エジプト・アラブ共和国

日エジプト共同声明


- 二国間関係の新たな段階への飛躍のための協力 -

平成28年2月29日

英語版 (English)

(総論)

1 アブドルファッターハ・エルシーシ・エジプト・アラブ共和国大統領は,安倍晋三日本国総理大臣の招待を受けて,2016年2月28日から3月2日にかけて,日本国を公式訪問した。

2 安倍総理は,2015年1月の安倍総理のエジプト訪問を受けてエルシーシ大統領の訪問が行われたことを歓迎し,今次訪問が両国関係のあらゆる分野における一層の発展に寄与することを確信する旨を表明した。エルシーシ大統領は,天皇陛下及び安倍総理による歓待に謝意を表明し,今次訪問が,日・エジプト関係の新たな段階への飛躍の一歩となったことを確信した旨を表明した。両国首脳は,2015年1月の安倍総理のエジプト訪問及び今次のエルシーシ大統領の日本訪問と,比較的短期間に首脳レベルの相互訪問が行われたことで,両国関係が発展したという意義を改めて確認した。両国首脳は,新たな段階に入った両国関係に相応しいよう,今後も首脳,閣僚を含む継続的な要人の往来が行われることの重要性について認識を共有した。

3 安倍総理は,現下の中東情勢を想起し,平和を希求する地域の全ての人々に強い連帯を示し, エジプトがこれまで行ってきた地域の平和と安定のための努力を高く評価しつつ,エジプトが中東地域の安定の要であると強調した。また,安倍総理は,エジプトが,深刻さを増す国際テロリズムに対して,勇敢かつ犠牲を厭わずに,最前線にて闘っていることを賞賛した。安倍総理は,エジプトを強く支援し,中東地域及び世界全体の平和と安定のために,手を携えて協力していくことを再確認した。

4 両首脳は,首脳による相互訪問を受けて,両国間の歴史的友好関係を一層強化していくことを再確認するとともに,特に教育及び人材育成の分野で両国の戦略的関係を更に発展させ,また地域及び国際社会の安定と発展を促進するための協力を継続していくことへの強い意思を再確認した。

5 両首脳は,安定と発展の達成のためには,人々の暮らしが豊かになることが不可欠であるとの認識で一致した。安倍総理は,エジプト経済開発会合の開催,新投資法の制定,新スエズ運河の開通,教育や保健分野における改革実施などエジプトが経済社会分野において実現した諸改革に向けた絶え間ない努力を評価し,これに対する支援を表明した。エルシーシ大統領は,エジプトの経済及び社会の持続的な発展のための日本との協力を強調し,教育・人材育成,保健分野における日本とのさらなる協力,そして日本企業による電力・水・エネルギー等の分野やスエズ運河地域開発へのさらなる投資への期待を表明した。

安定と発展実現のための政治・安全保障における協力

6 両首脳は,2015年10月の第1回外交・防衛当局間の政治安全保障対話,及び防衛当局間対話の実施を評価し,今後も定期的に対話を実施し,また様々なレベルにおけるこれら当局間の交流及び人的交流を活発化していくことの重要性を確認した。

7 安倍総理は,エジプトが議会選挙を成功裏に実施し,公正かつ民主的なプロセスにより選出された新たな議会を成立させることでロードマップの最終段階を実現したことを賞賛した。

8 両首脳は,両国の議会間の交流が拡大していることに対する期待を表明した。両首脳は,エジプトにおける日本友好議連の設立を歓迎した。

教育,人的・文化交流における協力

(教育)

9 両首脳は,教育・人材育成が国造りの基礎であり,未来に平和と繁栄の社会を築くため最も重要な事業であるとの信念に基づき,エジプト・日本教育パートナーシップ(EJEP)(PDF)別ウィンドウで開くを策定し,教育分野で協力を促進することで一致した。社会の経済的,社会的発展に資する,人間性豊かな人材を育てることが重要であるとの認識の下,エルシーシ大統領は,規律や協調性の涵養,人格の形成を重視する日本式教育への関心を表明した。また,両首脳は,就学前,初等教育から高等教育技術教育にわたる包括的な協力を推進することで一致した。

10 両首脳は,EJEPに関する二国間協力を円滑に実施するためのメカニズムとして,両国政府の高級実務者から構成される運営委員会を設置することを確認した。

11 安倍総理は,初等教育及び技術教育の分野において,エジプト国内で指定されたモデル校に対し日本式アプローチを取り入れた教育を実施するため,専門家の派遣や教員に対する研修を含む様々な手段を通じて支援を行うことを表明した。エルシーシ大統領は,日本が支援するモデル校での実践をエジプト国内の他の学校にも拡大・普及させていく意向を表明した。両首脳は,技術教育及び職業訓練の分野で日本企業と連携が図られることに対する期待を表明した。

