年に開催されることが確認された。
2 佐藤正久外務副大臣のステートメント
今次会合において,佐藤正久外務副大臣から,ステートメントを行い,アフガニスタン政府主導の和平に対する支持を表明するとともに,アフガニスタン政府に対して,汚職対策等において更なる改革努力を要請した(骨子(PDF)/ステートメント本文(PDF)
)。また,昨今のアフガニスタンの干ばつ被害に対応するため,WFP経由で,アフガニスタンへの1300万ドルの緊急無償資金協力を決定したことを発表した。
【参考】「ジュネーブ相互責任枠組み(GMAF(Geneva Mutual Accountability Framework))」
- (1)ポイント
- 今次ジュネーブ会合にて,2016年ブリュッセル会合の際に策定された「相互責任を通じた自立のための枠組みの短期指標」(SMART-SMAF:Self-Reliance through Mutual Accountability Framework)を改訂し,2019年及び2020年にアフガニスタン政府及び国際社会が達成すべき合計24の短期指標により構成されるGMAFを設定した。
- (2)アフガニスタン側が達成すべき主な指標
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- 2018年の下院選挙の経験を踏まえ,2019年の大統領選挙を含む今後の選挙プロセスの準備を進める。
- 2019年6月までに,2017年の「汚職戦略」の新たな指標を正式に承認し,訴追を促進するための,具体的かつ時間軸の示されたアクションプランを承認する。
- 女性公務員の割合を現状の22%から2019年に24%に,2020年から26%まで増加させる。
- マクロ経済・財政改革をIMFによる構造調整プログラム(ECF)に沿って実施。
- 民間セクター開発の実施計画を定期的にアップデート・評価し,期限までに目標を達成する。
- (3)国際社会が達成すべき主な指標
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- 援助効率を改善するため,開発パートナーは,2019年~2020年においても,アフガニスタンに対してオン・バジェット支援(アフガニスタンの国家予算に組み入れる援助)を注入する。
- 開発パートナーが実施するオフバジェット支援の最低80%はアフガン政府の平和と開発のための国家枠組み(ANPDF)及び国家優先プログラム(NPP)と整合性をとる。
- 技術協力支援のための手続きについて2019年中頃までにアフガニスタン政府と合意する。