主な要人の来日日程

日露外相会談
結果概要

平成17年5月31日

 5月31日午後、町村外務大臣は、外務省飯倉公館において、訪日中のラヴロフ露外相と外相会談を行ったところ、概要以下のとおり。

1. 会談の主な結果

(1)大統領訪日の時期については、プーチン大統領が年内に確実に訪日することが確認された。具体的な訪日時期については、日露間で引き続き調整し、近く合意される。

(2)大統領訪日の準備に関しては、様々な成果文書の準備状況につき、準備が進んでいることが確認され、両大臣より事務方に対しこれら文書の仕上げ作業を指示した。

(3)大統領の訪日準備を引き続き精力的に行っていくことで一致し、今後、国連、G8等の機会を捉え、首脳レベル、大臣レベルで日露間の政治対話を積極的に続けていくこととなった。

(4)領土問題については、1月の町村大臣の訪露の際に、領土問題に関する日露間の立場には隔たりがあるが、双方の立場に「架け橋」をかけるべく努力していくことで一致したことを受けて、本日はこの考えに基づいて真剣な議論を行い、議論を継続していくことを確認した。

2.平和条約問題

 町村大臣より、1993年の東京宣言、小泉総理とプーチン大統領との間で2003年に採択された日露行動計画に言及しつつ、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結することが日露双方の利益に合致することにつき、日露双方の認識が一致していることを確認する旨述べた。これに対し、ラヴロフ外相より、右認識を確認するとともに、町村大臣が言及した文書を含め、すべての日露間の文書が有効であることを確認する旨述べた。

3.個別の日露協力

(1)安保理改革

 町村大臣より、日本を含むG4より枠組み決議案を提案しているが、P5諸国の理解と支持が重要であり、ロシアとよく相談していきたい、必要があれば同決議案を修正する用意がある旨述べた。これに対して、ラヴロフ外相より、決議案について、他のP5諸国及びG4諸国ともよく相談したい、各国の幅広い合意が達成されるのであれば、ロシアは如何なる安保理改革も支持する、安保理が拡大される場合には、日本は安保理常任理事国の明白な候補であるというロシアの立場は不変である、安保理改革についても日露間でよく相談していきたい旨述べた。

(2)北朝鮮

(イ)町村大臣より、六者会合が最善かつ最適のメカニズムであり、一日も早くこの会合が再開されるよう努力すべきである旨述べた。これに対し、ラヴロフ外相より、六者会合が最適のプロセスであるとの認識を共有する、ロシア側の見るところでは、同会合は再開される見通しがある、引き続き関係国が北朝鮮に働きかけを行うことが重要である旨述べた。

(ロ)また、町村大臣より、拉致問題に関する我が国の立場に対する理解を求めたのに対し、ラヴロフ外相より、日本側の立場はよく理解している、ロシアは様々な機会にこの問題を北朝鮮に提起している旨述べた。

(3)漁業

(イ)町村大臣より、サケマスの操業に関し、ロシア側の手続きの遅れにより、3年連続で日本漁船の操業の開始が遅れたとして、再発防止につきロシア政府の善処を求めた。これに対し、ラヴロフ外相より、この問題についてはロシア側としてもよく理解している、外務省として可能な限り努力してきたし、今後も再発防止に最大限の努力を行っていきたい旨述べた。

(ロ)また、町村大臣より、日本漁船の拿捕事案に関し、船長が解放されていない事案等に関し早期の解決を求めたのに対し、ラヴロフ外相より、ロシア外務省としてもカムチャツカの現地当局に働きかけてきた、今後も最大限働きかけていきたい旨述べた。

4.国際情勢

(1)中東和平

 町村大臣より、中東和平は日露両国が協力できる分野である、プーチン大統領も先般中東を訪問されたし、5月中旬にはアッバース・パレスチナ自治政府大統領が訪日した、日露で良く協力していきたいと述べた。これに対してラヴロフ外相より、同意する、ロシアとしては、二国間、多国間のものを通じて、中東和平に向けて協力していく用意がある旨述べた。

(2)イラク

 ラヴロフ外相より、米、EUが提案しているイラク支援国際会議は、元々はロシアが提案した会議であるとの説明があり、その準備に向けて日本と協力していきたい旨述べた。

(3)イラン

 イランの核開発問題については、ラヴロフ外相より、ロシアとしてイランに種々働きかけを行っている旨述べた。

(4)アジア太平洋地域における協力

(イ)町村大臣より、ロシアはヨーロッパのみならずアジアにも属している、4月にイスラマバードで行われた「アジア協力対話」については、ロシアが参加すべきと日本が提唱した旨述べた。これに対し、ラヴロフ外相より、ロシアはアジア太平洋に関心を有しており、この地域におけるロシアの活動への日本の支持に感謝する旨述べた。

(ロ)ラヴロフ外相より、12月に行われる東アジアサミットへのロシアの参加について支持をお願いしたい旨述べたのに対し、町村大臣より、ロシアがASEANとつきあいを深めれば、当然ロシアは東アジアサミットのメンバーになると考え、それを歓迎すると述べた。

(5)中央アジア

 町村大臣より、我が国は中央アジアとの協力を拡大してきており、昨年8月には、初めての「中央アジア+日本」対話を行った、近く第2回会合を行いたい旨述べた。これに対しラヴロフ外相より、ロシアは日本の中央アジアへの積極的関与を支持するとして、事務レベルの第4回中央アジアに関する日露協議を開催したいとの提案があり、これを近く開催することで双方が合意した。

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