12 安倍総理は,エジプトにおける教育・人材育成の強化を目的として,今後5年間で少なくとも2,500人のエジプト人を日本に受け入れ,結果エジプトから日本への留学生・研修生の受け入れを倍増させる用意があることを表明した。エルシーシ大統領はかかる表明を歓迎した。

13 両首脳は,エジプト日本科学技術大学(E-JUST)に対し切れ目なく支援することを確認すると共に,E-JUSTが両国間の高等教育・科学技術面での協力の中核となり,教育分野における二国間協力強化で重要な役割を果たすことへの期待を表明した。両首脳は,日本政府が専門家や教員の派遣,必要な機材の供与といった支援を引き続き行うことに加え,エジプト政府による大学キャンパス建設の完了と円滑な大学運営のため,可能な限りの措置をとることを確認した。両首脳は,国際協力機構(JICA)による協力を通じ,また,パートナーとなる日本の大学の支援も得つつ, E-JUSTの発展・拡大のため,工学部の創設への協力を行うとともに,人文・ビジネス系学部創設についても可能な協力を検討していくことを確認した。

(青年・スポーツ分野等の交流)

14 両首脳は,青年やスポーツ分野における二国間の交流強化に向けた意思を再確認した。安倍総理は,2016年度の「世界青年の船」事業へのエジプト人青年招へいの意思に加え,2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催へ向けて,エジプトのウエイトリフティング器材整備を含め,「スポーツ・フォー・トゥモロー」プログラムを通じた交流を強化する意向を表明した。エルシーシ大統領は,これを歓迎した上で,2016年を「エジプトにおける青年の年」に指定したことを紹介し,日本との間で青少年交流や武道を含むスポーツ交流を強化することへの期待を改めて表明した。さらに,両首脳は,東京とカイロの友好都市提携が25周年を迎えたことを受け,上記分野を含めた両都市間の一層の関係発展への期待も表明した。

(文化交流・対外発信)

15 両首脳は,両国間で幅広く文化交流・協力を強化する意向を確認した。その一環として,両首脳は,エジプトにおける日本語教育の拡充や日本研究の振興の重要性を確認した。両首脳は,和食を含め,伝統文化からサブカルチャーに至るまで,エジプトにおける日本文化の発信が活発に行われていることを歓迎した。

16 両首脳は,両国の研究機関間での対話と協力が進んでいることを歓迎し,互いの研究機関間での知的交流が二国間関係を更に高めることを強調した。さらに,安倍総理は,エジプトが中東・アフリカ地域及びアラブ世界の知識及び情報の集積地であることを踏まえ,エジプトにおける,またエジプトを通じた日本に関するあらゆる観点における情報発信の重要性を強調し,エルシーシ大統領はこれを歓迎した。

持続的かつ包括的な経済・社会発展のための協力

(総論)

17 両首脳は,日本とエジプトの間の経済関係の発展が満足いくものであることを歓迎し,経済関係の一層の強化が日本とエジプトのパートナーシップを高めるために重要であるとの認識を示した。両首脳は,電気,エネルギー及びスエズ運河開発等の分野で民間投資に関する覚書その他の文書が署名されることを歓迎し,日本企業が参画する総額200億米ドル規模の事業を促進,支援していく意向を確認した。また両首脳は,国際協力銀行(JBIC)とエジプト国際協力省との間で日本企業によるエジプト向け輸出及び投資を支援するための覚書が署名されたことを歓迎した。両者は,第10回日本・エジプト経済合同委員会が開催されることを歓迎するとともに,日・エジプト経済作業部会の開催を通じて経済・投資分野での関係強化について更なる協議が行われることが両国間のビジネス協力を高みに引き上げることに資することを確認した。エルシーシ大統領は,スエズ運河地域開発について電力,水等の分野で,日本企業が関心を示していることを歓迎した。

18 安倍総理は,日本政府として,国際協力機構(JICA)による政府開発援助(ODA),国際協力銀行(JBIC)による融資及び日本貿易保険(NEXI)による貿易保険を通じて「質の高いインフラ」の整備や日本企業のエジプトにおける事業を引き続き力強く後押ししていく意向を確認した。

(電力・エネルギー)

