グアテマラ共和国
プレンサ・リブレ紙(グアテマラ)への茂木大臣寄稿 (令和3年7月17日付)
中米地域と共に自由で開かれた国際秩序の維持と強化を目指して
このたび、日本の外務大臣として実に34年ぶりにグアテマラを訪問することができることを大変嬉しく思います。
グアテマラは日本では古くからマヤ文明が栄えた国として知られており、高品質のコーヒーの産地としても有名です。日本とグアテマラは共に火山国であり、しばしば台風やハリケーンの被害に見舞われるという共通点もあります。
本年、スペインからの独立200周年という歴史的な節目を迎えるグアテマラを訪れ、85年以上にわたる両国の友好な関係の一層の強化に向けた新たなページを開きたい、そして私が外相就任以来進めている「包容力と力強さを兼ね備えた外交」をグアテマラで自ら推進したいと考え、今回の訪問を決めました。この訪問を通じて、日本とグアテマラを結ぶ友好の絆を強化し、国際社会が直面する課題に連携して対応していくことを確認したいと考えています。
グアテマラと日本の間では幅広い分野で協力関係が進展していますが、いくつか特筆すべきものをあげれば次のとおりです。
国際社会の変動が加速化、複雑化する中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持し強化していくことは、かつて無いほど重要です。このような中、日本は、自由、民主主義、人権といった基本的価値を共有する伝統的友好国であるグアテマラとのパートナーシップを幅広い分野において更に強化したいと考えています。
世界が直面する新型コロナ問題への対応には、国際的な連携が不可欠です。先月、日本はGaviとCOVAXワクチン・サミットを共催し、計10億ドルの拠出を表明しました。本年末までに、ワクチン18億回分のために必要とされる資金目標(83億ドル)を大きく超える額の確保に貢献しました。ワクチン普及のためには、生産から調達・分配、そして実際の接種にいたるまでのプロセス全体の支援が重要です。この観点から、日本は、ワクチンを接種会場に確実に届けるため、保冷設備や運搬用車両等の機材供与等を通じたコールドチェーン整備のための「ラスト・ワン・マイル支援」を実施しています。グアテマラに対しては、今年4月に、150万ドルのコールドチェーン整備の支援を決定しました。また、保健・医療体制強化のために約280万ドル(決裁注:3億円)の支援を実施してきています。
日本は気候変動問題や防災における連携も重視しています。昨年11月の大型ハリケーン「イータ」及び「イオタ」時には、グアテマラに対し毛布などの緊急援助物資の供与や、国際機関を通じた110万ドルの緊急無償資金協力を実施しました。
今回の訪問では、グアテマラが本年後半に議長国を務める中米統合機構(SICA)各国外相とのオンライン会合も行う予定です。中米8か国の外相との間で、新型コロナ感染症対策、防災、気候変動,中米移民問題など様々な分野における連携について話し合い、さらに、自由で開かれた国際秩序を維持し強化することの重要性、地域情勢について相互理解を深める予定です。
7月23日には東京オリンピックが開幕し、パラリンピックがそれに続きます。世界が新型コロナという大きな困難に直面する今だからこそ、世界が団結し、人類の努力と叡智によって難局を乗り越えていけることを、世界に発信したいと考えています。また、東京大会の実施にあたって、グアテマラと、そのホストタウンである田原本町(奈良県)、恵庭市(北海道)との交流が更に発展することを期待しています。
東京オリンピック・パラリンピックでは、グアテマラ選手団が活躍され、素晴らしい成績を収められることを願っています。
日本国外務大臣 茂木敏充
プレンサ・リブレ紙(グアテマラ)への茂木大臣寄稿(令和3年7月17日付)(スペイン語)(PDF)