主な要人の来日日程

日本国とブラジル連邦共和国との間の
経済関係再活性化のための共同プログラム

東京、2005年5月26日

小泉純一郎日本国内閣総理大臣及びルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ・ブラジル連邦共和国大統領(以下「両首脳」という。)は、

両国間の100年を越える友好協力関係を回顧した上で、長期的な相互の信頼と利益を基礎とする幅広い分野における協力関係構築の重要性を認識し、

両国の間の経済分野における協力の強化と深化を志向し、

2004年9月19日のブラジリアにおける日伯共同声明で言明された、両国間の経済関係の再活性化に向けた強い意志を再確認し、

両国の民間部門の日伯経済合同委員会の重要な役割を認め、

以下の基本的な方向に沿って、両国が経済分野における協力を強化していくことで一致した。

1. 貿易及び投資の促進

両首脳は、日伯関係の主要な柱のひとつとして投資・貿易が重要であると認識し、両国の間の経済関係を強化する意向を表明した。

両首脳は、日伯間の貿易と投資に活性化の兆しがあることに満足の意をもって言及した。両首脳は、このような上昇基調を更に増進するべく、以下に述べるような方途と行動を通じて、両国間の貿易及び投資活動の一層の活性化のために必要な環境を整備していくために、両国の官民が一体となって一層努力することの重要性を確認した。

(1)政府間協議の推進

両首脳は二国間の経済事項に関する政府間協議が進められていることを歓迎し、相互の意思疎通と理解を推進するための有効な手段として、その一層の促進を奨励した。

また、両首脳は、閣僚を含む高いレベルの相互訪問を推進し、且つ、行政府間のみならず立法府間での交流も活発に進めていくことによって、両国間の交流を更に緊密にしていくべきであるとの認識で一致した。

(2)投資環境改善のための取り組みの強化

両首脳は、両国における投資環境の改善に向けて、本年3月3日にブラジリアで実施された日伯経済関係活性化シンポジウムの成果を歓迎し、引き続き、そのフォローアップを通じて、更に詳細で且つ実業志向な対話が双方の官民の間で行われることに強い期待を表明した。

日本国内閣総理大臣は、知的財産権の保護が両国間の経済関係において極めて重要な役割を果たすとの見解を表明した。

両首脳は、更に、両国にとっての投資環境の改善に資する方策についても両国が検討できるとの認識を共有した。

(3)民間セクター間の交流奨励

両首脳は、両国の民間経済界の交流の拡大を奨励していく意向を表明した。これに関連して、5月27日に東京で開催される第11回日本ブラジル経済合同委員会において建設的な議論が交わされることに強い期待を表明した。

更に、日本国内閣総理大臣は、年内の適当な時期に経済ミッションが訪伯することに言及し、ブラジル連邦共和国大統領はこれを歓迎した。

2. エネルギー・資源分野における協力の増進

両首脳は、エネルギー及び資源分野における協力を拡大していくことに共通の強い関心を有していることを再確認した。

特に鉄鉱石に関して、両首脳は、日伯協力の下での安定供給と開発が長期にわたり両国経済の相互互恵的な成長の基礎となっていることを確認し、この分野に於いて、共同投資を含む協力を拡大・強化していくことに強い関心を有していることを再確認した。

また、両首脳は、石油、ガス、鉄鉱石・非鉄等の鉱物資源および紙パルプ等の戦略的な分野において、国際協力銀行及び日本貿易保険を含む二国間の協力によって幾つかの大型プロジェクトが活発に進められていることを歓迎した。

両首脳は、ジュバルチ油田の共同開発を含む、これらのプロジェクトが成功裡に実現され、更に、こうした協力が一層活発化されることに強い期待を表明した。

3. インフラ分野における協力の発展

両首脳は、南米の経済発展と域内の統合プロセスにおけるインフラ整備の重要性を強調した。これに関連し、日本国内閣総理大臣は、2004年12月にペルーで開催された第3回南米サミットにおける南米地域インフラ統合計画(IIRSA)の推進に向けたブラジルのイニシアティブに関心を表明した。また、同計画に対する将来の国際協力銀行による資金協力等の可能性にも言及した。両首脳はこのような協力を歓迎し、この分野における関係国や地域の国際機関と日本の公的機関との対話や協議が一層強化されることを支持する旨を表明した。

また、ブラジル連邦共和国大統領は、ブラジル国内においても官民パートナーシップ・プログラム(PPP)が立ち上げられ、今後、同プログラムの下、具体的なインフラ・プロジェクトが推進されていくことを説明した。日本国内閣総理大臣はこれを傾聴するとともに、日本の民間企業も国際協力銀行の融資を活用する形で鉄道分野等における幾つかのプロジェクトに関心を示していることを表明した。両首脳は、これらのプロジェクトに関し、今後、双方の間で具体的に議論が進められていくことが適当であるとの認識を共有した。

4. エタノールの利用に関する対話の推進

両首脳は、地球温暖化防止対策のひとつとして、京都議定書上、二酸化炭素を排出しないものとして位置付けされている再生可能エネルギー、特に輸送用燃料におけるバイオマス由来燃料の分野における発展の重要性を認識した上で、バイオマス・エタノールの商業的利用及び作物生産を含む関連技術に関する民間における協力と情報交換の可能性を模索していくことに共通の関心を表明した。

両首脳は、ブラジル側のミッション訪日等の機会を通じて、バイオマス・エタノールの利用に関して双方の官民の間で緊密且つ継続的に対話がなされていることを歓迎した。

また、両首脳は、現在日本の6地域で行われている実証実験において良好な結果が得られることに強い期待を表明した。日本国内閣総理大臣は、京都議定書に基づく温室効果ガス排出抑制のための政府実行計画が閣議決定されたこと、また、その中で輸送用燃料におけるバイオマス由来燃料の導入を見込んでいることに言及し、バイオマス・エタノール利用のための検討を進めることを表明した。

両首脳は、本件に関し、両国間の民間事業者同士で緊密な対話が継続されていくことの重要性につき認識を共有した。

5. 農業分野における対話の継続

両首脳は、ブラジル産マンゴーの日本への輸出が、両国の専門家レベルでの技術的な検討を経て2004年に開始されたことを歓迎した。両首脳は、これまでも両国がそうしてきたように、WTOのSPS協定(衛生植物検疫措置の適用に関する協定)に従って、一方では両国における人及び動物の健康並びに植物の衛生状態が向上することの重要性に、また、他方では貿易に対する悪影響を最小限にすることの重要性に留意しつつ、両国の専門家が技術的・科学的な話し合いに引き続き重点を置くことの重要性を再確認した。

両首脳は、動植物検疫手続きに関する技術的な対話を含む、農業問題についての対話が両国の間で継続されることで認識が一致した。

これに関連して、5月13日、東京において、両国の検疫問題、特に反芻家畜(とりわけ牛や豚)の口蹄疫コントロール・プログラムについて、両国の専門家の間で技術的な話し合いが行われたことに言及がなされた。

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