19 安倍総理は,既存の発電所の発電能力を向上・維持するための「電力セクター復旧改善計画」(411億円)に対し日本が新規円借款を供与する方針を表明し,エルシーシ大統領は,長年に亘る日本の政府開発援助(ODA)とともに,エジプトの発電改善に迅速に貢献する本事業に関する謝意を表明した。両首脳は,配電システム高度化計画(約248億円)及びハルガダ太陽光発電所建設計画(約112億円)に関する交換公文への署名がなされたことを歓迎した。安倍総理は,石炭火力発電所建設及び燃料である石炭の調達,再生可能エネルギー,送配電システムの改善,地中海の天然ガス掘削リグ,石油精製,高効率の製鉄技術などの分野において,環境に優しい高水準の日本の技術や経験を活用して官民連携による協力を追求していく方針を表明し,エルシーシ大統領はこれを歓迎した。(電力分野における協力の詳細(PDF)別ウィンドウで開く

(保健)

20 安倍総理は,エジプトにおけるユニバーサル・ヘルスカバレッジ(UHC)の実現に向け,感染症対策や母子保健分野における協力,保健医療システムの強化,日本での研修機会提供による医師・看護師の育成,民間企業との協力,病院運営及び救急医療の改善の分野協力する意向を表明し,エルシーシ大統領はこれを歓迎した。両首脳は,カイロ大学小児科病院の外来施設建設が日本の無償資金協力により早期に完了することへの期待を表明した。安倍総理は,日本企業が有する先進医療機器及び技術を活用し,官民連携によりエジプトの医療水準向上に貢献していく意向を示し,エルシーシ大統領はこれを歓迎した。(保健分野における協力の詳細(PDF)別ウィンドウで開く

(大エジプト博物館(GEM))

21 両首脳は,大エジプト博物館(GEM)建設事業計画が両国間の友好協力関係を象徴するものであることを再確認し,昨年設置され両国政府関係者で構成される合同委員会の活動を歓迎し,事業の早期完成のために協力を強化することを確認した。この目的のため,安倍総理は,日本として追加円借款の協議を早急に進めることを明らかにするとともに,文化財の保存修復分野において長年にわたり行ってきた協力を継続し,またGEMの運営や展示面での準備を円滑にするための専門家の派遣を含む支援を行う意向を表明した。GEMには日本企業が有する世界最先端の技術・製品が導入されることが期待される。

(運輸・交通)

22 両首脳は,ボルグ・エル・アラブ国際空港拡張計画(約182億円)に関する交換公文への署名が行われたことを歓迎した。両首脳はまた,カイロ地下鉄4号線第1フェーズの入札プロセスが開始されたことを歓迎し,カイロにおける交通状況の改善及び観光振興のために同事業が早期に完工し,運行が開始するよう協力を強化していくことを改めて確認した。両首脳は,運輸・交通分野におけるこれまでの幅広い協力に基づき,日本の技術を活かしてカイロ地下鉄を含むエジプトの公共交通網の整備につき将来協力する可能性を検討しうることを確認した。

(防災)

23 安倍総理は,2015年3月の第3回国連防災世界会議で採択された仙台防災枠組み2015-2030及び仙台宣言,さらには日本政府が発表した「仙台防災協力イニシアティブ」に基づき,日本の防災分野における経験や技術を共有していく意向を表明した。

(女性の能力強化)

24 両首脳は,持続的な社会・経済発展の実現には,女性の政治的,社会的及び経済的参画,並びに女性の保護及び能力強化が重要であるとの認識を共有した。両首脳は,2016年2月にエジプト国家女性評議会,日本政府及びUN Womenの共催により,社会的,経済的発展のために女性が果たす役割に関する円卓会合が成功裏に開催されたことを歓迎するとともに,この分野における協力を引き続き促進していくことを確認した。

(観光)

25 両首脳は,エジプト経済の発展における観光の重要性に留意した。安倍総理は,観光振興に加え,双方向の人的交流拡大,ビジネス促進の観点から,エジプト航空による日本とエジプトの直行便再開の意向を歓迎した。

(農業・灌漑)

26 両首脳は,エジプトの経済及び国民生活の安定における農業生産の重要性に留意した。エルシーシ大統領は,農業・灌漑分野における日本からの支援を賞賛した。両首脳は,円借款による「新ダイルート堰群建設事業」への期待を表明した。安倍総理は,技術協力による上エジプト地域における農家所得向上のための支援や水資源の効果的な活用の推進など,農業・灌漑分野において日本が引き続き支援を行う意向を表明した。

地域と国際社会の平和と安定に向けた協力

27 両首脳は,2015年1月の首脳会談以後の国際情勢をレビューし,共に国連安保理非常任理事国として協力し,特に中東及びアフリカにおいて,地域及び国際社会の平和,安定及び繁栄に貢献することの重要性を共有した。この観点から,安倍総理は,国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の重要性を再度表明し,その具体的実践を進めるために「平和安全法制」を整備したことを説明した。エルシーシ大統領は,平和実現のためのあらゆる努力を評価した。

