中東
平成26年度中東アフリカ大使会議(議論の概要)
平成26年6月16日
6月10日-13日の4日間,中東アフリカ諸国駐在大使の参加の下,中東アフリカ大使会議を開催したところ,議論の概要以下のとおり。
1 総論
- 我が国の経済外交の強化や積極的平和主義の実践等の観点から,中東・アフリカ地域の重要性が高まっているとの認識の下,安倍総理・岸田大臣から,中東地域の安定化や包括的パートナーシップの強化,及び官民一体となった対アフリカ外交の一層の推進に向けた訓示が述べられた。
- 外務省幹部から各国大使に対して,安全保障,テロ対策,アジア情勢,経済外交,ODA等,我が国外交の主要課題について説明し,国際場裏で一層中東アフリカ地域との協力を図ることが確認された。
- 今次会議から,開催期間を従来の3日間から4日間とし,各国大使は,中東・アフリカ地域の成長力を日本経済に取り込むため,これら地域と我が国との民間経済関係を一層促進する観点から,企業関係者等と積極的な意見交換を行った。また,同時期に開催された中東調査会,アフリカ協会及びアフリカ開発協会等によるレセプション,及びアフリカ開発銀行等主催のビジネスフォーラムにおいても,各大使は企業関係者や有識者等と意見交換を行った。
2 各論
(1)中東・北アフリカに関するセッション
(ア)地域安定化に向けた取組,(イ)経済外交,(ウ)文化交流及び人的交流,を主要テーマとし,政府関係者等と率直な意見交換を行ったところ,概要以下のとおり。
- 中東・北アフリカ地域の平和と安定が,日本の国益に直結するとの認識を再確認。「アラブの春」後,安定した地域と不安定な地域が混在する状況を受けて,地域諸国と連携しながら,安定化に向けて日本独自の貢献を目指す必要性で一致。
- エネルギーやインフラ輸出等の幅広い分野で経済関係強化の重要性を確認。経済協定締結によるビジネス環境整備やODAの戦略的活用,技術協力,現地邦人企業の活動支援のあり方等について議論。
- 安倍総理(4回)及び岸田大臣(2回)の中東訪問により,二国間関係が飛躍的に発展。トップレベルの交流が特に重要である地域事情を踏まえ,更なる首脳・閣僚等の相互訪問の有用性が指摘された。
- 同地域を面で捉えて文化・広報戦略を展開することの重要性が指摘された。人的交流や日本語教育に関しては,特に若年人口の多い同地域への次世代投資が不十分であるとの問題意識が共有された。
(2)アフリカに関するセッション
昨年6月の第5回アフリカ開発会議(TICADV)や本年1月の安倍総理のアフリカ訪問等を踏まえ,TICADVで公表した支援策の進捗状況及び課題についての意見交換,またアフリカ諸国との更なる関係強化のため,我が国についての情報発信のあり方及び民間経済関係の一層の促進のための方策についての意見交換を行ったところ,概要以下のとおり。
- 広報メディアの拡充や内容の魅力向上に加え,政策決定に影響力を有する有識者の人的交流等の活用を通じ,日本が誇る技術力,文化等をアフリカに一層認知・普及させることの重要性を確認した。
- 円借款やABEイニシアティブ等を活用しインフラ整備や人材育成を支援するとともに,アフリカ各国の政策策定段階から日本が支援していくことが,アフリカとの貿易・投資促進に資するとの認識で一致した。
- 日本経団連及び経済同友会との意見交換をそれぞれ行い,日本企業のアフリカ進出を促進するための官民連携を一層推進することを確認した。民間企業側からは,アフリカへの投資の前提となるインフラや法整備等の投資環境整備や治安対策に加え,広域市場展開を可能とする地域経済統合の進展に向け,アフリカへの協力を行っていくことが重要との要望が示された。
- 上記の施策の推進のため,対アフリカ外交を効果的に進めるための基盤や体制を整備する必要性が強調された。