中東
第2回シリア人道支援会合(概要と評価)
1月15日(水曜日)午前10時30分から18時30分まで(現地時間),クウェート・シティーのバヤーン・パレスにおいて,サバーハ・クウェート首長主催,潘基文国連事務総長議長の下,「第2回シリア人道支援会合(Second International Humanitarian Pledging Conference for Syria)」が開催され,我が国からは,牧野外務大臣政務官が出席したところ,会合の概要は以下のとおり。
1 会合の経緯
シリアの人道情勢の悪化とそれに伴って多大な負担を強いられている周辺国の安定化のため,2013年12月,国連は,シリア国内及び周辺国に対する支援として,約65億ドルという史上最高額となる改訂版シリア人道支援アピールを発出した。これを踏まえ,国際社会に対して拠出を呼びかけるべく本件会合が開催された。
2 会合の概要
(1)本件会合には,我が国のほか,クウェート(主催者),米,英,独,伊,アラブ諸国を始めとする約20か国の閣僚を含む60か国以上の国及び国際連合,アラブ連盟の代表等が出席した。主な閣僚レベルの出席者は,ミーカーティー・レバノン職務執行政府首相,ケリー米国務長官,ゲオルギエヴァ欧州委員,グリーニング英国際協力相,アッサーフ・サウジアラビア財務相,ファハミ・エジプト外相,アティーヤ・カタール外務担当国務相等。国際機関からは,潘基文国連事務総長の他,エイモス人道問題担当国連事務次長,グテーレス国連難民高等弁務官等が出席。
(2)会合において,各国からは,上記のシリア人道支援アピールに対する貢献が発表されるとともに,増大するニーズに対応した人道支援の強化の必要性,2013年10月の国連安保理議長声明の完全実施の必要性,シリア国内への人道支援のためのアクセスの確保の重要性,医療・教育機関をターゲットにした攻撃の停止の重要性,国際人道法の遵守,本年1月22日にスイスで開催予定の「ジュネーブ2」会議への期待等が指摘された。
(3)我が国については,牧野外務大臣政務官から,日本がこれまで総額約2.8億ドルの対シリア及び周辺国に対する人道支援にコミットしてきたこと,主に難民・国内避難民に対する総額約1.2億ドルの新規支援を準備していることを発表するとともに,かかる支援を「ジュネーブ2」会議を始めとする政治対話のプロセスと並行させて進めていくとの考えを表明した(スピーチ)。なお,本会合のマージンにおいて,牧野政務官は,ケリー米国務長官,パン・ギムン国連事務総長,サバーハ・ハーリド・クウェート第一副首相兼外相,ファハミ・エジプト外相,エルアラビー・アラブ連盟事務総長等と立ち話を行った。
(4)主催国のクウェートが5億ドルのプレッジを行ったのを始めとして,米国:3.8億ドル,EU:約2.25億ドル,英国:約1.64億ドル,独:約1.1億ドル,ノルウェー:約7,500万ドル,サウジアラビア:6,000万ドル,カタール:6,000万ドル,伊:約5,100万ドル,デンマーク:約3,700万ドル,スウェーデン:約3,500万ドル,スイス:約3,400万ドル,仏2,800万ドル,アイルランド:約2,800万ドル,オランダ:約1,800万ドル,イラク:1,300万ドル,オマーン:約1,000万ドルなどの追加支援のプレッジがあった。
(5)今回の会合で示された最終的なプレッジ額の詳細は,追って国連が発表する予定としつつ,国連事務総長の閉会挨拶において,今回の会合のプレッジ総額は24億ドル以上と発表された(翌16日,国連人道問題調整事務所(OCHA)のホームページに各国のプレッジ額が掲載された。)。
3 会合の評価
(1)今回の会合では,昨年1月の第1回シリア人道支援会合におけるプレッジ総額である15億ドルをはるかに上回る24億ドル以上のプレッジが行われた。このことは,シリアの人道状況改善に向けて国際社会がこれまで以上に一致協力して取り組む必要があることを示す重要なメッセージとなった。
(2)これまでシリア人道支援に積極的に取り組んできた我が国としても,約1.2億ドルの新規支援を準備している旨表明することにより,改めてその存在感を示すことができた。
(3)このような支援を1月22日に開催予定の「ジュネーブ2」会議を始めとする政治対話のプロセスと並行させて進めていくとの立場である我が国にとって,今回の会合は,「ジュネーブ2」会議に向けて大きな弾みとなった。