28 両首脳は,東アジアにおける幅広い安全保障環境について意見交換し,アジア太平洋地域の平和と安定を維持することによる国際法を尊重が重要であることを確認した。

29 朝鮮半島をめぐる情勢に関し,両首脳は,共に国連安全保障理事会のメンバーとして,今年北朝鮮が実施した核実験及び弾道ミサイル技術によるミサイル発射は,関連安保理決議の明白な違反であり,地域及び国際社会の平和と安全に対する重大な脅威であるとして安全保障理事会が強く非難したことを想起した。両首脳は,新たな決議採択に向けて安全保障理事会において協力を継続していくことの重要性を再確認し,朝鮮半島の非核化に繋がる状況の平和的,外交的及び政治的解決に向け引き続き取り組んでいくことを表明した。両首脳は,六者会合共同声明が履行されるべきであることを改めて確認した。両首脳は,拉致問題ができる限り速やかに解決されることの重要性を強調し,エジプトはこの問題について日本に引き続き協力していく意思を表明した。

30 両首脳は,テロ及び思想的に誘発された暴力は地域と国際社会の平和への脅威となり,経済的,社会的発展を著しく妨げるとの認識で一致した。両者は,テロの甚大な惨禍を認識し,世界の安定への脅威が増大していることを強調した。両者は,世界各地における罪のない多くの人々を殺害し,負傷させた昨今のテロ攻撃を全面的に非難し,国際社会が一致してテロ対策に取り組むことの重要性を強調した。両首脳は,テロの根本原因に対応する取組において協力する意向を確認した。安倍総理は,エルシーシ大統領及びアズハル機構の取組及びこれらによる異なる宗教間の寛容及び相互理解への呼びかけを賞賛した。両首脳は,テロはいかなる宗教,国籍または文明とも結びつけることはできず,また結びつけるべきではないことを確認した。

31 安倍総理は,テロとの闘いの最前線におけるエジプトの取組を改めて評価した。安倍総理は,テロ対策に資する民生品等の供与を含むテロ対策に関する協力の強化を表明し(安保理決議,特に安保理決議2174号及び2178号に基づく。),エルシーシ大統領はこれを歓迎した。安倍総理は,エジプトにおけるテロ対策のための法体制強化及び中東・北アフリカ地域の刑事司法能力向上のため,国連麻薬・犯罪事務所(UNODC)を通じて154万米ドルの支援を行う意向を表明した。

32 安倍総理は,シナイ半島に展開しているシナイ半島駐留多国籍監視軍(MFO)に対して,166万米ドルの支援を行い,引き続きMFOの取り組みを支援していく意向を表明した。エルシーシ大統領は,この支援に対し謝意を表明した。

33 両者は,関連する国連安全保障理事会決議に基づく,交渉による,公正で,包括的かつ持続的な中東和平の実現と,アラブ和平イニシアティブに基づき,全ての近隣諸国と平和かつ安全に共存する,主権を有し,持続可能で地理的に隣接するパレスチナ国家の樹立を呼びかけた。両者は,イスラエルに対し,西岸,東エルサレム及びその聖地において継続する入植地建設や,現状を変更する動きを含めいかなる一方的行為も控えるよう求め,双方に対して二国家解決に向けた交渉を継続するよう促した。エルシーシ大統領は,パレスチナ国家は東エルサレムを首都とし,1967年6月4日から占領されている土地に基づくべきであると強調した。安倍総理は,中東和平プロセスにおけるエジプトの重要な役割を高く賞賛した。

34 両首脳は,国連安全保障理事会決議第2254号の採択を歓迎するとともに,関係国及びデミストゥーラ・シリア問題担当国連事務総長特使の努力を称賛した。両首脳は,政治移行プロセスに関するシリア政府と反体制派との間の公式交渉が開始され,決議第2254号に従ってシリア全土における停戦を始めとする一連のプロセスが着実に実施され,シリア情勢の改善につながることへの期待を表明した。また,両首脳は,2012年6月30日のジュネーブ・コミュニケに基づいて,流血を終了させ,シリアの独立及び領土保全を維持し,民主的な国家に向けたシリアの人々の希望を満たすシリア危機の政治的解決を奨励していくコミットメントを再確認し,人道状況の改善の重要性を強調した。安倍総理は,シリア,イラク情勢の安定のため,食糧,水といった人道状況の改善から職業訓練,国境管理等のテロ対策支援まで幅広い分野で約3.5億米ドルの新たな支援を行うことを表明した。エルシーシ大統領は日本の取組を高く評価した。

