国・地域

平成27年8月5日
7月28日から31日の4日間,中東地域及びアフリカ地域駐箚の大使及び関係国際機関大使の参加の下開催された,平成27年度中東アフリカ大使会議の概要以下のとおり。

1 総論

  • 我が国の経済外交の強化や積極的平和主義の実践等の観点から,中東地域及びアフリカ地域の重要性が高まっているとの認識の下,安倍総理・岸田大臣から,中東地域の安定化や包括的パートナーシップの強化,及び官民一体となった対アフリカ外交の一層の推進に向けた訓示が述べられた。
  • 外務省幹部から各国大使に対して,安全保障,アジア情勢,経済外交等,我が国外交の主要課題について説明し,国際場裡で一層中東地域及びアフリカ地域との協力を図ることが確認された。
  • 各国大使は,中東地域及びアフリカ地域の成長力を日本経済に取り込むため,これら地域と我が国との民間経済関係を一層促進する観点から,企業関係者等と積極的な意見交換を行った。また,同時期に開催された中東調査会,アフリカ協会及びアフリカ開発協会等によるレセプションにおいても,各大使は企業関係者等と意見交換を行った。また,企業向けに大使による治安情勢ブリーフィングを実施した。

2 議論の概要

中東・北アフリカ地域駐箚大使

中東地域の現状と課題,総理の中東訪問や「外交三本柱」を踏まえた中東外交などについて情勢分析及び日本の今後の取組を議論した。
  • アラブの春以降,中東情勢は益々不安定化している中,ISIL等の過激主義が跋扈し,既存の地域・国際秩序が脅かされているとの認識が共有された。また,イラン核合意が地域の安定にもたらす影響や我が国として取るべき政策について意見が交わされた。
  • 現下の地域情勢を踏まえ,人道支援や難民対策,教育・職業訓練,医療,ガバナンス向上支援など, 我が国として強みを持つ分野を中心に,各国の中間層を育てて社会をより強靱にすることで,地域全体の安定化に貢献していくべきであるとの意見で一致した。
  • トップセールスや資源確保,インフラ受注など経済面での関係強化,並びに,地域における日本の一層のプレゼンス向上の重要性についても認識が共有された。

アフリカ地域駐箚大使

2016年に初めてアフリカでの開催が予定される次回TICADにおいて,日本の独自性を打ち出すとともに,次回TICADが日本のアフリカ進出を一層促進するような成果をもたらすものとなるために,特に(1)アフリカの平和と安定,(2)アフリカにおける都市開発を含む総合的地域開発,をテーマに次回TICADに向けた日本の取組のあり方について議論した。
  • 「平和と安定」については,イスラム過激化の拡大を抑えるためには,その根本原因を取り除く必要があり,若者の雇用促進や教育に対する支援,貧困対策の強化が不可欠であるとの見解で一致した。
  • 「アフリカにおける都市開発を含む総合的地域開発」については,加藤内閣官房副長官を議長都市,関係省庁事務次官・局長級から構成される「アフリカ経済戦略会議」の中で重点的に取り上げられている(1)モンバサ・北部回廊,(2)ナカラ回廊,(3)西アフリカ地域,の総合開発に向け日本が進めるべき取り組みについて,それぞれ分科会において議論された上で,全体会合で意見の集約を行った。
  • アフリカの総合的地域開発を推進するとともに,日本企業の進出を促すべく,港湾,地熱,橋梁といった日本が優位性を有する分野で,引き続き官民連携を強化していくことの必要性について一致した。
  • 更に,ABEイニシアティブの対象となる分野及び受け入れ人数の拡大,文部科学省の国費留学生制度の弾力的運用等を通じ,アフリカ開発の基本条件となる人材育成を推進すべきとの点についても認識が共有された。
  • また,次回TICADが初のアフリカ開催となることを念頭に,日本の技術力を具体的にアフリカの人々に示すような取組が有益であるとの見解が示された。

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