35 両首脳は,国連安全保障理事会決議第2259号の採択を歓迎し,リビア諸勢力が,リビア国民の利益を追求することができ,今後数か月の優先課題の一つとしてテロと闘うことのできる統一政府を樹立することを求めた。

36 両首脳は,イエメンが引き続き不安定な情勢及び深刻な人道状況にあることを憂慮するとともに,イエメンの安定のためのイスマイール・ウルド・シェイク・アハメド国連特使の取組を支持し,和平協議の進展を期待することで一致した。

37 両首脳は,本年ケニアで開催される次回TICAD首脳会合を含め,TICADプロセスを通じて協力を継続していく意向を確認した。安倍総理は,日本がエジプトと連携して,1985年に開始され,アフリカの持続可能な経済・社会開発を達成するため実施されてきた研修を通じた三角協力を更に強化する意向を表明した。また,安倍総理は,アフリカの平和と安定に重要な役割を担っている紛争解決・平和維持のためのカイロ地域センター(CCCPA)に対し,新たに100万米ドルの新規支援を行う意向を表明した。

38 両首脳は,中東・北アフリカ地域の安定と発展の実現における女性の役割の重要性を認識し,その役割を推進するための支援を強調した。この文脈で,両首脳は,アフリカの女性を含む警察官の能力向上支援を協力して実施していくことを確認した。

39 両首脳は,両国が国連安全保障理事会非常任理事国となったことを評価し,今後,PKO及び平和構築分野における協力,並びに国際平和と安全の分野において,国際社会が直面する諸課題に対処するために緊密に連携していくことを確認した。この文脈で,両首脳は,国連政策当局者間で定期的な対話を実施することを確認した。両首脳は,国連改革,とりわけ安保理改革のために共に取り組む意図を確認した。さらに両者は,より代表性が確保され,効率的かつ民主的になり,従って国連の信頼性をさらに強化するため,安全保障理事会を改革するために努力を強化していくことで一致した。

40 両首脳は,核兵器のない平和で安全な世界の実現に向けた協力を行っていくことを決意した。安倍総理は,包括的核実験禁止条約(CTBT)の重要性を強調し,エルシーシ大統領はこれを留意した。両首脳は,核兵器不拡散条約(NPT)の普遍化を緊急に達成することの死活的な重要性を強調した。両首脳は核兵器不拡散条約の3本柱の重要性を再確認し,特に,地域問題に効果的に対処し,中東非核化地帯,中東非大量破壊兵器地帯の設置に関する1995年の中東決議を含む1995年NPT運用検討会議の最終結果,2000年NPT運用検討会議の最終文書及び2010年NPT運用検討会議で採択された行動計画の完全な履行を追求する必要性を再確認した。両首脳は, NPTの原則,目標の促進及びその完全な履行において協力を継続し核兵器のない世界の実現のために引き続き連携していく意思を表明し,軍縮・不拡散当局者間の対話を強化することを確認した。両首脳は,イランとEU3+3との間の包括的共同作業計画(JCPOA)の着実な履行の監視・検証を含めた不拡散及び原子力の平和的利用における国際原子力機関(IAEA)の中心的役割の重要性を確認し, IAEAが天野之弥現事務局長のリーダーシップの下,必要な役割を果たせるよう引き続き協力していくことで一致した。

41 両首脳は,国連総会にて持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030アジェンダ)が,また気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)にてパリ協定がそれぞれ採択されたことを歓迎した。両首脳は,貧困の撲滅や持続可能な開発の実現,パリ協定の実施を通じた気候変動問題への対応を含む喫緊の地球規模課題に取り組む上での協力の重要性を認識し,再生可能エネルギーの技術及び製造の分野における二国間協力の強化を含め,これらの課題に対処するためのさらなる協力を再確認した。

42 両首脳は,持続可能な開発目標の6「全ての者への水と衛生の利用と持続的な管理を確保する」を想起し,安全な飲み水への権利に関するコミットメントを確認した。両首脳は,国境をまたぐ水資源に関する国際法の重要性を強調した。

43 両者は,海洋法を推進していくことの重要性につき認識を共有した。

(結句)

44 エルシーシ大統領と安倍総理は,今次訪問が二国間関係の新たな段階への飛躍へとつながり,全ての分野における二国間の協力がより一層スピード感をもって強化されていくことへの期待を表明した。また,両首脳は,首脳・閣僚を含む様々なレベルでの交流活性化を実現させていくことを確認した。